日米大手 中国市場へ「アクセル全開」 トヨタ新車販売16.8%増
2009/07/09 12:31更新
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世界同時不況に伴う市場収縮によって、極度な販売不振に陥っている日米の大手自動車メーカーにとって、今や米国をしのぎ、世界最大の自動車市場に浮上してきた中国市場への依存度が一段と高まってきた。中国政府による優遇措置もあり、中国市場は引き続き拡大基調を続けており、日米大手自動車各社は成長市場の中国をてこに、不振からの脱却を狙っている。
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トヨタ自動車は7月8日、5月の中国での新車販売台数が前年同月比16.8%増の5万1000台と、昨年12月以来5カ月ぶりに前年水準を上回ったことを明らかにした。現地生産を始めたSUV(スポーツ用多目的車)の好調な販売が寄与した。中国の新車販売は政府による減税措置もあって、日産自動車やホンダが前年比で2けた増の勢いを続けており、トヨタも両社に追いついた形だ。
トヨタはこれまで、中国で小型乗用車の「ヴィオス」(排気量1300cc)「カローラ」(1600cc以下)を販売してきた。中国政府が今年1月に始めた1600cc以下の小型乗用車を対象にした取得税半減の優遇措置もあって、これら小型車の販売も堅調に推移してきた。
しかし「需要予測を見誤り、在庫が不足した面もあった」(トヨタ関係者)ことから、1月から4月まではトヨタ車の全体の販売台数は前年同月比でマイナスが続いていた。
ただ、中国は国土が広いうえ路面状態が悪い地域も多く、「(悪路に強い)SUVも根強い人気がある」(トヨタ幹部)と判断、3月にSUV「RAV4」、さらに5月には同じく「ハイランダー」の現地生産を開始。この結果、5月は「RAV4」の販売台数が6500台と伸び、増勢に寄与した。
■米抜き世界最大に
中国自動車工業協会が発表した5月の中国新車販売台数は、前年同月比34%増の111万台と、5カ月連続で米国を上回り、世界一の座をキープ。通年ベースでも米国を抜いて世界最大となる公算が大きい。
トヨタは2010年3月期の連結決算で2年連続の最終赤字を見通しているものの、「新興国、特に中国での販売増は業績立て直しへの絶対条件」(同社首脳)としており、市場ニーズに合った商品力を強化、中国市場での拡販につなげたい意向だ。
《GM、フォード 上半期販売は過去最高》
深刻な経営難の続く米国自動車各社が中国市場への「依存度」を高めている。上半期(1~6月期)の中国での販売台数は、ゼネラル・モーターズ(GM)が前年同期比38%増の81万4442台、フォード・モーターも14%増の19万7212台と上期ベースで過去最高の販売台数を記録した。
フォードはバンコクにあるアジア太平洋地区本部を上海に移転する方向で検討しており、中国を生き残りへの“起爆剤”にしたい考えだ。
GM中国のケビン・ウェール社長は声明を発表し、「中国政府の内需拡大策と地方都市や農村の需要拡大で、中国の自動車市場は予想以上の成長をみせている」と表明。小型車「フィエスタ」が好調なフォードも、今年3月の発売以来4カ月で1万8000台余りを販売した。マツダと長安汽車との合弁会社、長安フォードマツダ製の上期の販売実績も20%増の14万386台となった。
中国で省エネ技術を搭載した小型車に力を注ぐフォードの場合、タイに置いてきたアジア太平洋地域の製造販売拠点を上海に移転する見通しで、アジアにおける「最需要市場」との位置づけになりつつある。
ただ、GMは経営再建の一環としてSUVブランド「ハマー」売却に応じた中国の民営重機メーカー、四川騰中重工機械との譲渡交渉が中国国内の反発で難航している。交渉の行方次第では販売に影響を及ぼす可能性もありそうだ。
(上海 河崎真澄/SANKEI EXPRESS)
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