Dark begins to move in the dark.









明かりの無いただ暗闇だけが支配する廊下。

その中をシンジたちはレイを先頭にして進んでいた。

一メートル前でさえも満足に見えないというのにレイは何の迷いも無く歩を進めていく。

最初アスカが先頭を行く、と言い張ったのだがいきなり方向を間違ったためしぶしぶ本部に一番詳しいレイに先頭を譲ったのだった。


「ねえ。」


歩みを止めることなくアスカがレイに問いかける。


「ずっと気になってたんだけど・・・」


珍しくアスカにしては歯切れが悪い。

聞いてもいいことかどうか迷っているようである。


「何?」


レイが続きを促す。

アスカはそれでもしばらく逡巡していたがやがて口を開いた。


「あの、さ。レイ前に私にはエヴァしか無かった、って言ったじゃない?あれってどういう意味かな、と思って・・・」

「そのままの意味よ。私にとってエヴァに乗ることが全てだった。他の世界を知らなかった。」


淡々と語るレイ。

その様子からは特に意に介した風には見えない。


「ううん、そうじゃなくて。アンタホント何も知らないじゃない?それこそ常識的なことでさえも。だからどういう風にずっと過ごして来たのと思ったのよ。」

「ずっと本部で過ごしてきたわ。ただ実験を繰り返していた。誰とも話さず、学校にも行ってなかったわ。」

「なっ・・・。学校にも?」

「ええ。」

「アンタそれでよかったの?もっと他にやりたいこととか無かったの?」

「その頃は、いえ、最近まではそれに特に何も感じて無かったわ。」

「いくらアンタが実験機のパイロットだからって、どうしてそこまで・・・」


そこまでアスカの質問が及ぶとレイは顔を曇らせた。

そしてシンジに目で聞いてくる。


アスカに話してもいいのか、と。


シンジは


「レイが話していいと、話しても大丈夫なら話せばいいよ。」


微笑みながら優しい声で答えた。

アスカはどうもまずいことを聞いてしまったのだと感じ、どこか落ち着かないようである。

いつの間にか足も止まっていた。

レイはしばらく考えていたが、やがて


「・・・ごめんなさい。」


申し訳無さそうに謝罪の言葉を口にした。

アスカは気にした風も無く


「いいわよ、別に。誰だって言いたくないことの一つや二つ持ってるわよ。」

「いつか・・・いつかアスカには話すわ。」


最後にそれだけ告げて再びレイは歩き始めた。

だが、その歩みはすぐにシンジによって止められる。

何事かとシンジを見遣るレイとアスカ。


「どうしたのよ、シンジ?」

「・・・誰かいる。」


アスカは不安だったのかも知れない。

二人がいるとはいえ、暗闇の中で先の見えない道を進んでいくことに。

アスカにしては軽率な行動をとってしまった。


「電源の復旧に来た職員でしょ?ちょうどいいわ、発令所まで連れて行ってもらいましょうよ。」


シンジの静止を振り切って角を曲がるアスカ。


「アスカ!」

「すいませーん、発令所まで・・・」


シンジが声を上げ、アスカは声をかけようとしたのだがその声は最後まで発せられなかった。


パシュ!


