「・・・あいつ、一体何者なのよ・・・。」
アスカは一人思考にふけりながらミサトの家へと向かっていた。
今回の作戦の話があるから来いとミサトに言われ、ミサトの家へと歩いていたのだが、今のアスカの頭の中はシンジに対する疑問でいっぱいだった。
(普段、ぽやーっとしてるくせに、戦闘の時になると急に鋭くなる。
それにあいつ碇司令にも全然物怖じしてなかったわ。親子だから?いいえ、違うわ。少なくともあの二人からはそんな空気は感じられなかった・・・。)
(そして、あいつはあの時、僕はね、て言ってた・・・。他に何か理由があるとでもいうの?)
疑問は次から次へと湧き上がってくる。しかし、どれにも答えが出ないまま、気が付けばコンフォートマンションに到着していた。
大きく息を吐き出し、気持ちを切り替える。
「今はとりあえず、あの使徒を倒すことが先決ね。それにシンジを見返してやんなきゃ気が済まないわ。あいつが何者であろうともアタシに負けは許されないわ。疑問はあいつを締め上げて吐かせればいいわよね。」
そして、ミサトの家のドアをミサトにもらったカードで開ける。
アスカの視界に最初に入ったものは・・・
腐海だった。
次の瞬間、アスカの意識は闇に包まれた。
(ん、なんだろ?額がひんやりして気持ちいい・・・。)
ゆったりした気分に浸るアスカ。
(もう少しこうしてたいな・・・。)
だが、無情にも意識は覚醒へと向かって上昇していく。
アスカがゆっくり目を開けるとそこには蒼銀の髪を持つ少女の顔があった。
急速に意識がはっきりしてくる。
慌てて飛び起きるアスカ。レイは頭を打たないようにさっと後ろに頭をそらす。
「なっ、えっ、ここは?あれ、アタシ確かミサトんちに行って・・・。」
「葛城さんの家の隣だよ。」
紅茶の入ったカップを持ってシンジがアスカに教える。
「惣流さんも飲むでしょ?はい。」
「え、ああ、うん。」
シンジからカップを受け取るアスカ。
「葛城さんの家に行ったら惣流さんが玄関で倒れててね。そこでネルフに連絡を入れて隣を開けてもらったんだ。
あんなところに運び込むわけにはいかないしね。」
苦笑しながら状況を教えるシンジ。
途端にアスカの顔色が悪くなる。
それほどまでに強烈だったようだ。
その時、玄関が開いて
「いや〜、遅くなってゴミンゴミン。」
ミサトが笑いながら入ってきた。
「ゴミン、じゃ無いですよ。一体どうやったらあそこまで汚く出来るんですか?惣流さんが倒れたのも分かりますよ。」
事実、シンジも以前なら意識をどこかへ放り投げていただろう。
だが悲しいかな、使徒以上の力を持ってしまった今では簡単に意識を手放すことも出来ず、泣く泣くアスカを引っ張り出したのだった。
「そこまで言うこと無いでしょ〜?まだそんなに汚れてないわよ。」
「「「・・・」」」
「で、何でアタシをここに呼んだのよ?まさかあの部屋を見せるためじゃないでしょうね?」
本来の目的を確認するため、アスカがミサトに尋ねる。
「あら、言ってなかったっけ?今回の作戦準備よ。」
「だから、具体的に何をするかを聞いてんのよ!」
アスカがやや大きい声でミサトに詰め寄るも、ミサトは、ふふっ、と小さく笑うと
「貴方達には今日からここで一緒に暮らしてもらいます。」
トンデモナイ発言をした。
「ええ〜〜〜!!??」
マンション中にアスカの叫びが木霊する。普通のマンションなら間違いなく苦情が来ているだろう。
レイはきょとんとして、アスカを見ている。
「嫌よ!一体どういうつもりよ!」
何が嫌なのだろう、とレイは訝しげな視線をアスカに送る。
ミサトは涼しげな顔で説明する。
