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ゲーム機戦争のルールが変わったというのはあるんだろうね。



「ゲーム機戦争」は終わりました
ま、この人がそれを言うかなというのはあるが、似たような認識はこれから広がるでしょう。それはエンターブレインの浜村氏の講演にも現れています。

講演内容には注目すべきポイントがいくつかありますが、大きく2つ取り上げます。
これらの動きを総括して浜村氏は、2010年以降のゲーム市場には“チープとゴージャス”、“カジュアルとヘビー”、“マルチでロングライフ”と言った真逆のキーワードが同時多発的に生まれ、さまざまな分散進化を遂げると断言
「ニンテンドー3DS」(仮称)について、「3Dは大きなウリではないのかもしれない。3D以外に大切な何かが隠されているのでは」と見解を述べたうえで、ライバル機PSPの新型については「当然開発はしているだろうが、今のところ耳には入らない」との見通しを示した。
(略)
浜村社長は「10、11年のゲーム業界は調整期」としたうえで、「ゲームハードが長寿化している。11年の完全地デジ化に対応し、Wiiソフトが使えるHD機はあるだろうが、PS3は向こう5年間、家電との融合が進むのでは」と見方を示した。
まず1点目。
うちの読者ならすでに周知の事実でしょうが、ゲームマーケットが分化しています。任天堂ハードとそれ以外、カジュアルゲーム機Wiiとゲーマーの楽園PS3&Xbox360、という具合に。あるいはコンシューマーゲームとソーシャルゲーム。

かつてソニーはプレイステーションをして「すべてのゲームがここに集まる」と宣言しました。しかしもはや1つのゲーム機がそのような状態になることはありません。Wiiにおいてサードパーティ離れが進んでいる事からも、それは明らかです。普及台数がどれほど巨大であろうとも、もはや1つのゲーム機にソフトが集中し、寡占化することは無いでしょう。

ファミコン時代からいわゆる「ゲーム機戦争」を追いかけてきたゲームファンにとって、任天堂とセガの競争、ソニーへの『FF7』の移籍といった出来事を記憶しているオールドゲーマーにとってはつまらないかもしれません。しかし例えば、『ドラクエ』は任天堂のゲーム機、『FF』はPSファミリで主力展開されています。

普及台数が最も大きなゲーム機にソフトを供給すればよかった時代は終わり、ソフトメーカー各社は市場の動向を見極める必要があります。ユーザーに自社ソフトをアピールする手段は多様化し、ユーザーを囲い込む方法も多種多様です。

結果として、1本あたりにかけるべき広報費は莫大なものになり、もうかっている企業も開発費と広報費を集約するため、ソフトタイトルの選別を始めました。それが一昨年、去年に加速して、業界内の案件数の減少につながり、開発会社の経営が急速に悪化しました。

開発会社の中には、否が応でも、コンシューマーゲーム以外の案件に移行せざるを得ない所もあり、結果として業界の分化が進んでいきます。ゲーム機業界とゲーム機市場は分化していき、統計上は縮小するかもしれませんが、ソーシャルゲームやiPhoneを含んだ総体としては拡大するのでしょう。

ソフトメーカーだけでなく、ユーザーの側も「売れているゲーム機を買う」から「自分が必要なゲーム機を買う」という能動的な選択を迫られます。「普及台数が一番多いのはWii! 待っていればすべてのゲームはここに集まる!」という事はなく、最先端の濃密な体験を求めるなら、各社のエース級人材が制作した大作ソフトの発売されるHDゲーム機を買うほかありません。

大雑把にいえば、カジュアルゲームを家族や友達と楽しみたいならWii、ゲームファン向けのタイトルを楽しみたいなら、「ゲーマーの楽園」たるHDゲーム機が良いでしょう。無論、ゲーマーといっても、最新作についていってる人もいれば、昔のソフトを中心に遊ぶ人もいます。懐かしいゲームを遊びたいなら、Wiiでバーチャルコンソール、PS3でプレイステーションアーカイブを楽しむのも良いでしょう。


2点目はより重要です。
浜村氏が指摘するように、ゲーム機の発売時期が大きくずれる可能性が高まっています。WiiはHD化を急ぐ理由がありますが、PS3とXbox360には理由がありません。

もし仮に、ネット上でさまざまな憶測や噂が流れているとおりWiiがHD化したところで、Wiiとの互換性を維持するなら、性能向上は知れたもの。ソニーやマイクロソフトにすれば、ライブラリやネットワークサービスも充実してきた現行機をリセットするより、新型モデルや新コントローラ投入で、ハードを活性化させた方が賢い戦略です。アップデートで機能を追加していけるため、慌てて次世代に移行する必要は皆無です。事実、PS3は新型モデル投入やtorne投入で活性化しています。