乾いた、小さな音が廊下に響く。

ゆっくりとバランスを崩していくアスカ。

スローモーションで再生されるビデオのように倒れていく。

しかし、アスカは左足を大きく後ろに出して何とか倒れるのを我慢した。

角の向こう側から「ちっ」とくぐもった声が聞こえてくる。

シンジはすぐにアスカの手を引っ張って角の影へと連れてくる。


「アスカ!」


シンジはアスカの様子を確認する。


「っ・・・大丈夫、肩をかすっただけだわ。」


痛みに顔をしかめながら返事をアスカは返す。

肩に触れる。

暗くてよく見えないが、シンジはそのぬるっとした感触を確かに感じた。



シンジの脳に次々と記憶があふれてくる。

決して忘れていたではなく、ここ最近思い出すことが少なくなっていた記憶。



赤い、赤い、紅い、紅い、アカイ     アカイ空、アカイ海



紅のみが支配する何も変化の無い世界。

そして、憎しみともはや呼べるかどうかも曖昧などろどろの感情を忘れぬようにと

来るべき時に備え自らの肉体を鍛えようと身をおいた、血が辺りにあふれる世界

ただ、アカイ記憶。


それをシンジは今確かめていた。




「レイ。」


静かな声でレイへと声を掛ける。


「何?」


かつて、第5使徒戦のときに聞いた、自らに向かって発せられた声にわずかに震えながら応える。

感情を覚え始めたレイにとって、今のシンジの声は寒すぎた。


「ここ以外に発令所に行く道は?」

「少し戻れば別の道があるわ。少し遠回りになるわ。」

「なら、そっちにアスカと一緒に行って欲しい。」

「ちょ、ちょっと!アンタはどうするのよ!?」

「・・・僕はここでやつらを足止めしておくよ。」

「足止めって、アンタ自分で何言ってんのか分かってんの!?あっちは銃を持ってるのよ!」

「いいから早く。」


無謀とも思えるシンジの言葉に激昂するアスカ。

それとは対照的に静かに答えをシンジは返した。


「レイ。アスカを早く連れて行って。」


その言葉とともに小柄な体に似合わない、黒々とした殺気が堪えきれない、といった風にあふれ出す。

レイはシンジの言葉に小さくうなづくとアスカを引っ張っていく。


「ちょっと、レイ!」

「私達がここにいると碇君の邪魔になるわ。

 それに停電で周りの状況が分からない以上、使徒が接近している可能性もあるわ。」


「・・・分かったわ。

 シンジ、後でちゃんと来なさいよ。」


それにシンジは振り返ることなく左手を上げて返事を返した。








「と言うわけで、貴方達はこれ以上先へは進めません。」


アスカたちが見えなくなると、それまでの殺気を消し、楽しそうにまだ見えぬ相手に向かって話しかけた。

軽薄な笑みを浮かべながら。


「ほう、気が付いていたか。」


声が角の向こうから聞こえてきて、ぬっと二人組みの男が姿を現した。

二人とも長身痩躯で、一方の方がやや背が高かった。

一般人とは当然ながら違う空気をかもし出していた。


(へえ、結構できる人っぽいね。)


内心、戦自にもこういう人やっぱりいるんだ、と感心していた。


(シンジ、どうするの?)

(まあ、今回はミナモはゆっくり見ててよ。)


