2010年4月11日 14時26分 更新:4月11日 15時2分
井上ひさしさんの三女で劇団「こまつ座」社長の井上麻矢さん(42)が11日、劇団事務所(東京都台東区)で会見し、父の“最後の言葉”を明らかにした。「『作品を読んでもらうこと、劇場に足を運んでもらうことが僕の幸せ』と言って旅立ちました」
麻矢さんによると、井上ひさしさんは、肺がんと診断された直後の昨年11月から、抗がん剤治療を受けた。その治療は終わったものの、体力の消耗が激しくなった今年3月半ば、神奈川県内の病院に再入院。4月9日朝に帰宅したが、夕方に容体が急変した。妻のユリさん(57)、麻矢さん、大学1年生の長男佐介さん(18)の3人に見守られながら、眠るように息を引き取ったという。
麻矢さんは「親子というのを越えて尊敬できる父でした。井上芝居を継続して上演するよう言いつかっています。こまつ座はその遺志を受け継ぎ、活動を続けていきますので、その姿をみなさまに見守っていただき、一緒に歩いてくださったら」と語った。
出身地の山形県川西町にある遅筆堂文庫、山形市の劇場シベールアリーナ、中学・高校時代を過ごした仙台市にある仙台文学館、かつて住んでいた千葉県市川市の同市文化会館には11日、記帳台が設けられた。井上さん作「夢の裂け目」を上演中の新国立劇場(東京都渋谷区)も今後、記帳台を置く予定。