支持率低落に苦しむ鳩山政権が、「事業仕分け」に活路を見いだそうとしている。今月23日に始まる「仕分け第2弾」を控え、厚生労働省が12日に独自の仕分けを始める一方、衆参両院の民主党新人議員も同日、公益法人のヒアリング結果の報告会を開いた。自公政権が編成した09年度予算の執行状況を各省で精査する「行政事業レビュー」も行われる予定で、各種の「仕分け」が乱立状態。夏の参院選をにらみ、政権浮揚を仕分けに頼る構図が鮮明になっている。【鈴木直、青木純】
厚労省独自の事業仕分けは、同省所管の独立行政法人や公益法人などの事務・事業を見直すため、今後も週1~2回のペースで実施する。長妻昭厚労相は12日、省独自の事業仕分けで「厚労省は大きな予算を持っている。国民に『無駄がほとんどなくなったね』という信頼を勝ち取ることが最大の課題だ」とあいさつした。
仕分け作業には医療や福祉などの専門家や地方行政関係者ら民間仕分け人があたる。長妻氏は法人側に「改革案」を提示させ、議論のたたき台とするなど、独自性もアピール。この日の議論では、独立行政法人「雇用・能力開発機構」側が▽今年度限りで法人を廃止▽職業訓練校の指導員養成機能は別法人に統合する--などの改革案を示した。
これに対し、仕分け人からは「指導員の養成は民間に任せればよいのではないか」などの意見が出た。仕分け人からの意見は集約せず、長妻氏ら政務三役が概算要求の際の参考とする。
長妻氏は仕分け終了後、記者団に「事業仕分けの考えを省内に埋め込み、恒常的にやっていく」と強調した。
毎日新聞 2010年4月12日 22時43分(最終更新 4月12日 23時23分)