「あれ、あっさり出てきたね。」

「隠れていてもあまり意味が無さそうだったからな。」


高いほうの男が飄々と答える。

どこか加持を連想させる男であった。


「サードチルドレンだな?」


背が低いほうの男が感情のこもっていない声で尋ねる。

尋ねる、と言うよりも確認といったほうが近い響きである。

シンジはニコニコと笑顔を浮かべながら返事を返す。


「へえ、僕も有名になったものだね、って言いたいところだけど、まあ、戦自の人なら知っていても不思議は無いか。」

「!よく分かったな。」


低いほうの男が一瞬驚きの表情を見せるがすぐに無表情に戻る。


「簡単な推測だよ。ネルフは敵が多いけど、その中でもチルドレンの資料が手に入りやすくて工作も仕掛けやすいってなると自然と候補は限られてくる。」

「いや、なかなか立派な洞察力を持っているようだ。ただの子供だと思っていたけど、それはこっちの勘違いだったようだ。」


長身の男がおどけながら答える。

相方の方は一見無表情のように見えるが、どこか焦りが見え隠れする。

恐らく姿を見られたアスカの事を気にしているのだろう。


「焦らなくてもいいよ。アスカのことなら気にする必要ないし。」


内心を見透かされたことに驚いた低いほうの男は咄嗟に銃を構える。

そしてそのままシンジに発砲した。


パシュ、という軽い音とともに鉛の弾が発射されるが、シンジは至近距離にも関わらず事も無げにそれをかわす。


「「なっ!」」


これには長身の男もこれには驚きの声を上げた。


「ふう、酷いなあ。いきなり撃ってくるなんて。さっきアスカを撃ったのも貴方でしょう。」


どこか嘲りの色を含みながら低いほうの男を顎で指す。


「・・・お前、何者だ。」


長身の男も警戒の色を濃くしながらシンジに問いかける。


「さっき貴方も言ってたじゃないですか。ただの子供、とは言いませんけど、サードチルドレンですよ。」

「ふん、ただの子供がこの至近距離から撃たれて、何事も無かったかのように避けるか。」

「ふふ、そうですね。でも僕が何者かなんて貴方達には関係ありませんよ。」


「だって貴方達はもうすぐ死ぬんですから。」


その言葉と同時に二人の男が同時に発砲する。

だが、引鉄が引かれた瞬間にはシンジの姿はそこには無かった。


「残念ですけど遅いですね。」


足元から聞こえてきた声に驚愕し、その方向を見ようと顔を下へ向ける低身の男。

咄嗟に見るのをやめ、後ろに飛びのく。

シンジはそのまま長身の方へと向きを変え、光が走った。

長身の男の髪がぱらぱらと舞い落ちる。

かわしたと思ったのもつかの間で、すぐにシンジの蹴りが飛んでくる。

小柄な肉体にどこにそんなパワーがあるのか、自分より頭一つは優に大きい男が鈍い音を立てながら数メートル吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。

低身の男はというと、間一髪のところでかわしたかに見えたが、すぐに違和感に気付く。

小さな違和感が徐々に激痛へと変わっていく。


「ぎゃあああーーー!!」


時の流れがずれたように時間をかけて落ちる男の右腕。

血が吹き出し、辺りが生臭いにおいに満ちていく。

長身の男にも降りかかり、体を紅く染め上げていった。

シンジのほうは何かに守られているかのように変わらぬ姿である。

ごろごろと転げまわりながら悶える低身の男。

シンジは嘲笑を浮かべながら一瞥すると、すっかり真紅に身を染めたもう一人の男に向きかえる。


「大丈夫です。この男はまだ殺しませんよ。あの二人は守る、と約束したんでね。怪我を負わせたこいつはそうそう殺しませんよ。

 それに、貴方方には感謝してるんですよ。ここのところ平和、と言うのもおかしいですが、のんびりしすぎてましたしね。久しぶりに思い出すことが出来ましたよ。」


何を、とは語らないシンジ。そしてその目は語る必要など無い、と主張していた。

じり、じり、とよって行くシンジ。

男は激しく後悔していた。

どうしてさっさと外へ脱出しなかったのだろうか。

なぜアイツに撃たせてしまったのだろうか。

どうして、こいつに出会ってしまったのか。

今からでも脱出は可能か?