「あの使徒は二体で一体、つまり、お互いを相互に補完してあっているというのが分かったわ。
だから一方が損傷してもすぐに癒えてしまうのよ。目標撃破には二点同時過重攻撃しかないわ。そこで!」
ダン、と飲み干したビールの空き缶をテーブルに音を立てて置く。
どうやら自分の部屋から持って来ていたらしい。
「貴方達にはしばらく一緒に暮らしてユニゾンの訓練をしてもらいます。もちろん体内時計も合わせるのよ。」
だが、アスカは納得がいかない。
「それは分かったわ。でもアタシはこんな奴なんかと一緒に生活するなんて絶対嫌よ!それに夜こいつが襲ってきたらどうすんのよ!」
思わず苦笑いを浮かべるシンジ。
「だ〜いじょうぶよ。シンちゃんはそんなことしないわよ。」
言ってからそっとシンジの方を見遣る。何気にシンちゃん、と呼んでみたが別に大丈夫だったのでそっと胸を撫で下ろした。
「ふん、どうだか!」
「アスカ、これは命令よ。」
真面目な顔でミサトが言う。
命令、という言葉にアスカは弱い。
しぶしぶアスカは受け入れた。
「・・・私はどうすればよいのでしょう?」
黙って話を聞いていたレイがミサトに聞く。
「リツコの話によると、もうすぐ零号機も修理が終わるらしいのよね。ただ、今度の戦いに間に合うかは微妙なところだって。だから一応レイにもユニゾンの訓練に参加してもらいます。
ただし、今回は基本的に初号機と弐号機の組み合わせで行くからレイには二人のサポートをお願いするわ。」
「・・・了解しました。」
「ところで、どこでするんですか?」
今度はシンジがミサトに尋ねる。
「あら、ここでいいじゃない。ここも一応のものは揃ってるんだし。なんならあたしの家でも・・・」
「嫌よ!」
「お断りします。」
「嫌・・・。」
荷物を取りに一度それぞれの家へ戻り、誰もいなくなった部屋の片隅でレイにまで即答され、一人壁に向かっていじけるミサトの姿があった。
どうやら、レイもあの部屋に入るのは嫌だったらしい。
「はぁ、アスカも綾波さんもどうしたのかしら?もう三日も学校休むなんて。」
コンフォートマンションのエレベーターの中でヒカリは不安げに呟いた。
ヒカリは率先してレイと話をしている。そのため、レイの方も最近はヒカリに積極的に返事を返そうとしているようだ。
またアスカとも転校後すぐに親しくなった。その二人とシンジもこの前の戦闘以来学校を欠席している。
プリントもたまり、心配になったヒカリは見舞いに来たのである。
トウジとケンスケは退院したものの、シンジを当然のことながら出来るだけ避けている。
玄関に到着し、チャイムを鳴らす。
しかし、反応が無い。
しばらく待っていると無言で扉が開いた。
そこにはレオタードを着たレイが立っていた。
「洞木さん・・・。」
「あ、綾波さん・・・、その格好は・・・。」
「どうしたの、綾波?」
奥からシンジも出てきた。
その姿はおそろいのレオタード。
「ふ、ふ、ふ・・・」
シンジはすぐさま自らの失策を悟った。
「不潔よぉぉ〜〜〜〜〜〜!!!」
先日のアスカに続いて、それ以上の大音量がマンション全体を揺らす。
至近距離でそれを食らってしまったレイは目を回しながらぱたん、と卒倒した。
シンジはかろうじて耳をふさぐのに間に合い、ダメージを防いだ。
「な、何よ一体!?」
玄関から突如聞こえてきた大声に顔をしかめながらアスカも出て来た。
当然アスカも同じレオタード姿である。
「わ、馬鹿・・・。」
シンジの制止も間に合わず、アスカの姿を見たヒカリの本日二度目の叫びが響き渡った。
今度はシンジも間に合わず、アスカとともに気を失った。
・・・ミナモも目を回して、意識不明である。
・・・・・・ヒカリ最強?
