第拾四話 動揺






第3の使徒




突如暗闇の中、モニターに文字が映し出された。

その後、何かの映像が映し出され、そこには山と山の間をUN軍の戦闘機に囲まれながら歩く緑の巨人の姿があった。


サキエル、襲来




再び文字に切り替わるが、すぐに映像に戻る。

UN機からミサイルがサキエルに向かって放たれ、数発が命中するもののダメージは見受けられない。


使徒に対する通常兵器の効果は認められず、

国連軍は作戦の遂行を断念

全指揮権を特務機関『ネルフ』に委譲

同深夜、使徒、ネルフ本部直上へ到達

当日、接収された

3人目の適格者



しばらくモニターには文字ばかりが次々と表示されていたが、ここでモニターにシンジの姿が現れた。

ゲンドウに向かってニヤニヤと笑いかける姿が映し出され、シンジがゲンドウをあざ笑っている様子がはっきりと分かる。


碇シンジ

搭乗を承諾

エヴァンゲリオン初号機、初出撃

ネルフ、初の実戦を経験

第一次直上会戦



初号機がサキエルの目の前に射出されるも、なす術も無く一方的にやられる初号機。

初号機は光のパイルで頭部を打ちぬかれて兵装ビルに叩きつけられ、頭部からはあたかも人間の血のような真っ赤な液体が激しく噴出す。


エヴァ初号機、頭部破損、制御不能

完全に沈黙

後、

暴走


第三新東京市街戦の中間報告書を読み上げるミサトの声をバックに、モニターの中にはサキエルに向かって走っていく初号機がいた。

第3使徒、及び初号機における

A.Tフィールドの発生を確認

初号機、目標のA.Tフィールドを侵食



先ほどまでと異なり、一方的にサキエルを虐殺していく初号機だが、どこか冷静に殺戮を行っているのに気付いた者はいるのだろうか?


