【GM破綻の衝撃】(中)再生へ 中国が主戦場
2009/06/02 22:48更新
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海外の高級ブランド店が軒を連ねる上海市内の淮海(わいかい)路。周辺には慢性的に渋滞が発生する。そこではタクシーや小型乗用車はフォルクスワーゲン(VW)など欧州系が目立つが、大型車ではビュイックなどゼネラル・モーターズ(GM)も存在感をみせる。メンツを重視する中国人は「大きくて押し出しのきくGM車がお気に入り」なのだという。
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記事本文の続き クライスラーに続いてGMが米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したことで、春先に一部明るさをみせた米自動車市場に再び暗い影が差しつつある。トヨタ自動車の渡辺捷昭(かつあき)社長は「2009年の米自動車販売は全体で950万台水準」と前年と比べて3割減を予想する。
北米需要が3割も蒸発する異常事態は、GMなど米ビッグスリーだけでなく、トヨタやホンダなど北米市場を収益源とする大手各社を揺さぶる。このため、自動車業界は新たな収益源として新興国、とくに中国市場に狙いを定めている。
中国汽車工業協会が5月に公表した中国市場における今年の新車販売予測は、前年比8.7%増の約1020万台。世界同時不況の中でも旺盛な伸びを見込んでおり、すでに1~4月累計販売で米国を抜いた。年間で初めて世界一の市場に躍り出るのは確実だ。
米国で販売不振にあえぐGMも中国では好調だ。「通用」ブランドで中国展開するGMは、上海汽車との合弁会社「上海通用」を中心に中国事業を手掛けるほか、広西チワン族自治区でもミニバンや乗用車を生産している。
すでにGMは中国市場で上海VW、一汽VWと並んでトップ争いを演じている。GMは昨年、中国市場で109万台を販売したが、2013年までにこれを一気に200万台にまで引き上げる予定だ。また、新工場を今後5年以内に建設する計画を打ち出すなど、中国に対する強気の姿勢は崩さない。
GMがまとめた再建計画によると、新会社と旧会社に分離し、シボレーやキャデラック、ビュイックなどの有力ブランドは新会社に移管して早期再生を目指す。中国や韓国などの海外事業もこの新会社に引き継がれ、新生GMの屋台骨を支える見通しだ。北米工場は約3割削減するが、中国シフトを強めることで次の成長戦略を描く。
さらに上海GMでは、中国で生産した小型SUV(スポーツ用多目的車)を米国市場に輸出する計画も浮上している。上海の地元紙などが報じたもので、2014年までに約5万台の対米輸出を目指すという。これが実現すれば、中国からの初の本格的な米国向け自動車輸出となり、中国工場が世界市場で果たす役割も一段と重くなる。
数少ない成長市場の中国には日系メーカーも攻勢をかける。1~3月期の中国販売が落ち込んだトヨタでは、4月に開かれた上海モーターショーに渡辺社長が急遽(きゅうきょ)登場し、トップセールスを展開した。ホンダも現地でスポーツカー「SR-9」の発売計画を発表し、中国市場で存在感を発揮しようと躍起になっている。
勃興(ぼっこう)する中国市場では現在、10%のシェアを確保する有力なブランドは存在せず、群雄割拠の状態にある。最近では民族系と呼ばれる中国メーカーも性能を上げ、台頭しつつある。新生GMが再生に向けて重視する中国市場の覇者が、次代の自動車業界のメーンプレーヤーになるのは間違いない。(上海 河崎真澄、平尾孝)
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