自らに問いかけるが、すぐに答えは出る。

答えは否

自分の不運を呪いたくなったが、何故か結末を受け入れている自分に気付いた。


―――自分はここで死ぬのだと


その途端、急に気持ちが落ち着いていった。

またそれがおかしくて自然と笑いがこみ上げてくる。


「何かおかしいことでもありましたっけ?」

「いや、自分が死ぬと分かって逆に落ち着いてね。それがまたおかしくてな。」


訝しげな表情を浮かべるシンジに男は笑いながら返事を返した。


「残念です。貴方を殺さないといけないのが惜しいですが、これでも今の僕はネルフには秘密ですしね。」

「死ぬ前に一服していいか?」

「ええ、どうぞ。僕にも一本いただけますか?」


うなづいてタバコの箱を取り出し、シンジに渡す。

火をつけ、二箇所から紫煙が昇る。

その時苦痛に悶えていた低身の男が動いた。


「くそがきがぁーー!!」


冷静さを失っているのか、叫びながら引鉄を引こうとする。

その途端、男の視界には何も無くなった。

シンジの足が男の顔面にめり込む。


「貴方はもう少しそこで寝ててください。」


笑顔で言い放つシンジ。

だが、そこには容赦と言うものが、感情が感じられなかった。

ゴプッ

タバコを吸いながら血を大量に吐き出す長身の男。


「先ほど蹴られた時に内臓をやられたらしい。」

「せめてもの慈悲、と言うわけではありませんが、すぐに楽にしてあげます。」

「ああ、そうしてくれ。俺もつらい。」


笑いながら止めを求める男だが、そういえば、と質問をシンジに投げかける。


「アンタ、名前なんていうんだ?それだけの腕を持ってるんだ。裏の世界にいたんだろ?」

「ええ、五歳の頃からいましたよ。そうですね、貴方には教えてあげますよ。」


シンジは男に近寄り、耳元で囁くように男に告げる。

すると、突然男がククッ、と笑い出した。


「なるほどな、そりゃ俺なんかが敵うわけないか。誰も正体は知らないって話だが、そりゃそうだ。アンタみたいな中学生だとは誰も思わないわな。

 俺も未熟だがこれでも一応裏の稼業の人間だ。死ぬ覚悟は出来てた。殺されるのがアンタなら後悔は無い。」


そう言うと、さあ、と両腕を広げて最後の時を待った。

シンジは残念そうな表情を一瞬浮かべたが、すぐに笑顔に戻す。

そして、逆手に持ったナイフを男の胸に突き立てた。


静かに長身の男が絶命するのを見届けると、寝ている腕の無い男へと体を向ける。

静かに、そしてゆっくりと死という名の神が近づいていく。









「さて、と・・・」


静かにシンジはその場を去った。

そこにはきれいな顔のままの死体と、もはや誰かも分からないほど切り刻まれたかつて人間だったものが横たわっていた。
















電源の復旧待ちで、得にする事も無く―――ただ単に暑くてやる気が起きないだけだが―――職員が過ごしていた発令所に突如車が突っ込んでくる。

発令所に入って急ブレーキで停止すると、マコトがマイクを使って怒鳴り散らした。


「現在使徒接近中!繰り返す!使徒接近中!直ちにエヴァ発進の要有りと認む!」


それを聞き、マヤは慌ててリツコを振り返る。


「冬月、後を頼む。」

「碇・・・。」

「私はケイジでエヴァの発進用意を進めておく。」


そう言って緊急時用のはしごに手を掛けるゲンドウ。


「まさか、手動でか?」

「緊急用のディーゼルがある。」

「しかし・・・」


なおも何かを続けようとする冬月を置いて、ゲンドウは下へと降りていった。


「・・・パイロットがいないぞ。」








「アスカ、大丈夫?」


歩くたびに痛みに顔をしかめるアスカを見て、レイはアスカに問いかける。


「大丈夫じゃないわよ。銃で撃たれたんだから。」


内容とは裏腹に軽い口調で返すアスカ。

撃たれた箇所は大分痛むが、まだ余裕はあるようである。

アスカの軽口を聞き、わずかに表情を緩めるレイ。


「なによ?私が大丈夫じゃないのがそんなに嬉しい?」

「いいえ、実際大丈夫そうだから。」


レイの言葉に、はあ、と軽いため息をつきながらアスカはレイの事を考えていた。



アスカが日本に来る前、聞いていたレイの情報は、とにかく感情が乏しい、といったものだった。

命令には何でも従う、いわば人形のようなチルドレン。

実際、初めてレイと出会ったときにもそういった印象を受けた。

常に無表情で、面白みの無い女。

事前にそういった印象を持っていたとは言え、出会ってからの感想もそれを補強するものに過ぎなかった。

だが、第七使徒戦を境に、シンジやレイとともに過ごすことが多くなってやがて気付く。



感情が乏しいのではない、感情を知らないのだと。



ミサトなどに聞くところによると、これでも大分感情を出すことが多くなった、とのことである。

どうやら、感情を知らない、と言うことに気付いているのはシンジだけのようである。

その中に入っていけたことを嬉しく思う自分がいる事に気付いた。

そして、レイの世話をすることを嬉しく思っていることも。

自分にこんな世話好きなところが在るとは思ってもいなかったが悪い気はしなかった。

そうしてさらに時を一緒に過ごすとともに徐々にレイの感情に気が付き始めた。


(あいかわらず無表情だけど、これでも心配してくれているのよね・・・)


