オオゴシトモエさんと作品のプラモデル。戦車は泥で汚れた様子までリアルに表現してある=2010年2月、東京都台東区 ウーマンアイ プラモ大好き 個性で勝負、私のガンダムプラモデル売り場に、女性の姿が目立つようになってきた。アニメのキャラクターから戦艦まで、何でも作り出せる面白さに目覚めた「プラモ女子」たちは、作品を好きな色に塗ったり、キラキラに飾ったり。リアルさを追求する男性とはひと味違い「世界に一つ、私だけ」の個性を出すのを楽しんでいるようだ。 「超合金みたいなボディー、きりっとした顔。かっこいい!」。東京都内の30代OLは昨年、人気アニメ「機動戦士ガンダム」のプラモデル(ガンプラ)を家電量販店で見て「一目ぼれ」。「作ってみたい」とプラモデビューした。 最初は部品を折るなど失敗続き。だがそれをブログで公開すると、女性を含む愛好者から多くの助言がもらえた。「仕上げの塗装はオリジナルにこだわらず、好きな色で塗る。私だけのガンダムを作れるのが楽しい」。実家の自室に換気扇付きの塗装用ブースまで設ける熱中ぶりだ。 2009年9月、東京の「新宿マルイアネックス」に開店した「模型ファクトリー」は、一人でプラモデルを買いに来る女性客も珍しくない。企画、運営する有馬律雄さん(34)は「百パーセント男性向けの店と思っていたが、意外に女性の関心が高くて」と驚いている。 かつて、男の子なら一度は夢中になったプラモデル。戦車、スーパーカー、ガンプラ…。流行商品は、その時代の少年のあこがれを映す鏡だった。だが、遊びの主役はゲーム機などに移り、少子化もあってプラモ人口は減っているといわれる。 そんな中、注目されるのが、増えつつある女性愛好者。有馬さんは「ガンダムが09年のテレビ放映30周年で再び注目されたことや、光る石で小物を飾る『デコ』など、もの作りが女性に身近になったことも影響しているのでは」と分析する。 ガンプラの発売元バンダイは09年7月、人の形のプラスチック製本体に、顔写真や洋服のシールをはって楽しむ「ペラモデル」を発売。着せ替え人形の特徴も併せ持っており、ターゲットは女性やファミリーだ。「プラモデルの面白さを知るきっかけに」と同社。 職業はプラモ作り、という女性も登場した。オオゴシトモエさん(31)。アニメや工作が好きで高校卒業後、声優を目指し広島市から上京した。10年前、模型専門誌の企画に参加して始めたプラモに熱中、現在は雑誌などから制作を請け負う「プロモデラー」に。 戦車など正統派も手掛ける一方、ガンプラに光るビーズを張るなど、女性ならではの発想も生かす。「女性は細かい作業に無心になれるから、プラモ好きになる素地はある」とオオゴシさん。「男性のように本物そっくりを目指すのもいいし、『かわいい』『きれい』を自由に楽しんでもいい。講座などで女性がプラモに触れる機会を増やしたい」と意欲的だ。 【共同通信】
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