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きょうの社説 2010年4月13日
◎竹島めぐる外交姿勢 「不法占拠」の指摘は必要
2010年版外交青書は北方領土問題について「日本とロシアの間の最大懸案」と指摘
し、韓国が領有権を主張する竹島(島根県)については「歴史的事実に照らしても国際法上も明らかに日本固有の領土」と明記した。当然の主張だが、鳩山由紀夫首相や岡田克也外相は、4島返還を求める対ロシア交渉には積極姿勢を見せながら、韓国には「不法占拠」という政府見解を述べることすら及び腰なのはどうしたことか。韓国の対日世論が硬化することを恐れて沈黙すれば、韓国側は実効支配を強めようとす るだろう。岡田外相は、先の衆院外務委員会で、「不法占拠」という表現を使わない理由について、「不必要な摩擦を招くことは本意ではない」と弁明したが、そんな配慮はむしろ韓国に誤ったメッセージを送ることになりかねない。韓国側がどう反応しようが、政府見解に沿って常に「不法占拠」と言い続けていく必要がある。 韓国政府は、竹島を日本の領土として取り上げた小学校教科書が教科書検定に合格した のに続き、外交青書でも竹島領有権が明記されたことに強く反発している。鄭雲燦首相は国会答弁で「幼い子どもにまでうそを教える国が未来を約束できるだろうか」と批判し、与党ハンナラ党は日本への対抗策として、対馬の領有権主張や過去の倭寇による朝鮮半島への侵奪行為を韓国の教科書に盛り込むよう主張した。 国家の代表者が日本の政府見解を「うそ」と決め付ける態度にはあきれるばかりだ。有 史以来、朝鮮半島勢力の支配を一度も受けたことのない対馬の領有権の主張など、常軌を逸している。 日韓友好の重要性は認めるが、それには、言いたいことを言い合い、お互いの主張に耳 を傾ける関係の構築が前提である。韓国側はしばしば自分たちの考えを一方的に押し付けようとし、それが受け入れられないと、大騒ぎするクセがある。面倒を避け、日本側が黙ってしまえば相手の思うツボだ。国益にかかわる主張は、日本側もはっきりすべきである。対馬の領有権などというばかげた主張に対しては、外交ルートを通じて厳しく批判してもらいたい。
◎原発特措法の延長 超党派の対応を望むが
来年3月末で期限切れとなる「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」
(原発特措法)の取り扱いは、脱原発方針の社民党と連立を組む鳩山政権の原子力政策の試金石となる。原発に慎重姿勢だった民主党は議員立法の同法成立に反対したが、その後は温室効果ガス削減の立場から原発推進にかじを切っている。議員立法を主導した自民党は同法延長に向けて見直しの議論を進めており、与野党それぞれの姿勢の違いや過去の経緯から、同法の延長論議は政争の具になりかねない懸念もある。各党が石川、福井など延長を求める原発立地自治体の声に真摯に耳を傾け、先に成立し た改正過疎法のように超党派の議員立法で法改正が進むことを望みたい。 01年度施行の原発特措法は10年度までの時限立法で、原発を着実に推進するため、 原発立地地域の防災に配慮しながら、生活環境や産業基盤の整備を進めることを目的にしている。同法の地域指定を受けているのは14道府県で、石川県は02年度に指定された。 同法に基づいて、原発立地地域の振興計画が県ごとに策定され、それに盛り込まれた道 路や港湾、教育施設整備などに対して国は財政支援を行うことになっている。石川県では羽咋郡市と七尾鹿島郡市で事業が進められてきた。 こうした措置に対して「ばらまき」批判も根強く、原発を「過渡的なエネルギー」に位 置づけてきた民主党は社民党とともに同法に反対した。しかし、原発を抱える自治体にとっては財政の自己負担を軽減しながらインフラ整備をできるありがたい措置であり、対象事業を拡大するなど、より使い勝手のよい制度を求める声が自治体側から出されている。 自民党はこうした地域の意見の聞き取りを行っているが、鳩山政権は社民党との連立合 意で原子力政策を棚上げにした関係もあり、今後の原発特措法の扱いについてまだ具体的な動きはみられない。原発利用を「着実に推進する」のであれば、立地自治体の振興策の在り方についての考え方も明確にしなければなるまい。
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