Falling from Heven









「え〜っ!直接受けとめるぅ〜?」


アスカがミサトの作戦を聞き、思わず大声を上げる。


「この手で!?」


そう言ってまじまじと自分の手を見つめる。


「そう、落下予測地点にエヴァを配置。A.Tフィールド最大で貴方達が直接手で受け止めるのよ。」


ミサトはそんなアスカの様子を気にすることも無く、冷静に作戦を告げる。

作戦内容を聞き終えたところでレイが手をあげる。


「使徒がコースを外れた場合はどうなるのですか?」

「その時はアウト。」


ミサトはすぐさま答えを返し、続いてアスカがレイと同じように発言許可を求めて手を上げた。


「機体が衝撃に耐えられなかったら?」

「その時もアウトね。」

「勝算はどれくらいなの?」

「神のみぞ知る、と言ったところかしら?」


具体的な数字を言わなかったが、アスカはどのくらい確率が低いのかをすぐに理解し、めまいを感じた。

レイは何も言わないが、恐らく思いは同じであろう。

頭を抱えながら何とか言葉を返すアスカ。


「これでうまくいったらまさに奇跡ね。」


皮肉るようなアスカのセリフだが、ミサトは顔色一つ変えない。


「奇跡、ていうのは起こしてこそ初めて価値が出るものなのよ。」


その言葉にわずかにずっと黙っていたシンジの顔色が変わる。

しかし、その場にいる誰もそのことには気付かない。

アスカはそのままミサトと話し続ける。


「つまり、何とかして見せろ、てこと?」

「すまないけど、他に方法が無いの。この作戦には。」


その言葉にアスカが激昂して大き目の声を上げた。


「作戦と言えるの!?これが!?」

ミサトはアスカの言葉にうつむき、やや自嘲気味に話す。


「ホント、言えないわね。だから嫌なら辞退することも出来るわ。」


ミサトの口から吐き出された言葉に、さらにシンジの表情が変わる。

ミナモには分かっていた。これがシンジがミサトを嫌っている最大の理由の一つなのだと。

辞退、との言葉に他の二人のチルドレンは体を一瞬ピク、と揺らした。

だが、当然ではあるが、誰一人として手を上げるものはいない。


「みんな、いいのね?」


最終確認とばかりに三人の顔を見つめるミサト。

アスカとレイは顔を上げて、ミサトを見つめ返しているが、シンジだけはわずかにうつむいた状態であり、やや長めの前髪がその表情を覆い隠していた。


(まずいわね・・・)