そう思い、レイの顔を見つめる。


「どうしたの?」

「いーや、別に。」



その時、何か怒鳴っているような声が聞こえてきた。

だが、先ほどのこともあるため、慎重に判断する。

徐々に大きくなる声。


「・・・・きんちゅう!繰り返す!使徒接近中!」


マコトの怒鳴る声は緊急事態を知らせる声だった。


「!やばい!急いで発令所に行かなきゃ!」


走り出そうとするアスカをレイは押し止めた。


「何やってんのよ!早く行くわよ!」

「落ち着いてアスカ。走ると傷にさわるわ。

 それに・・・」


黙ってどこかを指差す。

アスカがその指す方向に視線をやると、怒鳴り続けるマコトの姿があった。


「もう着いてるわ。」











「レイ!アスカ!」


発令所に着いた二人を見てリツコは声を掛ける。


「よく来てくれたわ。

 ところでその傷はどうしたの!?それにシンジくんは!?」


アスカの肩の傷を見て質問をリツコは畳み掛ける。


「落ち着きなさいよ、リツコ。

 傷は大したことないわ。詳しい事情を話したいところなんだけど、今はそれどころじゃないでしょ?エヴァの準備は・・・」


聞きかけて途中でやめるアスカ。停電で準備は出来るはずが無いと思ったようだ。

だがリツコから返って来た返事は意外なものだった。


「エヴァの準備はもう出来てるわ。非常用のディーゼルを使ってね。碇司令の判断よ。司令は貴方達が来るって信じていたのよ。」


リツコの言葉にアスカは、へえー、と感嘆の声を上げる。

一方レイの方は複雑そうな表情を浮かべている。

それはリツコでさえも気付かないほどの。

アスカはなんとなく気付いたが、何故レイがそのような表情を浮かべたのか判断できなかった。


「・・・とにかく急ぎましょう。」


レイが静かにアスカを促す。


「分かってるわ。」


アスカは気持ちを切り替えてケイジに行こうとする。


「待ちなさい、アスカ。先にその怪我の治療をしましょう。そのままじゃ操縦に集中できないでしょ?」


確かに、と自分の肩を見ながらアスカは思った。


「レイ、悪いんだけど先に行ってて。すぐに追いつくから。」

「分かったわ。」














「構わん。各自自力で拘束具を排除。」


ゲンドウの低く、力強い声がケイジに響く。

それに呼応するように二機のエヴァが力強く拘束具を除去していく。



未だ電源が復旧しないためにカタパルトの縦穴を両手足を壁に押し付けながら上っていく。

やがてまもなく地上に出よう、というところで何かが垂れてきた。

壁を伝ってきた黄色い液体は白い煙を上げて、先を登っていた弐号機の掌を焼く。


「つっ!」


痛みで思わず力が緩む。


「やばっ!」


アスカが声を上げたときにはすでに弐号機は落下していた。

軽い衝撃が襲い、落下が停止してアスカが下を見てみると零号機が体全体をつっかえ棒のようにして弐号機を支えていた。


「ダンケ、レイ。」


短く礼を言うと、そばにあった横穴に一旦避難する二機のエヴァ。


「さて、まずいわね・・・。内部電源はもうすぐ切れるって言うのにこの状況は・・・」


口調とは裏腹にどこか嬉しそうに現状を確認するアスカ。


「どうするの?」


冷静に尋ねるレイ。

そうしているうちにマトリエルから出される溶解液は本部施設を確実に溶かしていく。

アスカは武器を確認する。

パレットライフルが一丁と標準装備のプログナイフのみ。

補助バッテリーもまもなく底を尽く。

悠長に作戦を考えている時間は無い。

アスカは危険を冒す覚悟を決めた。


「作戦はあるわ。幸いにも射撃武器がある。厄介なのは・・・」

「あの溶解液ね。」

「そう。だから役割を攻撃と、射手を使徒の攻撃から守るディフェンスに分担するのよ。」

「なら私が防御を・・・」


当然のように危険な役割を買って出るレイだったが、それをアスカは却下する。


「防御はアタシがやるわ。」

「どうして?」


真剣な瞳でアスカを見つめるレイ。


「危険だからよ。」

「理由になってないわ。」

「アンタよりアタシの方がより強力なA.Tフィールドを張れるわ。この作戦は時間の勝負よ。本部が機能していない以上、敵の情報は全く分からないわ。もしかしたら強力なA.Tフィールドを張れるかもしれない。失敗は許されない以上アタシが防御兼中和をした方が確率はあがるのよ。