使徒、殲滅

迎撃施設、一部破損
エヴァ初号機、中破

同事件における被害者の有無は公表されず




その後も今までの使徒戦の様子がモニターに次々に映し出されていく。

サハクイエルを殲滅する様子までが終了し、黒地に白の明朝体の文字がまた画面を支配する。


第11の使徒

襲来事実は、現在未確認

ネルフ本部へ直接侵入との流説あり



「いかんな、これは。」


ここまで画面から流れてくる音以外、何も無く、人の存在が感じられなかった部屋に突然声が響いた。


「これは早すぎる。」

「左様。使徒がネルフ本部に侵入するとは予定外だよ。」


すると、その声に触発されたかの様にいくつもの声が暗闇の中に木霊していく。

それと同時に六人の男が姿を現した。

いや、正確にはこの場にいるのは最も入り口に近いところに座っている男と、その男のすぐ後ろに控えているやや老年の域に達しようかという男だけである。

他の椅子に座っているのはどうやらホログラフのようだ。

ネルフの将校に支給される服を着ている男は他の責めるような声に動じる様子も無く、ふてぶてしい態度のままで言い放つ。


「委員会への報告は誤報。使徒侵入の事実はありませんが。」

「では碇、第十一使徒侵入の事実は無い、というのだな?」

「はい。」

「気をつけてしゃべりたまえ、碇君。この席での偽証は死に値するぞ。」

「MAGIのレコーダーを調べてくださっても結構です。その事実は記録されておりません。」

「笑わせるな。事実の隠蔽は君の十八番ではないか。」

「タイムスケジュールは死海文書の記述どおりに進んでおります。」


静かに、そして激しくやり取りが行われるが、碇と呼ばれた男はあっさりと追及をかわしていく。

責めているほうもゲンドウが虚偽の報告をしているのは分かっている。

だが尻尾を簡単に出すような男でないことも分かっている。

そもそもそうでなければゲンドウがこのような場に席を置くことなど出来ないだろう。


「まあよい。」


最も奥に座っていた男が厳かな声で制止する。

目の部分には視力に問題があるのか、バイザーが付けられており、その表情はゲンドウ以上に読み取ることが出来ない。


「今回の君の罪と責任は言及しない。」


そう言って正面に位置するゲンドウを見る。

相変わらず口元を手で覆い、目元もサングラスによって隠され、感情は読み取れない。


「だが、碇。君が新たなシナリオを作る必要は無い。」


その声には有無を言わせぬ強さが込められていた。

だが、その声が向けられた相手はゲンドウであり、その効果があったかは疑問ではある。


「はい、分かっております。全ては、ゼーレのシナリオ通りに。」


型どおりの受け答えをするゲンドウ。

今やゲンドウの言葉をそのまま信じているものはこの場にはいない。

そもそもゼーレは白人至上主義的であり、彼らにしてみればゲンドウがこの場にいることに納得していない。

だが、彼らの進める計画―――人類補完計画を実行するに当たってゲンドウ以上に優秀な人材はなかった。


「では今日はここまでだ。」


会議が一通り終了し、バイザーの男―――キール・ローレンツが散会を宣言した。

しかし、それをゲンドウが呼び止める。


「お待ちください、キール議長。」

「なんだ、碇。」

「お話したいことがございます。」


ほう、とキール以外の委員会の人間が溜息をもらす。

このゲンドウの行動はよほど珍しいことのようだ。


「ある組織についてなのですが・・・」

「君の言う組織についてはこちらでも調べている。」


ゲンドウが最後まで言ってしまう前にキールが言葉を遮る。

ゲンドウはわずかにサングラスの下の目を見開き、動揺を見せるが他のメンバーが気付くことは無かった。

ただキールだけは珍しく見せたゲンドウの感情に気付いていたが、特にそれに言及することは無かった。


「すでにお気づきでしたか・・・」

「見くびるな、碇。」


ゲンドウの右隣に座っていた男が冷たく言い放つ。


「我らゼーレに隠し事などしないことだよ。」

「左様。あの披露会には我らゼーレの人間もいたのだよ。」

「別に隠していたわけではありません。こちらである程度存在を掴んでから報告しようと考えておりました。」

「ふん、どうだか。」


再びゲンドウに非難の言葉が次々と浴びせられるが、ゲンドウは先ほどと変わらず冷静に返す。


「止さぬか。」


熱くなりかけた場を再びキールの静かな声が鎮める。


「ともかくこちらで調べた結果、ある程度存在が判明している。詳細が分かればまたこちらから連絡する。

 以上だ。」


これ以上の議論は無用、と言わんばかりに強制的ともいえる口調で会議を終了させるキール。

そのキールらしくない様子にゲンドウの中に疑問が浮かび、すぐにそれは確信に変わった。


(ゼーレでも無理だったか・・・)


リツコに調査を命じていたが全く詳細をつかめず、前回のイロウル戦でも介入してきた。

ゲンドウとしてもゼーレに頼むのは嫌だったが腹を決めて今回の会議に臨んだのだった。

しかし、ゼーレにはすでに情報を掴まれており、その上ゼーレの情報網を持ってしても詳細がつかめない。

二重の意味でゲンドウは内心で落胆していた。

もちろんそれが分かるのは長年付き合いのある冬月くらいのものであろうが。


(やはりな・・・)


目立たぬように部屋の端に立っていた冬月だったが、冬月はある程度この結果は予測していたことだった。

なんらかしらの根拠があったわけではないが、なんとなくそんな気がしていた。


(全てはシンジくんが来てからかな・・・。どうにもイレギュラーな出来事が増えているのは。

 あの子が来てから計画に支障をきたすような気がしてならんな。)


これまで何度と無く浮かんだ疑問だったが、答えは出ることは無い。

ふっ、と自嘲気味な笑みを浮かべる冬月。


(ユイ君に会うための計画を彼女の息子が潰す、か・・・。もしそうなら皮肉なことだ。)


