【ボクシング】東日本協会の“寛大”な対応　実は深謀遠慮？

　ボクシングの亀田一家を巡る騒動で、亀田ジム側は１２日、ジムの無期限活動停止と父、史郎氏のライセンス返上などを盛り込んだ上申書を日本ボクシングコミッション（ＪＢＣ）などに提出。上申書を参酌した東日本ボクシング協会は、処分を先送りする慎重姿勢を示した。史郎氏の言動は過去にも問題を引き起こし、東日本協会内には「除名」を求める強硬派も。だが、ジム側の低姿勢に同協会が折れ、“寛大”な態度を示した格好だ。

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　６日の緊急理事会では処分対象となる亀田ジムの五十嵐紀行会長の除名を求める意見が多かった東日本協会。だが、この日の理事会では一転して慎重な姿勢に終始した。

　理事会の冒頭に五十嵐会長が▽自らの会員資格の無期限停止▽活動再開は協会の判断に任せる▽亀田３兄弟を協会預かりとしてほしい▽以上に反した場合は除名されても異議はない−との４項目を骨子とする上申書を提出。合わせて史郎氏がセコンドライセンスをＪＢＣに返上して業界から身を引く考えであることも報告した。

　理事会は申し出を全会一致で受理。今後に立ち上げる調査委員会の結論を待って処分を決める。低姿勢に転じた亀田ジム側に、振り上げた拳の下ろしどころをなくして処分を先送りしたかの印象だ。だが、深謀遠慮のうえ、あえて早急に強硬な処罰を下すことを避けたとする見方もある。

　協会は任意団体だが、除名されればジム側は興行などプロとしての活動ができなくなり、事実上の廃業に追い込まれる。権限が大きいだけに、協会側は厳しい処分を下して法廷闘争に持ち込まれた場合を想定し、手続きで瑕疵（かし）を残したくない。そのため慎重に手順を踏んだというのだ。ある協会関係者は、調査の結果、亀田ジムに問題があると判断すれば除名処分を下す可能性も「十分にある」とした。

　結論が出るまでの間、３兄弟は協会預かりとなる。試合に出ることは可能だが、世界王者クラスの選手が協会扱いとなった前例はなく、ファイトマネーの扱いなどに明確な規定もない。すべて今後の話し合いが必要で、実現までは紆余（うよ）曲折が予想される。（只木信昭）