当然周りの人間には分からないが、ミナモはかなり冷や汗をかいていた。

いつシンジの力が暴走するか分からない状態なのである。

シンジも何とか気持ちの高ぶりを押えているのか、まだミナモは大して力の制御に関与していない。

現在はまだシンジだけの力で抑えている。

しかし、シンジの力はここ最近で急激な成長を遂げている。

まだまだシンジ本来の力は宿っていない。

だが、10年近くかかって手にした力の量と比べると、ここ数ヶ月の力の回復は目を見張るものがあった。

下手をしたら何かの弾みで覚醒してしまう可能性だってあるのである。

また、本来の力など無くても、今のシンジはこの場を一瞬で血の海に変えてしまうことくらいならば可能なのである。

すでに幾らか危険な空気が押えきれず、シンジの体からにじみ出ている。

ところが、その量がわずかだったせいか、その危険な香りに気付くものはこの場には一人も居らず、作戦の伝達はさらに続けられる。


「一応規則だと遺書を書くことになってるんだけど、どうする?」

「別にいいわ。負ける気なんてないもの。」

「・・・私もいいです。」


口々に断りの言葉を口にするが、シンジだけはそれに続かなかった。

ただ黙ってうつむき続ける。

その様子に不審に思ったのか、ミサトがシンジに声を掛けた。


「シンジくん?」


ミサトの声に一瞬体を強張らせたが、やや間をおいて顔を上げて答えた。


「僕もいいですよ。」


そこにはニコニコと笑みを浮かべているシンジが居た。

いつもと変わらぬ笑顔。

だがその笑顔にはよりいっそうの空虚さと、深い、そこの見えない不気味さが同居していた。

無論誰もそれに気付くことは無い。

だがレイだけは何か違和感を感じていた。

漠然とした感覚。

未熟なレイの心ではそれが何かを感じ取ることは出来なかった。

しかしそれゆえに何かを感じ取ることが出来た。

どこかで見たことがあるシンジの今の笑顔。

だが、結局レイはそれを思い出すことは出来なかった。


「すまないわね。」


申し訳無さそうに話すミサト。

それがなおさらシンジの癇に障る。

しかし表面上は笑顔を絶やすことは無い。

暗くなった空気にミサトは場を少しでも明るくしようと思ったのか、少々わざとらしく明るい声で話し出した。


「この作戦が終わったら今度、みんなにステーキでもおごるから。」

「ええ!?ホント!?」

「約束する。」


アスカとしても、今の暗い空気というのはやや苦痛だったのだろう。

ミサトの提案にあっさりと乗って見せた。

笑顔でミサトのほうもそれに応えた。


「忘れないでよ?」

「期待してて。」


ウインクで応えるミサト。

そして、ミサトは踵を返すと、その場を立ち去った。

ミサトの姿が見えなくなるとそれまでわざとらしいほどの笑顔を浮かべていたアスカが真顔に戻る。

一方、シンジの方は笑顔を浮かべたままである。


「ごちそう、と言えばステーキ、か。」


つまらなそうにアスカが呟く。

アスカにとってステーキ、と言う言葉は特に大きな力は持っていないらしい。


「仕方ないわ。葛城三佐はセカンドインパクトのころに育ったんだもの。あの頃の世代にとってステーキはごちそうだわ。」


レイがアスカをなだめるように言う。


「全く、これだからセカンドインパクト世代ってやつは。」


やれやれ、といった感じで腰に手を当てながらレイに向かってぼやく。

そして、どこに入れてあったのか、第三新東京市のグルメ雑誌を取り出した。


「・・・何、それ。」

「第三新東京市のおいしいお店を紹介してる本よ。

 折角おごってくれるっていってるんだから、ステーキよりももっといいものを食べなきゃ。」


口笛を吹きながら雑誌をめくってお店を探し始めるアスカ。


「レイ。アンタも考えときなさいよ。アンタも当然一緒に行くんだからね。」


アスカの言葉にコクン、とうなづくレイ。


「シンジは何を食べたい?」


そう言いながらシンジの顔を覗きこむ。


「別に。何でもいいよ。食べられないものは無いし。

 確かレイはお肉がダメだったよね?」


笑顔で答えながらレイに話を振る。


「ええ。」

「ええ〜?レイ、アンタ肉がダメなの?そしたら大分行けるところは限られてくるわね・・・」


う〜ん、と眉を寄せながらグルメ雑誌とにらめっこをするアスカ。

確かに肉を全く使わない料理というと限られてくる。


「他に食べられないものは?」

「・・・魚、とかもあまり好きではないわ。」

「菜食主義、ていうわけ?」

「・・・そうともいうわね。」

「まいったわね・・・」


額に手を当てながら考え込むアスカ。

しばらくそうしていたが、やがて本を閉じた。


「決まった?」


シンジが問いかけると、軽くため息をつきながら


「まあね。ミサトの財布を考えるとね・・・」


そう呟くと再びため息をついた。

















「使徒による電波かく乱により目標喪失。」


MAGIから送られてくる情報をマヤが発令所に居るメンバーに伝える。

彼女の手元のモニターには「LOST」という文字が踊っている。


