(cache) 満島ひかり、ワキ毛もじゃもじゃにも「抵抗なかった」…映画「カケラ」主演

　報知映画賞新人賞など昨年の映画賞レースで注目された女優・満島ひかり（２４）がスポーツ報知のインタビューに応じた。満島は現在公開中の映画「カケラ」（安藤モモ子監督）に主演しており、話題を呼んだ「愛のむきだし」（０９年、園子温監督）に続く主演作。満たされない恋に悩む女子大生を好演している。今年は木村拓哉（３７）主演のフジ系“月９”「月の恋人」にも出演。映画賞が自身にもたらしたものは何だったのか、聞いてみた。

　昨年は報知映画賞新人賞を始め、各映画賞を受賞。飛躍の年となった。

　「賞をもらうのはすごくうれしい！　人に認められた証しをもらったような気がして、うれしい気持ちでいっぱいになる」満島は、澄んだ大きな瞳を輝かせ、声を弾ませた。

　受賞を受け、周囲は慌ただしさを増すが、マイペースを崩さない。冷静に自然体で自分自身と向き合っている。「正直、周りの環境はすごく変わったと思う。でも、私の中の変化はそこまでない。背伸びしない状態で物事に取り組むことができている」

　最新作「カケラ」では、恋に満たされない女子大生役を演じた。事故や病気で失った体のパーツを作るメディカルアーティスト（中村映里子）と知り合い、突然、愛の告白をされる。戸惑い、驚きながらも「男」「女」ではなく、本当の愛とは何か？　感情とモラルのはざまで葛藤（かっとう）していく―。

　昨年公開の「―むきだし」では、同性愛や自慰行為、アクションシーンに挑戦。ちょっと過激で強くたくましいキャラクターを演じ、注目されたが、今作では一転、内気で精神的な弱さを持った役どころ。

　劇中では、半ば犯されるような形で彼氏に体を許してしまったり、ドアを開けっぱなしにして用を足したり。「女子に対する男のファンタジーを消したかった」という安藤監督の狙いから、体毛をそることを禁止され、わき毛もモジャモジャに生やした。

　「撮影になると恥じらいは必ず出るものだし、あって当然だと思う。でも、事前に話し合っていたことだから、抵抗はなかった。最初は自分の役を愛せなかったけど、今は、いい機会をいただけたと思っている」

　現場では、手取り足取りで指導を受けた中村とは対照的に、満島に対しての演出は一切なし。あえて満島を葛藤させるための安藤監督の戦略だったようだ。

　「みんなが映里子ちゃんばかりをかまっている状態。私はずっと無視されていた（笑い）。監督からは『何も演出しないから覚悟していてね』と言われていたけど、あまりにも演出されないので悶々（もんもん）としていた。煮え切らない感じがずっと顔に出ている（笑い）。普段とは違う、自分の嫌いな部分をたくさん引き出してもらった」

　現在、キムタク主演のフジ系「月の恋人～Ｍｏｏｎ　Ｌｏｖｅｒｓ～」（５月１０日スタート、月曜・後９時）の撮影の真っ最中。１月期のＴＢＳ系「ブラッディ・マンデイ―シーズン２―」に続く連ドラ出演は、新たな発見の連続だ。

　「ドラマは瞬発力勝負でおもしろい。その日、その場で対応していかなきゃいけない。ババババババッって進んでいく。毎日（何かに）挑戦していたいので、これも貴重な経験ですね」

　映画では満たされない恋に悩む役どころだったが、自身はすてきな恋愛をしているのだろうか。「はい！　な～んて言ってみたりして（笑い）」。映画の新人賞は通過点。立ち止まることなく、演技の世界を疾走している。

　◆満島　ひかり（みつしま・ひかり）１９８５年１１月３０日、沖縄県生まれ。２４歳。沖縄アクターズスクールに在籍し、９７年に「Ｆｏｌｄｅｒ」で歌手デビュー。同年「モスラ２　海底の大決戦」で映画デビュー。「Ｆｏｌｄｅｒ５」に移り、２００２年に活動休止に。０３年に芸能活動再開。女優に転身し、映画、舞台を中心に活動。０９年報知映画賞新人賞。雑誌「ｐａｐｙｒｕｓ」で初連載「まつげのここち」スタート。祖父が仏系米国人のクオーター。身長１６２センチ。血液型Ａ。

　◆人間力強い　○…「カケラ」は俳優の奥田瑛二（６０）、エッセイストの安藤和津夫妻の長女・安藤モモ子監督（２７）のデビュー作。桜沢エリカ氏のコミック「ＬＯＶＥ　ＶＩＢＥＳ」が原作だ。満島の起用理由について、安藤監督は「持っていた魂と空気で、この子と一緒にやりたいと即決した」と説明。「人間力が強く、全身全霊でぶつかってくる子。難解な壁があって、それが高ければ高いほどのし上がろうとする。『一生懸命』という言葉が似合う。ひかりちゃんだからこそ成立した」とたたえた。

　◆来月１日からまた主演映画　○…満島は、５月１日に主演映画「川の底からこんにちは」（石井裕也監督）が封切られる。仕事も恋愛もうまくいかない日常を送る派遣ＯＬ・佐和子役。父親が病に倒れ、田舎に帰郷。倒産寸前のしじみ工場の後継ぎになる役どころ。「素の表情が出ている。地元（の沖縄）にいる時の自分みたいな感じ」