望 〜都の空から
東京の魅力や四季の彩り、さらに課題も空撮で紹介します
【社会】送迎客奪い合い強盗傷害事件に 不況銀座白タク“衝突”2010年4月12日 13時50分 東京・銀座で白タクによる送迎の仕事をめぐるトラブルから同業の男性を車で連れ去り、刃物で刺して大けがをさせ現金を奪ったとして、西新井署が監禁と強盗傷害の疑いで、白タク営業をしていた無職小林英夫容疑者(62)=足立区梅田=と二十八〜四十九歳の男六人を逮捕していたことが分かった。 銀座は不況のあおりでタクシーだけでなく、白タクの客足も落ち込んでおり、送迎客の奪い合いが事件の引き金となった格好だ。 捜査関係者によると、小林容疑者ら七人の逮捕容疑は、昨年十一月二十七日早朝、東京都中央区銀座六の路上で、男性(37)の車に乗り込み足立区内まで監禁した上、足などを刃物で刺して重傷を負わせ、五万円を奪ったとされる。逮捕はいずれも今月十日。 小林容疑者らは足立区内に任意組織の「会社」を構え、十数人規模で、銀座のホステスや客を相手に白タク営業をしていた。 被害者の男性は以前、同じ会社で白タク営業をしていたが、会社とは別に営業を始めたため、小林容疑者らから「おれたちのシマで何やってるんだ」とどう喝されていたという。 自家用車を使い、無許可で営業する白タクは、道路運送法に基づき処罰される。それでも、手軽な収入を求めて新規参入する者もいて、銀座六〜八丁目の路上には終電間近になると、タクシーの列に交じって姿を現す。 白タクは、バブル期に一気に増えたとされる。最近の銀座は、逆に客待ちタクシーで渋滞を引き起こすほど。白タクの出番も減ったが、相場がタクシーの半額程度とされる乗車料金の安さが需要を生んでいるとみられている。 昨年暮れまで約四年間、銀座で副業として白タク営業をしていた男性(31)は「昔のように流しでは客はつかまえられないので、顔見知りのホステスら常連客を乗せるのが主な仕事だった」と打ち明ける。 一方で「去年あたりから新入りの白タクが増え始めた」と証言。「車さえあれば手っ取り早く稼げる、と安易に考えるからでは」と推測する。捜査関係者らによると、白タク営業には暴力団関係者が介入しているケースも多いという。 銀座社交料飲協会によると、銀座のクラブやスナックなどの飲食店は、五年前の約千八百店から約千七百店に減少。二〇〇八年秋のリーマン・ショック以降、特に客足が落ち、同協会の神谷唯一事務局長は「不景気で一番影響を受けているのは銀座」と嘆く。 深夜営業のクラブやスナックは、自宅の遠い従業員を終電前に帰宅させたり、車に相乗りさせたりして経費を削減しており、白タクの顧客の争奪戦は激しさを増している。男性は言う。「いい時は一晩三万〜四万円稼げた。今は一人も乗らない日もある。一人の客をめぐりトラブルになってもおかしくはない」 (東京新聞)
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