2010年04月08日

                 トヨタ・バッシング(4)

前掲日経によると、「日米の政府当局者によると、2月に訪問した米通商代表部(USTR)のカトラー代表補は、外務省と経済産業省の幹部に対し、日本政府としてトヨタ問題に介入しないよう求めた。外交問題化すれば、普天間基地の移設問題をさらに複雑にする恐れがあるからだ」とある。マタイの福音書10−16には、「それは、狼の群れにあなたを送り込むようなものである。だから、蛇のように賢く、鳩のように素直になりなさい」(マタイの福音書10−16)とあるが、鳩山政府には、蛇のような賢さもなく、カトラー代表補の要請を鳩のように素直に受け入れている。この記事によると、まず、米国自身が、米議会でのトヨタ・バッシングは日米間の外交・通商上の問題(争い)に発展することを十分に認識している。ということは、日本政府が、普通の政府であれば例外なく、米政府・議会に対して抗議するのは当然の事柄である。しかし、何らかの抗議した形跡はまったくない。例えば、日本で実施されたエコカー補助金制度をとっても、日本政府は、当初、輸入車を対象外としていたが、米議会から「日本の非関税障壁」との抗議を受けて、輸入車も一部対象とする制度に変更している。「非関税障壁」とは「保護貿易」に関連する。日本政府の対応によって保護貿易制度(例えば、エコカー補助金制度)に問題があれば、米政府(議会)はぬかりなく抗議してその是正を求めているのである。米議会でのトヨタ・バッシングは、米国によるビッグ・スリーなどの自国産業を最優先する保護主義台頭の色彩が濃厚である。本来、保護主義と普天間基地移設とは別個の問題であるが、蛇のような賢さも持つ米政府は、予め、米通商代表部(USTR)のカトラー代表補を日本に派遣して、日本政府に対して、(トヨタ問題が、保護主義の観点から)外交問題化すれば、普天間基地の移設問題をさらに複雑にする恐れがあるといって、その介入阻止を要請したのである。日本政府はこれを受け入れた。これが、トヨタがスケ―プゴートにされた所以であろうか(日本政府関係者)。日本政府には蛇の賢さがなく、事態の推移を解説する素直な評論家の域をでない。一方、普通の外国政府はぬかりなく蛇の賢さを備えている。




iyotakaoka at 16:18│Comments(0)TrackBack(0)clip!

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