話は据置ゲーム機に限らず、携帯機においても、同様に3DSと次世代PSPの発売時期がずれる可能性もあります。ハードとして完成しているかどうかではなく、サービスをどう提供するかの部分がネックになるのかもしれません。

iPhoneOS4.0ではソーシャルゲームネットワーク「Game Center」が実装されます。世界で最も成功したゲーマーネットワークであるXbox LIVEは、あらゆるプラットフォームホルダーにとってのリファレンスモデルになっており、ユーザーの性質に違いがあるとはいえ、Appleの「Game Center」、SCEの「PlayStation Network」もその流れをキャッチアップしています。
(より正確には、Xbox LIVE→OpenFeint→Game Centerというキャッチアップと解釈する方が正しいかも)

WiiとHD機の現状をみれば、ハードメーカーが普及台数を勝ち誇っても、サードパーティは冷淡です。であれば、ゲーム機メーカーは「競合機よりも早く発売して、先にxxx万台普及した方がリードする」という勝負をする必要はありません。むしろ半端に同じ時期に発売して、おかしな印象を持たれることのほうが危険です。

ネットワーク化が進むことで、コミュニティは同質化の影響を受けます。PS3はBD対応、PSNでの映像配信、そしてtorneの投入によって、AVに関心のあるユーザーを吸い寄せました。任天堂やマイクロソフトが似たようなことを始めても、今更そちらには行かないでしょう。特定のテーマに関心のあるユーザー層が特定の「ネットワーク」に吸い寄せられ、定着していく。

ゲーム機だけの話ではなく、ソーシャルメディアも同様です。
mixiが会員数最大としても、数百万会員のクックパッドやpixivが生まれたように、ネットワークにおいては単純なユーザー数は意味を持ちません。大切なのは特定の年代や、特定のテーマにおいて、No.1であることです。mixi、モバゲー、グリーの3大SNSの競争が激化する中、それぞれのSNSでヒットするソーシャルゲームの傾向には違いが現れています。

プラットフォームを名乗るなら、一定の規模感は必要です。しかし数だけがすべてではない。ソフト供給側は着実にそういう認識を持ち始めています。普及台数至上主義は終わった。


コメント

はじめまして。寿方ともうします。

開発費高騰の面からいえば、「手離れが悪くなっている」こともあるように思います。

PS陣営を例に話をさせてもらいます。
PS2までは(任天堂は今もこうかもしれませんが)ゲームソフトは、パッケージ出荷時までが勝負でした。
○ゲームを構成する「全て」を、パッケージに納めておかなければならない。
○出荷後のバグ修正はできない。デバッグ作業は徹底的にやっておく必要がある。
○人海戦術を使ってでも、出荷に間に合わせる。
○そして出荷してしまえば、「あとは野となれ、山となれ」。
深刻な不具合などで回収にでもならない限り、手を入れるチャンスなどありません。
そして開発者たちは、次の仕事へ…。

しかし、PSP、PS3以降、この状況が変わりました。
○後から追加要素を「配信」できる。しかもそれが、商売にもなりうる。
○バグにはアップデートで対応できる。だからといって、手を抜いて良いわけではないが。
○手を入れ続けることで、ゲームの商品寿命を延ばすことも可能。

でもこれは、裏を返せば

「パッケージ出荷後もそのゲームのために、人を貼り付けておく必要がある」

ということなんですよね。しかも誰でもいいわけではなくて、そのゲームをよく理解している、開発に深く携わった人材を。
ただでさえクリエイター「質」が求められている時代に、「替りの人がいない仕事」に拘束される期間が長くなっていく。
人材をやりくりしている人たちにとっては、頭の痛い話です。

>寿方さん
1タイトルを長く売っていくことの重要性は増していますしね。任天堂は例として引くまでもありませんが、サードパーティでも、モンハン、ドラクエ、ラブプラス、ゴッドイーターはそれぞれ、長く売るための施策をしていましたね。

また、単一のソフトではなく、シリーズ全体で存在感を維持しようとしたのは、アイマス、初音ミク プロジェクトDIVAでしょうか。オタク層は情報の投下を怠らなければ、自分たちで情報をひろってくれるから、比較的効果が高いですね。

任天堂の場合、ロイヤリティを支払う必要がないため、サードに比べて、価格をさげたり、広報費をたくさん使えるのが強いですね。積極的に情報をひろってくれないカジュアル層を取るなら、継続的な宣伝は不可欠です。

もっとも任天堂も、すぐに宣伝を打ち切るソフトは打ち切りますね。そこは冷静にして冷淡。レギンレイヴも冷静に見切りました。このあたりの見極めは見事。開発はロマンを追うこともあるし、ユーザーも作品愛ゆえに盲目になりがち。


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