「正確な位置の特定は出来ないけど、LOST直前までのデータからMAGIが予想した落下予測地点がこれよ。」


ミサトがそう告げると一番大きい主モニターに第三新東京市の地図が映し出される。

その大部分には赤い印が付けられていた。


「こ〜んなに範囲が広いの?」


アスカも守備範囲の広さはある程度予想はしていたものの、あまりの広さに絶句してしまった。

呆然と眺めるアスカ。

リツコが補足の説明を加える。


「目標のA.Tフィールドを持ってすれば、このどこに落ちても本部を根こそぎ持っていくことが出来るわ。」

「ですから、エヴァ全機をこの三箇所に配置します。」


リツコの補足に続いてミサトがさらに説明を続ける。

手元の端末を操作すると、その地図上に新たに青の印が付け加えられる。

それぞれの守備範囲も十分広いものだが、それでも落下予測地点のほんの一部しかカバーできていなかった。


「この配置の根拠は?」


レイが誰もが思う疑問をミサトに投げかける。

だが、レイの、そしてアスカの脳裏にも漠然とした嫌な予感がよぎり、そして、その予感は外れることなくミサトの口から述べられた。


「勘よ!」

「「かん?」」


ミサトの自信満々な解答に、レイとアスカは揃って頭にクエスチョンマークを浮かべながら聞き返す。


「そうよ。女の勘。」


はっきりと述べられた、実際に行う方からしてみればなんとも言いがたい答えにそろってポカーンと口を開けてしまうアスカとレイ。

シンジは苦笑いを浮かべて話を聞いている。


「何たるアバウト。これでますます奇跡が遠くなっていくイメージね。」


揃ってうなづくシンジとレイ。

そこにリツコから更なる衝撃の事実が告げられる。


「・・・ミサトって確か宝くじも当たったこと無かったわよね。」


その言葉はアスカとレイ二人の意識を持っていくには十分な破壊力を持っていた。

倒れそうになる体を必死で建て直し、何とか意識を失うことだけは避けられたようである。


「で?」


ずっと黙っていたシンジだったが、ここに来て初めて自分から発言をした。

ただしその発言は簡潔すぎて何を言っているのか誰も理解できない。

アスカもレイもそのわずか一字の言葉にわけの分からない、と言った様子である。

無論ミサトも例外ではなく、はっ?といった表情を浮かべている。

皆を代表するかのようにリツコがシンジに尋ねる。


「で、だけでは誰も分からないわ。何が言いたいのかしら?」

「そうですね。」


くくっ、とくぐもった哂いを浮かべるシンジ。

そこには多分に嘲りの色が含まれていた。


「僕たちがなすべきことは分かりました。

 それで、貴方達はどうなさるのでしょうか?」

「どうするって、もちろんここの職員の何人かは残るわ。下級職員は避難させるけど。」


ミサトが困惑と、多少の苛立ちを含ませてシンジに答える。

シンジはいえいえ、と首を横に振って


「僕が言いたいのはそういうことではありませんよ。

 ここに残った方たちは僕たちの為に何をしてくれるのか、と言うことです。」


口調こそいつもと変わらないものだったが、どこか見下す様な空気をはらんでいた。


「私達はMAGIがぎりぎりまでデータを送ってくれるから、それを貴方達に伝達していきます。肉眼で確認できる距離になったら完全に貴方たち任せになるけれど。」


だがシンジはリツコのそれを鼻で笑うと


「そんなことは当たり前です。この作戦の成功確率はどの程度でしたっけ?」


シンジが目でマヤに要求するが、マヤは言っていいものかどうか判断できないようで、シンジとリツコに交互に視線を迷わせる。


「・・・0.001%よ。」


リツコもやや迷っていたようであるが、その数字を口にした。

その途端アスカの顔色が変わる。


「ちょっと、何よそれ?そんなに低いの?」


アスカが顔に怒りの色を乗せ、ミサトに詰め寄る。

ミサトは余計なことを、とリツコを睨みつけた。

リツコはそんなミサトを気にした様子は無い。

作戦前に殺伐とした空気が流れる。

その空気を断ち切るかのようにシンジが再び口を開いた。


「ですよね。それはどういうときの数字なんですか?」

「どういうとき、とは?」

「つまり、その数字はさっきリツコさんが言ったことしかしないときの数字ですか、と言うことです。」


そう言うとシンジはにっこりと笑った。

そこで初めてリツコが気が付く。


「そう・・・、そういうことね。」

「何よ、どういうことよ。」


やや怒気をはらんだ口調でリツコに問いかけるミサト。

そこにくくっ、とくぐもった笑い声がミサトの耳に入る。

その笑いの主にキッ、と鋭い視線をミサトは向けた。


「何よ、シンジくん。言いたいことがあるのならはっきり言いなさい。」

「まだ分からないんですか?貴方達はそのわずかしかない確率を上げようとする努力を全くしていないと言うことですよ。」


シンジに答えを言われてようやく気が付き、言葉を失うミサト。


「使徒は落下してきます。もし肉眼で確認出来る位置まで来たときに誰も間に合わない位置だったらおしまいですよ?