「一体どうしたってぇのよ。」
後ろから聞こえてきた声にヒカリが振り向くとミサトと加持が立っていた。
「葛城さん、これは一体・・・。」
「それはこっちが聞きたいわよ・・・。」
ミサトの視線の先には目を回して寝ている三人の姿があった。
加持だけはシンジたちの格好を見て理由を察し、苦笑いを浮かべていた。
「なんだ、そうだったんですか。」
ミサトから事の次第を聞き、笑い声を上げるヒカリ。
「全く、たまったもんじゃないわよ!」
アスカが抗議の声を上げるが、口調とは裏腹にどこと無く嬉しそうだ。
隣にいるレイもなんとなく嬉しそうに見える。
「それで、今どうなっているんですか?」
「アスカ、シンジくん、ちょっとやって見せてくれる?」
ヒカリの質問に少し笑いながら二人にミサトは頼む。
位置に付くシンジとアスカ。
音楽が流れ出す。ツイスターゲームのような装置の上で息を合わせて光るランプの上に手足を乗せていく。
結局ノーミスで二人は終えた。
ヒカリが拍手をしながらアスカに賛辞の言葉を贈る。
「すごいわ、アスカ。碇君も。きれいに揃ってたわ。」
「当ったり前じゃない。アタシを誰だと思ってんのよ。当然じゃない。」
胸を張って嬉しそうに答えるアスカ。
シンジもレイも嬉しそうに微笑む。
「ホントすごいじゃない。これなら今度の使徒戦も大丈夫ね。」
ミサトも同様に二人を褒める。
だが、加持だけはやや渋い顔をしていた。
「何よ、加持。なんか気になるところでもあったの?」
「いや、演技自体は素晴らしいものだとは思うよ。ノーミスなんてこの段階じゃ十分立派なもんだろう。」
そう言ってシンジたちに視線を送る。
アスカは加持の言葉に不安げな表情を浮かべる。
レイはどこと無く不満気である。レイはずっと二人のサポートをしてきたが、どこにもまずいところは見受けられなかった。
シンジはというと、珍しく困惑した様子である。
そんなシンジたちを見ながら加持は言葉を続ける。
「だがな、それだけなんだよ。大事なことは完璧に演技することじゃないんだ。
アスカ、何が悪かったか分かるか?」
「えっ・・・、えっと・・・。」
アスカは加持に聞かれ、必死で考えるも何も思い浮かばない。
「アスカはシンジくんに合わせようとしたか?満点だったのはシンジくんがアスカに合わせてくれたからだ。それが無ければいつまで経っても意味が無いぞ。」
その言葉にミサトははっとする。
「そう、そういうことね。」
「あの、どういうことですか?」
ヒカリが何のことか分からないといった表情でミサトに尋ねる。
「つまり、使徒は機械みたいに規則正しく動いてくれないって事よ。」
「そうだ。機械に合わせるんじゃなくて、二人の呼吸を合わせることが大切なんだよ。」
ミサトの言葉に加持が補足を加える。
「何でよ!アタシはちゃんとやってるわ!何でアタシばっかり・・・。
もう嫌!」
ヘッドフォンを投げ捨て、出て行くアスカ。
「アスカ!」
ミサトの叫びも空しく、アスカはそのままの格好で部屋を飛び出していった。
やっぱりこうなったかとシンジはため息をついた。
今回は能力が向上してアスカに付いていくことは問題なかった。
なかなか歴史は変わらないものだな、とシンジは心の中で呟いた。
「シンジくん、君もだ。」
