巨人−中日 2回裏2死一、三塁、小笠原から右中間に勝ち越しの2点二塁打を打たれ、打球の行方を見つめる伊藤(由木直子撮影)=東京ドームで
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中日は11日の巨人戦(東京ドーム)に新キラーの期待がかかる伊藤準規(19)が先発したが、若さが裏目に出たのか2イニング3失点でKO。打線もつながらず連日の大敗となった。しかし落合博満監督(56)はライバルとの3連戦負け越しにも「御の字」と慌てる様子はない。長いペナントレースの「先を見ている」と指揮官。ペナント奪回という目標を、その視野にしっかりとらえている。
いいようにやられた。宿敵に完敗した。G党の歓喜の声が漏れる東京ドームの通路。バスへ歩く落合監督は笑顔だ。なぜか、してやったり、の表情なのだ。
「最低限の仕事はしたんじゃないか、この6連戦。そう思えばいい」
そう言ってほほ笑む。横浜、巨人相手に遠征した1週間。3勝3敗で終えた。勝率5割が最低限の目標? いや、そんな低いレベルで納得する指揮官ではない。余裕の笑みにはワケがあった。
「この15試合、良くない中でやって、それでもまだ貯金がある。こっちが見てるチーム状態ってのは最悪だ」
実は、開幕からずっと低調だった。特にこの6試合は最悪。結果として、順調に勝った。首位にも立った。だが、指揮官の目はだませない。結果と実情は別物だった。
「最悪」と分かっていながら、黙して15戦。貯金3を持って名古屋に戻る。しめしめ、うまいことやったもんだ…。そんな、おいしいスタートを切っていたのだ。
宿敵・巨人との最初の3連戦は負け越しに終わった。悔しい結果も、プラス評価の対象になる。「一番いいところと一番悪いところでやって、1勝2敗。それを考えれば、御の字じゃないか」。ノリノリ巨人対最悪ドラゴンズ。それでも競り合った。落合監督は「こっちは先を見ている」と、言う。この先、状態が同じなら…。手応えあり、の負け越しなのだ。
打線の低調ぶりはタイムリー欠乏症となって現れていた。この6試合、タイムリーヒットで点を取ったのは2試合だけ。しかもその間の全5本の適時打のうち、2本は投手の山井が打った。
打線の状態は最悪。といって深刻ではない。森野はこう語った。
「1年間やっていれば、こういう時期はどの球団でもありますよ。タイムリーも、出だしたらどんどん出るものだし、あまり考えることでもないでしょう」
9日の第1戦では4安打と打ちまくったが、ここ2戦は無安打。それでも悲壮感はない。開幕から打ちまくった和田は、巨人3連戦は計2安打とややペースダウン。ただ、打線の状態については森野とほぼ同じく、前向きにとらえる。
「こういう時期もありますよ。これはしょうがない。個人個人が自分のやるべきことをやっていれば、それが打線になっていきます」
いずれは活発に暴れる打線を思い描く。自然とそんな想像力が働く。やっている本人たち、そして動かす首脳陣には分かる。確かな手応えがある。 (生駒泰大)
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