レジ袋の有料化を巡り、スーパーの足並みに乱れが出始めた。自治体と小売り各社が協定を結んで進めてきたが、顧客離れを懸念する一部のスーパーが離脱。協定締結そのものを中止するケースも出てきた。消費不振が長期化するなかで、一部の小売企業は環境対策の重要性を認めながらも、集客を優先せざるを得ないと判断しているようだ。
滋賀県は今春、レジ袋の無料配布を中止する協定をスーパーと結ぶ計画だった。だが、地元で高いシェアを持つ平和堂などが参加を見合わせたため、断念した。
埼玉県川口市は12社と協定を結んで2008年11月からレジ袋の有料化を開始した。ところが、昨年3月にサミットとベルク、6月にダイエー、11月にヨークマートなどが相次いで離脱。「景気低迷で、有料化がサービス低下とみられることを懸念したようだ」(川口市)。
同市は今年6月により強制力のある条例を施行する計画。顧客の「マイバック持参率」が6割まで増えるように小売り側に計画書の提出を義務付ける考えだが、どこまで実効性を伴うのか不透明な部分もある。
大手スーパーの間では、レジ袋有料化を見送る一方で、レジ袋の辞退者に現金を還元する動きが広がっている。イトーヨーカ堂は27店でレジ袋を有料にしているが、昨年12月以降はその他の全店でレジ袋の辞退者に2円引きのサービスを提供するようになった。西友なども同様の仕組みを全店に広げている。
日本チェーンストア協会によると、08年3月時点で23社110店がレジ袋の無料配布を中止。09年12月には40社1369店に拡大した。環境意識の高まりで今後もこうした傾向は続く見込みだが、消費不振の深刻化がここにきて、一段の浸透に向けての障害になっている。
大手スーパーのように現金の還元でレジ袋の辞退を促すには一定の体力が必要。また、レジ袋の有料化に関する自治体とスーパーの協定は、地域内の「一定規模の企業を集めたものでないと成功しにくい」(環境省)という面がある。環境対策と集客強化をどうバランスさせるのか。小売り各社の知恵と工夫が改めて求められている。
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