「冬月。」


ゼーレのメンバーが見えなくなり、ゲンドウだけが残された会議室。

冬月は考えに夢中でゼーレがいなくなったことに気付かず、ゲンドウに呼ばれてやっと我に返った。


「ああ、もう終わったのか。」

「こちらも本格的に調査を行う。」

「いいのか?なるべく秘密裏に進めたかったのではなかったのか?」


意外、と言うのではなく、どちらかというと確認を取るような口調で冬月が聞き返した。

ゲンドウはサングラスの位置を直しながら冬月の問いに答えた。


「構わん。ゼーレもそろそろ本格的に調査を始めるころだ。すでに向こうに知られているのならこちらももっと詳しい情報を得られれば老人達に対するカードになる。」

「そうか・・・。」


それだけ言うとゲンドウは会議室を出て行った。

少し遅れて冬月も後に続く。


(いくら調べても何も出てこんとは思うがな・・・)


冬月のその呟きは音になることは無かった。



















Upset














第一回機体相互互換実験

被験者 碇シンジ


実験場内の巨大な空間に零号機が立っている。

背中には固定具が取り付けられ、人間にしてみれば広すぎる空間もエヴァが入ると手狭に見えてくる。

シンジはいつものシンクロテストと同様に目を瞑って瞑想しているように見える。


「被験者の様子はどう?」

「心拍、脳波ともに正常。非常に落ち着いています。」

「そう。」


オペレーターの返事に簡単な返事を返すとリツコは視線を再び零号機の方へと戻した。


(機体が変わっても特に変化は無し、ね・・・)


「折角レイの零号機に乗ってるんだからなんか反応すれば面白いのにね〜。」


隣で実験を見ていたミサトが軽口を叩く。


「そうね。」

「いつでも落ち着いててさ。何か面白くないわね。」

「ミサト・・・。貴女実験に何を求めてるのよ・・・。」


呆れた様子で冷たい視線をミサトに向ける。


「いや〜、ははは・・・。シンジくんが頬でも染めてくれたら面白いかな〜と思って・・・。」


ミサトが頭をかきながら笑って答える。

そんな様子のミサトを見てリツコは溜息を吐くと今度は視線をマヤの方へ移した。


「実験いつでも開始できます。」

「では、実験スタート。」


リツコが実験の開始を宣言する。

にわかに慌しくなる制御室内。


「エントリースタート。」

「LCL電化。」

「第一次接続開始。」


オペレーターの声がプラグ内にも響き渡る。

シンジはその声に反応することなく目を閉じたまま身じろぎ一つしない。


「どうかしら?零号機のエントリープラグは?」


リツコの声が聞こえてくると、シンジはプラグに入って初めて目を開いた。


「特におかしなところはありません。」


ニコ、と笑いながらリツコに返事を返すシンジ。

そう、いつもと同じ光景。

実験の種類に違いこそあれど、特に変化の無い光景だった。

だが、実験を次に控え、制御室内で見学していたアスカとレイはわずかに違和感を感じた。


(碇君・・・いつもと同じここでの笑顔。でも何かいつもと違う・・・)

(なんだろう・・・。アイツなんかいつもと違うわね・・・。

 いつもより、薄っぺらっていうか・・・)