「えっ・・・。」
加持の言葉に驚くシンジ。
「シンジくんは確かにアスカに合わせようとしていた。だがな、ただ合わせているだけなんだよ。
それくらいなら少し練習すれば誰だって出来るさ。君なら分かるだろう?今求められているのが何なのかを。」
思いがけない台詞だった。
まさか自分がそんな事を言われるとは思ってもいなかった。
自分は完璧にアスカに合わせていた。アスカが自分に合わせる気などないと分かっていたから。
ショックだった。
それほどまでに加持の言葉はシンジを打ちのめした。
騒がしかった部屋を沈黙だけが支配する。
レイは心配そうにシンジを見つめる。
うつむいていたシンジはゆっくりと顔を上げた。
「・・・少し頭を冷やしてきます・・・。」
それだけ告げると足を玄関へと向ける。
「・・・レイちゃんも一緒に行っておいで。」
加持が静かにレイに言う。
「どうして?」
私には関係ないわ、と言った様子で疑問の言葉を言う。
「・・・そうだね。綾波、一緒に行こう。」
理由は分からないがシンジにも誘われ、シンジの後ろに付いて行く。
重い足取りでシンジは目的の場所へ歩いていた。
少し離れてレイも後ろを歩く。
二人の間に会話は無い。
それはいつもの登校時と同じ光景。
だが、そこにある空気だけはいつもとは同じものではなかった。
「碇君・・・。」
(シンジ・・・)
期せずしてミナモとレイが同時にシンジに話しかける。
しかし、シンジは無言のまま歩き続ける。
分かってはいた。
本当は分かっていたんだ。
今のままじゃアスカとユニゾンが出来ないことは。
この中にくすぶり続ける思いをどうにかしないことには。
・・・・・・
いや、分かってるつもりだったのかな。
誤魔化しだったのかもしれない。
ユニゾンは決して動きを合わせることではない。
心を重ねることなんだ。
動きは所詮二次的なもの。
大切なのはお互いのことを考え、フォローし合うこと。
アスカ・・・
僕はアスカを本当はどう思っているのかな?
本当に憎いのかな?
わからない・・・。
わからない・・・。
ワカラナイ・・・。
本当の気持ちがわからない。
ネルフやゼーレに対してははっきり言える。
憎い
だけど・・・アスカはどうなんだろう。
明確に拒絶したアスカ。僕を置いて消えてしまったアスカ。
そして、僕が拒絶したアスカ。
(ああ、そうだったんだ・・・。)
拒絶していたのは・・・僕だったんだ・・・。
助けを求めて手を伸ばしていたのに、僕が受け止めなかったんだ。その手を。
アスカが僕に手を差し出してくれなかったように。
受け入れなかったのは綾波だけじゃなかったんだ。
アスカもだったんだな・・・。
唯一、分かり合えたかもしれなかった人を自分から拒んだんだ。
(シンジ・・・。)
ミナモが再び話しかける。
(・・・やっと分かったよ・・・。もう大丈夫だよ、ミナモ。)
(そう、・・・良かったわね・・・。)
(・・・うん。ミナモはずっと知ってたんだね?)
(まあ、ね。でも、シンジがあの子のことについては自分で解決しないといけないから・・・。)
(分かってるよ。・・・ありがとう。)
そう言って微笑みを浮かべた。
(こんな僕が、アスカを、綾波を救おうなんて傲慢かな・・・?)
