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大阪・梅田北ヤード「ナレッジキャピタル」…「ロボ開発特区」高まる声

産官学の研究拠点、ナレッジキャピタルの中心に作る交流の場「ナレッジプラザ」の完成予想図

 JR大阪駅北側の梅田北ヤード開発で、2013年に街開きする先行開発区域の着工披露パーティーが9日開かれ、経済界や行政、大学の関係者から期待の声が相次いだ。中でも、産官学で作る「ナレッジキャピタル」は、最先端の情報通信技術やロボット技術の実用化を目指す研究拠点として注目される。研究を実りあるものにするためには、ナレッジキャピタルを「特区」にするなど、行政支援や規制緩和の必要性が指摘されている。

(戸田博子)

 パーティーで、開発にかかわるオリックスの宮内義彦会長は、ナレッジキャピタルについて、「北ヤード成功の中核を担う。世界に(二つと)ないものにしたい」と述べ、平松邦夫大阪市長も「日本の最先端の知能が集まる場所になる」と強調した。

 目玉の一つになりそうなのが、ロボット技術をテーマにした「ロボシティ・コア」だ。国際電気通信基礎技術研究所(ATR)は、買い物をロボット技術で支援するための実証実験などを検討している。ATRの萩田紀博・知能ロボティクス研究所長は、「大阪の厳しい消費者の批判に、技術がさらされることで開発が進む」と話す。

 大阪市はロボットの産業化に力を入れており、関西には研究機関も多い。デンマークなど海外から、ロボット技術の視察も相次ぐ。ただ、日本は道路交通法や薬事法などで厳しい規制があるため、ロボット技術を町の中で試すことができず、「関西の技術が、先に海外で実用化されてしまう懸念もある」(大阪市)という。

 宮原秀夫・情報通信研究機構理事長は、「ナレッジキャピタルを特区制度などで規制緩和する必要がある」と話す。北ヤードを魅力的な開発の場所とするために、産官学の一層の連携と工夫は不可欠だ。

ロボットラボラトリー 石黒周リーダーに聞く…福祉分野が有望


 関西のロボット産業の振興と北ヤードの可能性について、ロボットの研究を進めるロボットラボラトリー(大阪市)の石黒周リーダー=写真=に聞いた。

 ――関西の強みは。

 「関西はロボット技術を活用した事業化が進む日本で唯一の地域だろう。家やビル、街など空間をセンサーなどで制御する『ネットワークロボット技術』の研究に優れており、事業化しやすい。ハードウエア(機器)重視の名古屋や、産業用ロボットに注力する九州とは異なる点だ」

 ――どんな事業が有望か。

 「介護や医療の分野だ。家をセンサーなどのロボット技術で見守り、異常があれば医師に連絡できる。エネルギー制御や買い物支援も考えられる」

 ――北ヤードの役割は。

 「特区にして法規制を少し解除すれば、実証実験などを進めやすくなる。事業を具体化し、全国や世界に広げられる。北ヤードは世界最先端の場所になり得る」

2010年4月10日  読売新聞)

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