以前ならレイしか気付かなかっただろうが、シンジとともに行動をすることが多くなったアスカもいつもと違うシンジの様子に気が付いたようだ。

レイはまだ感情を知るようになって日が浅いためか、どう違うかまでは分からなかった。

一方、元々アスカは人の表情の変化には敏感であり、レイと違って違いの細部まで気付いた。

ただし、アスカはシンジの普段の笑顔が基準になっており、シンジ本来の笑顔を見たことはほとんど無い。

一度見たことはあるのだが、その時は自分の事で頭がいっぱいでシンジの笑顔をはっきり見たことは無い。


「何の違和感も無いの?」

「ええ、特にありませんよ。」


シンジの返事にリツコはマヤのところにあるモニターに目を向けた。


「どう?」

「やっぱり初号機ほどのシンクロ率は出ないわ。というよりも零号機はレイ専用になりそうね。」

「どういうこと?」


ミサトは訝しげな表情を浮かべてリツコに聞きなおす。

リツコは軽い溜息を吐きながらミサトの質問に答える。


「シンクロ率が低すぎるわ。初号機ほど出ないとは最初から思ってたけど予想より低すぎるわ。」


そう言うとリツコは再び溜息をついた。

傍目にもリツコが落胆してるのがはっきりと分かった。


「先輩・・・」


そんなリツコを気遣ってか、マヤが心配そうにリツコに声を掛ける。

だが、マヤは内心でホッとしていた。

この実験はダミーシステムの開発へと直結していた。

しかし、マヤ自身はこのシステムに乗り気でなかった。

はっきり言って反対だったと言ってもいい。

それがターミナルドグマでレイのクローンを見せられたとき、その思いが崩れた。

自分がやってきたことの成果が人の命を弄ぶことになっていたと気付き・・・

もはや潔癖症でいることは出来ない。

今でも乗り気では無い。


(でも・・・)


自らの犯した罪を見せ付けられ、はっきりと否定することができなくなったのである。

それでもこの結果に安心しているのは潔癖症を捨てきれない故か。


「大丈夫よ。いいわ、上がって頂戴。」


リツコが実験の終了を告げるとエントリープラグ内の灯りが落ち、非常電源に切り替わる。


(どうしたの、シンジ?元気が無いみたいだけど。)

(まあね。)


薄暗いプラグ内で二人だけの会話が行われる。

シンジの方は笑顔をかき消すと陰りのある表情へと変わった。


(多分、あの二人には気付かれてるわ。)

(やっぱり分かるか・・・)

(他の人は気付いてないみたいだけど。何かあったの?折角これでダミープラグの開発が頓挫するんだから喜びなさいよ。)

(そうだね・・・)


ゆっくりと笑顔を作ってみせるシンジ。

だがその顔にはやはりどこか陰があった。

ミナモはシンジの魂と融合と言ってもいいくらい同化している。

それでも完全に同化しているわけではなく、完全にシンジの思考を読み取ることは出来ない。

シンジ自身が気を抜いているときや普段ならほぼシンジの考えていることは分かるのだが、シンジ自身が意識して読み取られるのをブロックしているとそれはほぼ不可能になる。

今回もどうやらシンジがブロックしているようで、ミナモはなぜシンジが元気を無くしているのか気になるのだが、悟られたくないことも当然あるだろうと思い、それ以上詮索するのを止めた。

ミナモの声が聞こえなくなり、シンジは大きく息を吐き出した。

白い気泡がLCLの中を昇っていく。


「血の臭いしかしないや・・・。」







第87回機体連動試験
被験者 惣流・アスカ・ラングレー



「弐号機のデータバンク、終了。」

「ハーモニクス、全て正常値。」


零号機の相互互換実験に続いて弐号機の試験が行われる。

これは数字を見ても分かるようにいつも日常的に行われている試験の一つであり、先ほどの実験以上に変わりの無いものである。

アスカも代わり映えしない試験に面倒そうに挑んでいるのだが、ふと先ほどのシンジの表情が気になっていた。


(なんだったのかしら・・・)


ぱっと見はいつもと変わらなかった笑顔だが、無感情になぜか見えた。


(後で聞いてみようかしら・・・?)


一瞬そんな考えが浮かんだが、頭を左右に振ってすぐに打ち消す。


(アイツは多分教えてくれないわね・・・)


