日高義樹(ハドソン研究所主席研究員)
もはや多くを期待するのは難しい
ハーバード大学やハドソン研究所の学者たちは、アメリカの不景気が長く続き、失業者が減らないだろうと考えている。不景気が長く続き、失業者が減らないということになれば、アメリカの人々は世界のことなど考えられなくなる。
ヘンリー・キッシンジャー博士が私とのインタビューのなかでこういったことがある。
「アメリカは強大な力をもっている。アメリカの能力を見くびるべきではない」
キッシンジャー博士の主張は認めるとしても、われわれは現在のアメリカがこれまでとはまったく変わっており、アメリカの人々がこれまでとは違った考え方をしはじめたことを知る必要がある。
17%、27%、47%、50%、この4つの数字はいまのアメリカにとって、もっとも重要なものだ。17%はアメリカの現在の失業者の数である。この数字はオバマ大統領が発表している数よりもはるかに多い。政府による日雇い労働を失業者とすれば、現在の失業者の数は2000万に近く、全労働者の17%である。27%は黒人の失業率。47%は黒人の若者たち、16歳から19歳の失業率である。50%というのは過去2年のあいだに6カ月以上失業していたアメリカ人の数だ。
こうした数字は、アメリカの失業がオバマ大統領の発表に比べてはるかに深刻であることを示している。
オバマ大統領は、2010年の大統領再選までに失業者の数を半分に減らしたいと述べているが、そうするためには毎月、25万の仕事を作り出さなければならない。アメリカ労働省によると、オバマ政権は就任以来一つの職をつくるのに120万ドル掛けている。もし大統領が公約を実施し、毎月25万の仕事をつくろうとすれば、毎月3000億ドル必要だ。
オバマ大統領が発表した2011年度のアメリカ政府の予算は4兆ドル。それに対し歳入は、税金などの収入が減っていることもあり、2兆4000億ドル。2011年度の財政赤字は1兆6000億ドル。これに加えてオバマ大統領は、国民健康保険を改正して国家による援助を増やすことを考えており、今後赤字が増えるが、毎月25万人もの職を作り出すためには膨大な経費が必要であり、そしてアメリカ政府の赤字は天文学的な数字になる。
アメリカの人々は世界戦略どころか自分たちの生活のことだけでいっぱいであり、内向きにならざるをえなくなっている。今後さらに失業が増えつづけ、財政赤字が増大すれば、アメリカ社会全体が世界から切り離され、閉塞感にとらわれてしまう。
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