だが、すぐに微笑みは消え、変わりに不安そうな表情が浮かぶ。
ミナモは優しい瞳でシンジを見つめる。
(・・・いいじゃない、傲慢でも。傲慢がダメだって誰が決めたの?傲慢でも誰か幸せになるべき人が幸せになれるのなら、それでいいじゃない・・・。)
シンジは涙した。心の中で止め処なく涙を流し続けた。
(だけど、私は皆に慈悲深いわけではないわ。他人の幸せを奪うものに対してはしかるべき罰を。それが私の基本スタンスよ。
彼らには最後にしかるべき罰を受けてもらい、そうでない人には手を差し伸べてもいいじゃない。そして、貴方にはそれが許されているわ。)
着実に目的の場所へ近づいていく。
その手前で再びレイが声を掛けた。
「・・・碇君。」
「何?綾波。」
シンジの事を思ってか、やや小さい声で話しかけた。
しかし、シンジからは笑顔で明るい返事が返ってきた。
予想外に明るいシンジにホッとするレイ。
「なぜ、私まで連れてきたの?」
家を出てからずっと抱いていた疑問をシンジに尋ねる。
シンジは体をレイの方に向け、真面目な顔をしてレイに話しかける。
「・・・綾波はさっき加持さんが何を言いたかったか分かった?」
「・・・分からないわ。碇君とセカンドは完璧だったわ。どこも悪いところはなかった。」
「だからだよ。」
シンジは苦笑いしながらレイにそう返すと、再び前を向き歩き始めた。
レイはやはり訳がわからない、といった感じのままシンジに付いて行く。
と、シンジは歩きながらレイの方を振り返った。
「それからアスカの事をセカンド、て呼んじゃダメだよ。」
アスカは公園のベンチに座っていた。
高台にあるその公園からは第三新東京市の街並みが一望できた。
だが、その街並みを眺めてはいたものの、アスカは見てはいなかった。
悔しかった。
自分は完璧だった。
だが認めてもらえなかった。
よりにもよって加持さんに!
どこにも悪いところは無かった。
どうして!
だけど、よりにもよってどうしてあんな奴に合わせられなきゃならないの!?
加持さん、言ってた。
あの馬鹿が、あのぽーっとしたあいつなんかに合わせられてるって。
あいつのほうがアタシより優れてるっていうの!?
認めない!
絶対認めない!
アタシはいつも一番じゃないといけないの!
あんな奴に負けるなんて絶対許されない!
絶対に・・・!
じゃないと・・・・・・
悔しさと憎悪と不安に顔を醜くゆがませるアスカ。
「アスカ。」
背後から掛けられた声に顔を上げる。
一番聞きたくなかった声だった。
「・・・何よ・・・。」
億劫そうに返事をするアスカ。
「申し訳ありませんねぇ。わざわざアタシに合わせていただいているシンジ様にこのような場所までご足労頂まして。」
「アスカ・・・。」
そんなアスカの言葉を気にした風もなくアスカの隣に腰を下ろす。
「アスカ、そんな風に考えるの、やめなよ。」
「ふん、事実じゃないの。アタシは実際アンタより劣ってるじゃない。」
「そうじゃないよ・・・。」
シンジは肺の中の空気を吐き出し、もう一度大きく吸い込んだ。
「エヴァにこだわってることだよ。」
勢いよくシンジのほうを振り返ると、アスカは立ち上がりふらふらと後ずさった。
レイほどでは無いにしろ、十分白くてきれいな頬が今は病的なまでに青ざめている。
「な、なんで・・・。何でアンタがそんなこと知ってんのよ!!」
ゆっくり、そして静かにシンジは語る。
「昔、一人の女の子がいたよ。そして、別に男の子が一人、さらに女の子がもう一人。」
「何訳のわからない話をしてんのよ!アタシのしつ・・・。」
「黙って。」
アスカの言葉をずっと黙っていたレイが遮る。
何故か碇君の邪魔をしちゃいけない。
レイはそんな気がしていた。
シンジは話を続ける。
「最初の女の子と男の子は一緒に暮らしてた。二人は同じ事に取り組んでいた。男の子は人を恐れていた。女の子は自分が一番であることに、異常に拘っていた。最初はその男の子は少女の足元にも及ばなかった。当然だね、キャリアからして全然違っていたから。