 でもそこに上向きのベクトルを加えてやれば多少なりとも時間は稼げるでしょう?」

「で、でもそんなのほんのわずかじゃない!!」


劣勢を悟ったミサトが苦し紛れの言い訳をする。

それを冷ややかな目で見つめていたが、やがて視線をリツコに向けた。


「もういいです。後はリツコさんお願いします。」

「分かったわ。」


リツコの返事に満足そうに微笑み、シンジは発令所を後にした。

アスカとレイもシンジに続くように慌ててその場を後にする。


「ちょっと!何勝手に決めてんのよ!」

「ミサト!!少しは頭を冷やしなさい!!」


激昂し、リツコにミサトは詰め寄るが、リツコに一喝され、黙り込んでしまった。


「シンジくんの言う通りだわ。

 みんな兵装ビルの準備をしておいて!使徒が確認できたら重心に一斉射。少しでも時間を稼ぐのよ!」

「しかし、使徒にはジャミングがあります。誘導兵器は使用できません。」

「それを何とかするのが私達よ。別に誘導兵器じゃなくてもいいの。とにかくまだ時間はあるわ。対策を講じましょう。」


そう言うと、リツコは技術部員を連れてどこかへと行った。

後にはミサトとマヤを除いたオペレーターが残されていた。














「シンジ、アンタミサトが嫌いなの?」


ケイジへ向かうエレベーターの中でアスカが口を開いた。

先ほどまではずっと黙っていた。

いや、正確にはしゃべれなかったのである。

それほどまでにシンジの気に押されていた。

アスカは先ほどのようなシンジの姿を見たことは無い。

イスラフェル戦にも似たようなことがあったが、その時は使徒に負けた悔しさで気付いていなかったのである。

普段ののほほんとしたシンジを見ていたアスカにとってシンジの姿は先ほどは戦慄させるのに十分なものであった。

それはレイも例外ではなかったが、レイはシンジに直接先ほど以上のものを叩きつけられたこともあるのでアスカほどではない。

それから開放され、落ち着いたところでふと思った疑問をシンジにぶつけてみた。


「そうだね。嫌いだね。」


あっさりと言うシンジ。

アスカにとってミサトは好きな部類では無いが、嫌いと言うほどでもない。

正確にはミサトの生き方が好きではないのだ。

だがそれは所詮他人の生き方であって、自分とかかわりがあるものではない。

大して気に留めるものでもない、と言うのが本当のところだろうか。


「・・・碇君はネルフが嫌いなのね。」


ポツリとレイが口を開く。

シンジとアスカがレイの方へ顔を向ける。


「そう、綾波の言う通り僕はここが大嫌いだ。」

「でも、アンタのお父さんがここの司令なんでしょ?」

「だからなおさら嫌いなんだよ。」


なんの感情も無く、淡々と語るシンジ。

シンジの言葉にレイが顔を曇らせる。


「碇君は・・・何の為にエヴァに乗るの?」


レイが静かな声でシンジに問いかける。

シンジは黙っていたが、やがてエレベーターがケイジに到着すると口を開いた。





「復讐だよ。」









「みんなも退避して。」

ミサトが発令所に居るメンバーに声をかける。



先ほどこの場に取り残されたミサトは何とか冷静さを取り戻していた。

それに伴い、ゆっくりとシンジの言葉が蘇ってくる。

何度反芻しても、シンジの言葉に非は認められない。

その正しさだけがミサトを飲み込んでいく。

悔しさが募る。

使徒を倒すためにここに入ったのに肝心なところで役に立てていない。

なぜ思いつかなかったんだろう?

使徒を倒すためにはわずかでも可能性をあげるのが自分の仕事であるはず。

そのための努力を惜しむつもりは微塵も無い。

なのに、どうして?

