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デモ死者21人、負傷者858人に 首相に退陣圧力強まる '10/4/12

 【バンコク共同】タイの首都バンコクで、軍など治安部隊が、タクシン元首相の支持団体「反独裁民主統一戦線(UDD)」のデモ隊に対し10日実施した強制排除は、UDDの激しい抵抗を招き衝突が拡大、在タイ日本大使館などによると、ロイター通信日本支局の日本人カメラマン村本博之むらもと・ひろゆきさん(43)ら21人が死亡、負傷者は858人に上った。

 13日から始まるタイ正月を前に打って出た強硬手段で多数の犠牲者を出したことで、アピシット首相への退陣圧力が強まっている。政府報道官は記者会見で「UDDが違法行為を続ける状況で、制圧は困難だった」と、強制排除の失敗を認めた。UDDは徹底抗戦の構えで政府との交渉を断固拒否し、議会解散までデモ隊を撤収しない方針。

 タイでは昨年4月にも、治安部隊とタクシン派の衝突で死傷者が出ており、2年続けての流血の事態となった。政府は11日、UDDが占拠する繁華街などから軍兵士らを撤収させた。

 UDDは12日には衝突で死亡したデモ参加者の遺体を入れたひつぎとともに、首都各地でデモ行進を行う予定で、勢いを増したUDDが抗議行動をさらに過激化させる恐れもある。政府は交渉の道も断たれ、実力行使も困難な状況だ。

 ロイター通信によると、村本さんは同社で10年以上勤務、8日に日本を出発した。病院当局者によると、左胸を撃たれて死亡したという。村本さんの家族は11日夜、バンコク入りした。

 アピシット首相は、深い哀悼の意を表すとともに、事実関係調査や在留邦人保護へ努力することを表明したメッセージを、外交ルートを通じ鳩山由紀夫首相に伝達。これに対し鳩山首相は、村本さんの死に遺憾を表明し、真相究明を求める書簡をアピシット首相に送った。




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