二人の関係も最初は悪いものじゃなかった。むしろ仲は良かった。だけど、少年が取り組んでいたことに対して成長を示し始めた。本人が望んでいなくてもね。少年は無理やりさせられていたんだ。少女はそのことで焦り始めた。
その頃から二人の関係はおかしくなり始めた。徐々に関係は悪化していった。
そして・・・、少女は壊れた。」
つらそうにシンジは話し続ける。
「少年はひどく精神の弱い子供だった。だから、少年も精神的に参り始めた。そして、もう一人の同じことに取り組んでいた少女にすがり始めた。
だが、その少女も秘密があった。それを知った時少年はその子から離れた。
そして再び少年は壊れた少女へ戻った。しかし、少女が示したものは・・・拒絶だった。
その時、全てが終わった・・・。」
一度ため息をつき、話を再開する。
レイもアスカも黙って話に耳を傾けている。
アスカは口を挟もうとしたのだが、シンジの様子を見ているとどうしても出来なかった。
「少年は全てを憎んだ。長くその感情に身を焦がしながら過ごした。たった一人で。
救ってくれなかった二人の少女を激しく憎んだ。
だから!少年は、僕は二人にそっくりな君達が憎かった!」
シンジが声を荒げて叫ぶように話す。
深呼吸を一度して気持ちを落ち着け、話を続ける。
「少年は気付かなかった。二人の少女も少年と同じように助けを求めていたのに。
壊れた少女は少年とひどく似ていたんだ。深いところで。
もう一人の少女はずっと一人ぼっちだった。だけど、ずっと少年を支えてくれてたんだ。
だけど、それを拒絶していたのは少年だったんだ。
それに気付いたのは最近だったよ。勝手に憎んでてさ・・・。
自分でも傲慢だと思うよ。
だけどね、僕は君達を救ってあげたいんだ。もうあんなことを繰り返さないためにも。そして、自分のためにも・・・。」
何も言えなかった。
アスカも、レイもただ呆然とシンジを見ていた。
無言の時が流れる。
ようやくアスカが口を開く。
「べ、別にアタシはアンタなんかに助けてもらいたくないわ。だいいち、アタシとその子が似てるって言っても結果が同じだとは限らないじゃない。」
「もちろんそうだよ。助けたいっていうのはただの僕の自己満足さ。
それに助けるっていっても何ができるわけじゃない。せいぜいできることは君に助言することくらいだね。
君は僕が憎いだろう?だから僕の言葉を聞き流してくれたって構わない。
アスカ、一番に拘り続ける必要なんてどこにも無いんだよ。」
その言葉を聞いた瞬間、アスカからは反射的に否定の言葉が出てくる。
「違う!アタシは一番じゃなきゃダメなの!絶対にアンタなんかに負けるわけにはいかないのよ!
アタシは常に一番じゃなきゃいけないのよ!
じゃないと・・・」
どうしてそこまで碇君の言葉を否定し続けるの?
レイは思った。
肩を震わせながらかたくなに拒み続けるアスカ。
「・・・私もエヴァに拘っていた。」
静かにレイが話し始める。
「私にはエヴァしかないと思っていた。他の人と接することにも興味が無かった。でも碇君が教えてくれた。エヴァだけが全てではないと。」
無に還らなくてもいいと。
心の中で付け加えた。
「アスカ。」
優しい声でシンジは呼びかけた。
うつむいていた顔を上げるアスカ。
「一番じゃ無くても僕は君を見捨てたりしない。君が僕を憎くても、僕は君を守り続ける。レイ、君もだ。僕は君達を裏切らない。僕を裏切らない限り。」
そこにはもう見慣れてしまった笑顔でなく、きれいな笑顔を浮かべるシンジがいた。
マンションへの帰り道、アスカが小さく「努力してみるわ。」とだけ言った。
それを聞いてシンジは微笑んだ。
それからのユニゾンは順調だった。
元々表層的なものは完成の域にあった。
問題などどこにも無かった。
そして、決戦の日。
「さあて、じゃあさっさと片付けちゃいますか。」