 これでいいかしら?」


アスカの理路整然とした口調にレイは黙ってうなづく。

それを確認するとアスカは気持ちを整える。


「それじゃあ行くわよ。3,2,1・・・Gehen!」


二体の巨人が同時に飛び出す。

弐号機は両手足を大きく広げ、体を盾にして溶解液が零号機に降りかかるのを防ぐ。

液が弐号機の背中に達すると白い煙を上げて装甲を溶かしていく。

アスカは顔を伏せ、無言でそれに耐える。

レイは飛び出すと零号機の体を壁に押し付け、照準を弐号機の居る位置に合わせる。

レイの目の前にあるマークがそろうと、アスカに向かって叫ぶ。


「アスカ!」


その声にすぐさま反応してレイの視界から弐号機の姿が消える。

その先には大きな目の部分から涙のように溶解液を流す使徒の姿。

銃口から吐き出される無数の弾丸。

その弾丸は紙を貫くようにあっさりとマトリエルの体を貫いていく。

ズズゥゥン、と音を立てて黒い巨体を地面に横たえた。

零号機は落下してきた弐号機を再びがっしりとキャッチした。


「ありがとう、レイ。」


モニターでお互いの無事を確認し合う。

双方の顔には笑みが浮かんでいた。



カチッ


「カチッ?」


不審な音に思わず顔を上げると、底には


内部電源
0:00:00



「なんでよおおぉぉぉぉぉ!!??」


音も無く二機のエヴァははるか地の底へと落下していった。














復旧作業が進められる本部発令所


地上に送られた職員から使徒殲滅の報を聞き、一気に緊張が解ける。


「ふう、何とか今回も生き延びることが出来たみたいね。」


リツコも緊張が解けたせいか、軽口が口から出てくる。


「よかったですね。」

「!」


突然後ろから話しかけられ驚いてその場を飛びのくリツコ。

慌てて振り向くとそこにはニコニコと笑っているシンジが居た。


「なによ、シンジくんじゃない・・・」

「驚かせてしまいましたか?」

「ええ、心臓が口から飛び出るかと思ったわ。」

「それなら成功ですね。」


ニヤリ、と笑いを浮かべるシンジ。

リツコは気を取り直して質問をぶつける。


「ところで貴方は今までどこに居たのかしら?」

「アスカ達と一緒にこちらに向かっていたんですけどね。明らかに怪しい方と出くわしてしまいまして。アスカが怪我をしていませんでしたか?」

「え、ええ、肩に銃創のようなものがあったわ。」

「そういうわけで二人を先に行かせて僕は足止めをしていました。」

「まさか、貴方が一人で?」


疑惑の目をシンジにリツコは向ける。


「リツコさんが思っているようなことはしていませんよ。僕はただ相手を引きつけながら逃げ回っていただけですよ。」

「そう?貴方ならなんとなく多少の相手なら何とかしてしまいそうだけど?」

「僕も中学生ですからね。相手が素手の中学生なら何とかできるかもしれないですけど、さすがに銃を持っている相手とやりあうのは・・・」


困ったような表情をシンジは浮かべ、リツコはそんなシンジを見て軽く息を吐く。


「まあ、なんにせよ、怪我が無くて何よりだわ。」

「じゃあ、僕はもう帰りますね。使徒も倒してしまったみたいですし、ここに居ても何もすること無さそうですから。」


そう言ってリツコに背中を向けるシンジ。

それをリツコは呼び止めた。