何かいい案は無いかと頭をひねるアスカ。

何故自分がこうもシンジのことが気になるのかは分からない。

だが、知りたいという欲求は徐々に強くなってくる。

次第に自分の思考にはまり込んでいくアスカ。

その時


「アスカ!!!」


突然リツコに怒鳴られてアスカは我に返った。

モニターを見てみるとリツコがものすごい形相でアスカの方を睨んでいた。


「物思いの時間は終わったかしら?」


こめかみに血管を浮き立たせながら笑顔でアスカに尋ねてくるリツコ。

その様子にミサトやマヤは部屋の端へと退避している。

いまいち状況が掴めてないアスカだったが、何かに思い当たったのか、小さくあっ、と声を上げた。


「こっちはとても忙しくて遊んでる暇なんて無いのだけど?」


怒りを多分に含んだリツコの声がアスカの耳へと届く。

アスカは考えに夢中で試験に全く集中していなかった。

当然シンクロ率も普段より大幅に下がっており試験どころではなくなった。

何度呼びかけてもアスカから何の反応も無く、慌ててモニターでプラグの中を見てみると小声でぶつぶつ言いながら頭をひねりながら考え事をしているアスカの姿があった。

ミサトたちは異常が無かったことに胸を撫で下ろしたのだが、技術部長だけはそうはいかなかった。

シンジの機体互換実験で自らの目論見が頓挫して落ち込んでいるところにこれである。

当然リツコの怒りは最高点に達し、


「アスカ・・・。後で私の部屋に来なさい・・・。」


それだけを告げると、予定時刻を過ぎていることもあり試験の終了をこめかみに青筋を残したまま告げた。
















第1回 機体相互互換実験
被験者 綾波レイ




山・・・重い山・・・時間をかけて変わるもの



空・・・青い空・・・目に見えないもの



水・・・気持ちのいいこと・・・



碇司令・・・私を見てくれる・・・見てくれてた



本当は何を見ているの・・・?





目を瞑って初号機のエントリープラグに座るレイ。

普段とは違った感触の中、レイの頭の中に様々な景色が浮かんでいた。





太陽・・・一つしかないもの・・・



花・・・同じものがいっぱい・・・いらないものもいっぱい




次々と浮かんでくる情景

取りとめも無く流れる景色

やがてその景色は人へと変わって行った。





この人誰・・・?この人知ってる・・・。碇君。私を見てくれると言った。



全てを知っていると言った。本当に?



ここはどこ?私の部屋。何も無い部屋、誰も来ない部屋。



学校・・・。友達がたくさんいる・・・。私を見てくれてる。



ここはどこ?私の部屋・・・。何も無い・・・。



これは誰?これは私。



私は一人・・・?同じものがいっぱい・・・。



それも私・・・。でも私ではない・・・。



私は私。でも一人で居たくない。



これは何?この気持ちは何・・・?









「レイ、初号機の感覚はどうかしら?」


アスカに対する怒りを何とか鎮め、初号機に乗っているレイに確認を取る。

しかしいくら待ってもレイから何の反応も無い。

実験を終え、シンジは部屋の隅で初号機の様子を見守っている。

アスカは先ほどのリツコの怒りが後を引いているのか、やや青い顔でシンジの隣で同じようにレイの乗る初号機を見つめていた。


「レイ?どうしたの?」


再度リツコがレイに呼びかけるがやはり反応は無かった。

まさかレイが・・・?

その場にいた全員に先ほどのアスカの様子が蘇る。

シンジは先ほどはケイジにいたので他のみんなの様子に首をかしげている。

再びリツコの怒りが爆発するかと思われたが、その前にミサトが再度レイに話しかける。

それでも初号機のレイからの返事は無い。

シンジも不審気に眉を寄せる。

リツコの元へ行こうと歩き出した時、異変が起こった。



「グウウウオオオオオオオオオォォォォォォォ!!!!!」


(なっ!!??)


突如雄たけびを上げる初号機。

その恐ろしいまでに獰猛な獣の叫び声に実験室にいた全員が瞬時に凍りつく。

リツコやミサト、アスカも例外ではなくがたがたと震え、今にも床に座り込んでしまいそうである。

シンジは心の中で必死にミナモに呼びかけている。

が、先ほどのレイと同様何の反応も無かった。


(ちっ!!)


声には出さずに舌打ちをしたシンジだが、ミナモと連絡が取れないことに激しく動揺していた。

ミナモとこの世界で出会って数ヶ月が経つが、こちらから呼びかけて返事が無いと言う事はただの一度も無かった。

それに加えてレイが初号機で暴走するという前史ではありえなかった事と、ミナモがシンジの魂についている以上、初号機が暴走するということ自体有り得ない。

何度も落ち着くように自分に言い聞かせるがなかなか思うように行かず、いらいらが募る。


(くそっ!!)


