産経関西(産経新聞大阪本社公式ニュースサイト)

隆替の年月 リンゴ事件2 (57)

 被害総額40万円。

 「いまさら警察に訴えてもしかたがない」と被害届も出さなかったが、マスコミに「大阪は本当に怖いところ」ということばを残して帰った。

 大阪新聞は、事件の発生から3日後に「大阪の良識を取り戻そう」キャンペーンを展開した。これが当時の佐藤編集局長の発想である。

 「いまからでも大阪の良識を取り戻しましょう。持ち帰ったリンゴの代金を支払うのも反省の証の一つです」と代金の支払いや寄付を紙面で呼びかけた。

 キャンペーンは大きな反響と共感を呼んだ。

 「天満橋のサラリーマン」を名乗る人からは「事情が分からず、4個拝借しました。申しわけありません」と代金の倍額の2千円を届けてきた。「大阪のイメージダウンになるのはたまりません」と10万円をボンと寄付する団体も現れた。

 青森出身の舞踏家・江口乙矢さんも3万円を寄託。寄金は31万2500円に達した。

 現地の希望に沿い、交通遺児のために役立ててほしい、と編集局長が弘前市役所を訪れて、大阪市内の幼稚園児が描いた200枚のリンゴの絵とともに福士文知市長に託した。当の被害者からは、「大阪人の真心に触れることができました」と手紙が届いた。

 大阪、弘前の両市が市制100年を迎えた平成元年からは、府内の福祉施設へのリンゴの寄付がスタート。そして平成9年も10月23日、市内のホテルで金澤隆弘前市長から大阪新聞社に20ケースのリンゴが託された。

(大阪新聞75周年記念誌から)

前の記事:隆替の年月 リンゴ事件1 (56) »

後の記事:隆替の年月 国際花と緑の博覧会1 (58) »

ホーム

第二京阪道路バナー

変わるロータリークラブ「第2660地区」の元気人のバナー

フォトニュース

金閣寺 修復完了 再び 3空港懇バトル 橋下知事 井戸知事 桂吉坊さん(鳥越瑞絵撮影)
【麗(うるわ)し大和】 (15)柳生みちの仏たち 子宮頸がん受診 大阪・ミナミで街頭キャンペーン 「春の新聞週間」 大阪・キタでアピール
JR西日本,梅小路蒸気機関車館 夏日 特別公開が始まった国宝・飛雲閤