何度同じ問いを繰り返しても答えは容易には出ない。

変われない自分が無性に腹立たしかった。



「いえ、これも仕事ですから。」

「子供達だけ、危ない目に会わせられないっすよ。」


シゲルとマコトがわずかに笑みを浮かべながら返事を返す。

そんな二人の言葉が嬉しかったが、すぐにわずかに浮かんだ笑みを消す。


「あの子たちは大丈夫。エヴァが大破してもA.Tフィールドがあの子達を守ってくれるわ。」
















刻々と作戦時間が迫ってくる。

作戦時間15分前になり、リツコたち技術部からミサトに対して連絡が入る。


「今、全ての準備が終了したわ。」

「分かったわ。お疲れ様。」

「すぐにそちらに戻ります。」


簡潔な会話であったが、リツコはほっとしていた。

ミサトに先ほどの空気を感じることが無かったからである。

それはミサトが冷静になった事を意味する。


「全く・・・世話が焼けるんだから。」


そう呟いたリツコの顔には穏やかな笑顔が浮かんでいた。





「今連絡が届いたわ。

 アスカ、レイ、シンジくん。これから新たな連絡事項を伝達します。

 先ほどのシンジくんの提言に従い、第三新東京市全域にある兵装ビルを準備。さらに陽電子砲などもすでに準備を終えています。

使徒の落下に間に合わない場合は兵装ビルのミサイル、及び陽電子砲を発射。使徒の地上到達の時間を稼ぎます。

ただし、兵装ビル付近ではミサイルの誘導は出来ますが、その後は使徒の影響で誘導が出来ません。

よって発射直後に誘導を終了。その後は直進しか出来ません。その為、一部のミサイルがエヴァに当たる可能性があります。

その際は叩き落しても構いません。

さらに着弾の影響で弾道計算もわずかに誤差が生じる可能性が高い。

ですのでMAGIは大雑把な誘導しか出来ません。

そのような事態を極力避けるため、エヴァによる受け止めが可能だと判断した場合はミサイル等の発射は行いません。

以上です。

よろしいかしら?シンジくん。」


モニターに映るシンジに向かって確認をとる。


「ええ、結構ですよ。」


やはりいつもと変わらぬ笑顔を浮かべるシンジ。

ミサトとしてはシンジの返事にやや不満だったが、シンジの提言を受け入れたのはリツコであることを思い出し、それ以上は言わなかった。

その時緊張した声が聞こえてきた。


「目標、最大望遠で確認!」

「距離、およそ25000!」

「おいでなすったわね。」


厳しい面持ちでモニターを見つめるミサト。

そこには不適な笑みは浮かんでいなかった。


「エヴァ全機、スタート位置。」


ミサトの言葉とともに三体の巨人がスタートの構えをとる。


「目標は光学観測による弾道計算しか出来ないわ。距離10000まではMAGIが誘導します。

 後は各自の判断で行動して。」

「使徒接近!距離20000!」


シゲルから報告が入る。


「では、作戦開始。」


いつもと違い、静かにミサトが作戦の開始を告げた。






「行くよ。」


シンジもまた静かにアスカとレイに告げた。

一様に体に力を込め、スタートのときを待った。


「スタート!!」


外部電源がパージされ、それと同時にシンジが力強く叫んだ。

一斉に走り出すエヴァ。力強い足音を立てて落下予想地点へと急ぐ。

山を一跳びに飛び越え、川をまたぎ、送電線を陸上選手がハードルを跳ぶかのように越えていく。

アスファルトがはげ、街を破壊しながら進み続けるエヴァ。


「距離、12000!!」


その報告とともにマヤが悲痛な叫び声をあげる。


「ダメです!エヴァの到達より使徒の着地の方が0.3秒早いです!」

「兵装ビルスタンバイ、撃てぇーー!!!


ミサトが叫び、兵装ビルから何百というミサイルが一斉に吐き出される。

次々と着弾し、たちまち使徒の姿は煙にかき消されて見えなくなる。


「続いて、陽電子砲スタンバイ、発射!」


陽電子砲からエネルギーの塊が連続してサハクイエルに向かって飛んでいく。


「どう!?」


簡潔にマヤにミサトが尋ねる。


「・・・ダメです!0.1秒足りません!!」


もはや今にも泣き出さんばかりの表情でマヤが叫ぶ。


「!・・・そんな・・・」


発令所を絶望が包み込みかけるがその時、


「!初号機のシンクロ率、及び移動速度上昇!

 ・・・このままで行けば間に合います!!」

「シンジくん・・・」


ミサトがシンジの名を呟く。

暗闇の中に落ちかけた発令所に再び光が差し込んだ。

皆期待のこもった視線でモニターを見つめ続ける。

リツコも例外では無かったが、そこには他の人とは違う色が混じっていた。




(ミナモ!)

(分かってる!!)