「いいわね、シンジ。こんな奴さっさと倒しちゃうわよ!」
「了解。」
プラグ内でモニター越しに会話を交わす二人。
「何なのかしらね。二人のあの自信は。」
「ユニゾンがうまくいったってことじゃないの?」
ミサトとリツコが話している横でレイは微笑を浮かべていた。
エヴァ両機が射出され、Both of You, Dance Like You Want To Win!が流れ始める。
見事な動きでイスラフェルを追い詰めていく二人。
二人の動きは別々なのだが、攻撃の瞬間だけはきれいに一致している。
シンジがミスをすればアスカがそれをサポートする。
アスカが体勢を崩せばシンジが建て直しの時間を稼ぐ。
そして・・・
62秒後には二機のエヴァだけが巨大なクレーターに立っていた。
・・・訂正、立ってはいなかった。
二機が絡み合うように横たわっていた。
「・・・」
「・・・」
「何よ・・・。」
「いや、別に。」
「悪かったわね!そうよ、最後にバランス崩したのはアタシよ!」
その言葉にシンジは軽い驚きの表情を浮かべた。
「何よ、その顔は。」
「いや、アスカから謝罪の言葉が聞けるとは思わなかったからね。」
「アタシだって自分の非くらいは認めるわよ!アンタ、アタシをなんだと思ってるのよ!」
「・・・自己中なわがままお嬢さん?」
「アンタね〜!!」
突っかかるアスカを簡単にいなし続けるシンジ。
その全てが中継されてた発令所では久々の笑いが満ちていた。
「・・・また恥をかかせよって・・・。」
頭を抱える冬月をよそにレイも笑顔を浮かべ続けていた。
shin:や〜っとおわったぁ〜
ミナモ:・・・やたら長いわね。
シンジ:普通に二話分の量はあるね。
shin:いや〜、書き始めから長くなりそうな予感はしてたんだけどね。まさかここまでなるとは思わなかった。
書きたいこと書いてたら予想以上に長くなったんで俺もびっくり!てな感じで。
レイ:・・・アスカの出番が多いわ・・・
ミナモ:私はなんか、影の人、みたいになってきたわね・・・。
アスカ:やっぱりメインはアタシね!
シンジ:あ、アスカ。
shin:ゲッ!
アスカ:なによ、ゲッていうのは。
shin:だってこれ以上増えたらここが騒がしくなっちまうし。
アスカ:何よ、まるでアタシが年中騒いでるみたいじゃない!
レイ:・・・現に今うるさいわ。
アスカ:そこ、ボソッと言わない。
シンジ:なんか僕の影が薄くなったような・・・
shin:ま、事実薄くなったな。
ヒュッ!サクッ!
アスカ:あれ、作者は?
ミナモ:ああ、なんかシンジを怒らせたみたいで死にやすい「点」を突かれたみたい。
レイ:・・・それ作品が違うわ。
ミナモ:細かいことは気にしない。
アスカ:・・・それでどうなったの?
シンジ:聞きたい?
アスカ:・・・いや、遠慮しとくわ。
シンジ:そう、残念だね(クスッ)
アスカ:(シンジって結構危ない奴ね)それで作者を消しちゃったら後書きはどうすんのよ?
レイ:別に要らないわ。すでに雑談会になってるし。
ミナモ:確かに。
シンジ:まあ、そういうわけにもいかないし。
とりあえず僕は自分の気持ちに気付いたんだね。
ミナモ:みたいね。アスカが本当に変われるかは分からないけど。
レイ:私にも何かを気付かせたかったみたいね・・・。
アスカ:シャクだけど、シンジのおかげで少しは変われたように見えるけど・・・
シンジ:まだまだちゃんとしたことは分からないね。
ミナモ:以上!
アスカ:みじかっ!
ミナモ:いいのよ、別に。
さて、読んだら感想をお願いしますね。
シンジ:本来は期待するものじゃないんだけどね。作者がヘタレなので感想がないとへこむんです。
アスカ:最近迷惑メールばっか来るからへこんでるし。逆に感想がくると単純だから急に元気になるのよね。
レイ:ダメ作者ですけどよろしく・・・
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