「最後にいいかしら?どうやって逃げおおせたのかしら?」

「なんだかよく分からないですけど、突然相手が倒れて、後ろの方から『早く逃げろ!』て声が聞こえてきたんでそのままこちらに逃げてきました。」


それを聞き、リツコの顔が厳しくなる。

シンジは頭にクエスチョンマークを浮かべながら尋ねる。


「どうかしたんですか?」

「え、いいえ。なんでもないわ。引き止めてごめんなさい。」


訝しげな表情を浮かべながらその場を後にする。

だが完全にリツコから見えなくなると口元を怪しくゆがめた。












そのころ・・・



「誰かここを開けてぇ〜!!」

「わっ!ちょっ、葛城こんなとこで暴れるな!」


エレベーター内に閉じ込められた二人はミサトの非常事態に必死で天井板を外そうと四苦八苦していた。












    後書き     キャラコメ?



shin:やれやれ、ようやく終わった。さてと・・・


ミナモ:・・・


shin:(ゾクッ)ど、ドウシタンデスカ?


ミナモ:言い訳は思いついたのかしら(怒)


shin:は、ははは・・・。ではごきげんよう。


ミナモ:待たんかぁ〜!!

ガシッ!

shin:スイマセン、スイマセン!許してください!もう時間が無いのにゲームしたりなんかしませんから!


ミナモ:なんで私の出番が少ないのよ・・・ってアンタ・・・


shin:はっ、しまった


シンジ:またベタな・・・


ミナモ:ふぅ〜ん、そっか、どうも進みが遅いと思ったら、そういうことだったのね


shin:(汗)いや〜、ほら、ね、なんというかね、時間が無いときこそ遊びたくなるじゃない?


シンジ:読者の人に時間が無くて更新が遅れるって書いてたのは嘘だったんだね


アスカ:うわっ、サイッテー


レイ:・・・殲滅


ミナモ:さて、みんなの支持も得られたところで・・・覚悟はいいわね?


shin:ちょ、ちょっと待て!時間が無かったのはほんとう・・・


ミナモ:問答無用!


shin:ギャアー!!


ドゴォ!バキ!ズバッ!・・・プチ


シンジ:(プチ、て何やったんだろう・・・)


ミナモ:全く、私の出番が少なかっただけじゃなくて読者様にも迷惑かけるなんて


レイ:・・・ばあさんは用済み・・・


ミナモ:レイちゃ〜ん、今なんて言ったのかしら(怒)


レイ:クスクスクス・・・


シンジ:あ、綾波


アスカ:レイってそんな性格だったっけ・・・?


ミナモ:ふふふ、いいわ、今日こそここの最強は誰かをはっきりさせてあげようじゃない!


シンジ:まあまあ、ミナモ。落ち着いて。レイも・・・


ドスッ!


シンジ:ふぐう!


ミナモ:シンジはちょっと黙っててくれるかしら?


シンジ:(殴った後で言うなよ・・・)ガクッ


アスカ:やれやれ、レイ、アタシも手伝うわ


レイ:・・・


ゴスッ!


アスカ:っ!レイ・・・

バタン

レイ:ここでは貴方も用済み・・・


シンジ:・・・アスカ


アスカ:なによ・・・


シンジ:僕たちってなんなんだろうね・・・


アスカ:アタシに聞かないでよ・・・














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