「フィールド展開!」


落下地点に到着すると両手を上に掲げ、フィールドを展開する。

使徒が初号機のフィールドに接触し、激しい光があたりを包む。

付近の建物があっけなく破壊され、熱気があたりに満ち満ちていく。

未だ他の二機は到着しないが、平然と一機で支え続ける初号機。


「アスカ!フィールド全開!」

「分かってるわよ!!」


他の二機が到着し、初号機に並んで使徒を支える。


「綾波!」


シンジが叫ぶと同時にレイがプログナイフを取り出し、使徒を守るA.Tフィールドを切り裂く。


「こぉんのぉぉーー!!!」


続いてアスカが雄たけびを上げながらフィールドの切り開かれた箇所にナイフを突き立てる。

その途端に使徒は力を失ったかのようにフィールドを消し去り、エヴァに覆いかぶさる。

中心付近が大きく膨れ、次の瞬間、大爆発を起こし、後には、大きなクレーターを残した山だったものがあった。

















三人の少年少女がミサトの前に立ち並ぶ。

ミサトはそれを申し訳なさと、感謝とが入り混じった表情を浮かべていたが、シゲルからゲンドウとの連絡がつながったとの報告が入ると再び表情を引き締めた。


「申し訳ありません。私の勝手な判断でエヴァを危険にさらしてしまいました。」

「構わん。使徒殲滅がエヴァの使命だ。被害も大して無いのだろう?」

「ああ、よくやってくれた、葛城三佐。」

謝罪の言葉をミサトが述べるが、冬月はそれを責める様子も無く、ゲンドウもねぎらいの言葉をミサトにかける。


「ありがとうございます。」

「では葛城三佐。後の処理を頼む。」

「はい。」



(今回はねぎらいの言葉無かったわね。)

(・・・ああ、そういえばそんなのもあったね。)

(どう思う?)

(・・・前より僕を警戒してるようだね。まだ何もしていないのに。)

(前回のシンジ以上の小心者ね。)

(うるさいよ、ミナモ。)

(はいはい。)

(ま、いくら警戒しても無駄なんだけどね・・・)


そのときのシンジの表情を見たものがいなかったのは幸いだっただろう。

それほどまでにシンジの顔は醜く歪んでいたのだから。















自宅へ戻る人でごった返す車内に今回の功労者達の姿が見える。


「さぁ〜て、約束は守ってもらうわよ。」

「はぁ〜いはい。分かってるわよ。大枚降ろしてきたからフルコースだって耐えられるわよ。」

(給料日前だけどね・・・)


口で軽く言っているが、心の中には猛吹雪状態である。

しかし、そんなミサトが連れて行かれたのは一軒の屋台ラーメン。


「ミサトの財布の中身くらい分かってるわよ。」


しばし呆然と屋台を見つめるミサト。

そんなミサトを放って置いて注文していく三人。


「私、にんにくラーメンチャーシュー抜き。」

「私はフカヒレチャーシュー。大盛りでね。」

「じゃあ僕は醤油で。」


それを聞き、ミサトの表情が緩んだ。


「へい、お待ち。」


待つこと数分。

4人の前にそれぞれの注文したラーメンが並べられる。

すぐにずず、と音を立てて麺を口に運んでいく。


「ほら、レイ。雫が顔に飛んでるわよ。全く子供みたい。」

「・・・ありがとう。」


レイの顔にとんだラーメンのスープをアスカが布巾で拭いていく。


(私も変われるかな・・・)


二人の様子を優しい目で見ていたが、ミサトはすぐに自分のラーメンに視線を戻して箸を進め始めた。













shin:う〜、何とか間にあったぁ!

シンジ:お疲れ様。

ミナモ:ホントぎりぎりね。年が変わる一時間前じゃない。

shin:しょうがないだろ。本当に時間が無かったんだから。昨日から書き始めてよく間に合ったもんだと思うよ。

レイ:・・・普段からそれくらいのペースで書けばいいのに・・・

shin:無理。

アスカ:速いわね・・・。

shin:だって普段は土日は課題とバイトがあるし。今は実家に帰ってるうえ、冬休みだからそんなの気にする必要ないから可能なの。

シンジ:まま。間に合ったんだからそれでいいじゃない。

アスカ:そうね。折角の年末だし。

ミナモ:ま、年も変わることだし、許してやるか。

レイ:ところで・・・年内にこれを読んでくださってる人はいるの・・・?

shin:・・・

アスカ:・・・

ミナモ:・・・

シンジ:と、とりあえず挨拶を

shin:そ、そうだな

ミナモ:では、気を取り直して・・・

    それでは皆さん、2005年はありがとうございました。

アスカ:また来年も読んでくださると作者が泣いて喜びますんでよろしく。

レイ:・・・よい年をお迎えください。

shin:それでは本当にありがとうございました。来年もがんばっていきますんで、どうかよろしくお願いします。

一同:ありがとうございました。













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