一向に落ち着かない自分を呪いたくなるシンジだったが、ふと何かを感じ取った。


(これは・・・)


制御室に手を伸ばしてくる初号機。

だが、どこか躊躇するかの様にその手が部屋へと届くことは無かった。

何かを求め、何かに戸惑い、何かを諦める。しかし諦めきれない。

他の人間からは暴走しているようにしか見えない。

しかし、シンジにはその苦しみがつらくてたまらなかった。

かつての自分のようで。

だから涙を流した。

悲しみとほんの少しの喜びを含んだ涙を。










「完全停止まで後10秒!」

「…5、4、3,2,1…エヴァ初号機、完全に停止しました!!」


初号機は内部電源に切り替わってからずっと制御室の周りの壁を叩き続けていた。

初号機停止の報告を受け、制御室内からは安堵の溜息があちこちで漏れる。

あまりにも獰猛な叫び声。

恐怖のあまり失神してしまった者も見受けられる。

そのような状況の中でしっかりと報告を行った者は特筆に価するであろう。


「・・・じょ、状況は・・・?」


何とかミサトは立ち直り、わずかに震える体を誤魔化しながら現状の確認をする。


「げ、現在、初号機は完全に停止。パイロットは意識を失っている模様です。」

「至急救護班の手配を。」


それだけ命令すると、力が抜けたかのようにへなへなとその場に座り込んでしまった。


(なんなのよ、アレは・・・)


ちらりとミサトはそばで呆然とした様子のリツコに目を遣った。

リツコにしても今の暴走は堪えた様だ。


(はあ・・・。まあ、当たり前よね・・・)


おまけに仕事も増えたし、と内心で付け足しながら十年来の友人に同情した。

リツコが決して恐怖や増えた仕事に呆然としているのでは無いと知ることも無く。











ネルフ中央病院


しばらく縁の無かった部屋のベッドの上でレイは静かに目を覚ました。

一体何があったのか・・・

ぼんやりとした頭で思い出そうとしてみるが、はっきりと思い出せない。

ふとベッドの横に視線を移してみると、そこには椅子に座ってうつらうつらとしているアスカの姿があった。

意外な、というわけでもないが、よほどぼんやりしていたのだろうか、すぐそばにいたアスカに気付かず、きょとんとするレイ。

どれ位こうして寝ていたのか分からないが、かなり長いことレイについていたのだろう。

アスカはレイが起きたことに全く気付く様子が無い。

レイはアスカの寝顔を見つめていたが、ほんのりと広がる暖かさに再びまぶたが重くなるのを感じた。

優しい誘惑に抗いきれず、レイは再び瞳を閉じた。







寝息が二つになって数分後、静かに部屋の扉が開く。

すやすやと眠り続ける二人の少女に近寄っていく一つの影。

シンジは二人の髪をゆっくりと撫でていく。

それに反応してか二人とも寝言と供にわずかに身を震わせる。

それを見てシンジは頬を少し緩めた。

















キャラコメ



ミナモ:ちょっと!私はどうなったのよ!?

shin:ぐぇ!ち、ちょっと落ち着け!!く、首を絞めるな!!

シンジ:まあ、ミナモ、落ち着きなよ。とりあえず話を聞こうよ。

ミナモ:さあ、キリキリ話なさい!今すぐ話しなさい!

shin:わ、分かった!分かったから落ち着け!

 簡単に言うとお前がどうなったかは次回の頭で簡単に説明する。以上!

ミナモ:以上、じゃない!

shin:へぶしっ!!

シンジ:…

ミナモ:全く!本当でしょうね!?

shin:実を言うと簡単にしか、その上矛盾を孕んでそうな説明しか思いついてない…

バキィ!!

ミナモ:ざけんな!!ちゃんと考えて書きやがれ!!

シンジ:ミナモ。キャラ変わってる。

ミナモ:ハッ!…失礼しました。

レイ:それより、私に何が起こったの?

shin:そこらへんもある程度次回説明するつもりだ。

ミナモ:(復活早いわね…)

レイ:そう、期待しているわ…。

アスカ:ていうか、アタシの影薄くない…?














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