韓流ファッションブランドの没落(上)

本業もそこそこに別事業展開で失敗

映画・不動産に進出するも…

「粘り強さや職人魂に欠ける」

 一時、韓国のバッグ・小物ブランドでトップを独占していた「サムジ(Ssamzie)」が7日、不渡りを出した。ここ数年間、経営難から脱け出すことができなかったサムジの不渡りは、ある程度予測されていた。だが、ルイ・ヴィトンやグッチといった海外ブランドの中でも、聞けば誰もが知る韓国の有名ブランドがまた一つ消えたということで、韓国ファッション界の表情は暗い。

サムジが2005年、ソウル市鍾路区仁寺洞にオープンした複合文化スペース「サムジギル(サムジ通り)」。新たな文化的試みとして脚光を浴びたが、赤字続きでサムジの経営を圧迫した。/写真=李泰景(イ・テギョン)記者

■本業に集中せずサイドビジネスに手を出し失敗

 サムジが倒産に陥ったいきさつを見ると、韓国ブランドがなぜ長寿ブランド、世界的ブランドとして成長できずに没落するかが如実に現れている。チョン・ホギュン元代表が1993年に設立したサムジは、ワンパターン化していたハンドバッグ市場にアイデアあふれるカジュアル・ブームを巻き起こした。サムジのほか、「ノム」「イチゴ」「アイザック」「真理」など韓国的な情緒あふれる独自ブランドとフレッシュなデザインで人気を呼び、創業5年目の98年には売り上げ544億ウォン(現在のレートで約45億円、以下同じ)、純利益20億ウォン(約1億7000万円)を上げるまでに成長。2001年にはコスダック(KOSDAQ)に上場された。

 ところが、コスダック上場から2年間は黒字を計上したものの、03年から現在までは7年間連続で赤字を出している。昨年は売り上げ578億ウォン(約48億円)に対し赤字額が129億ウォン(約11億円)で、監査意見すら拒否された。サムジの元幹部は「コスダック上場で集まった資金は、会社をつぶすのに使われてしまった」と話す。利益にならない事業を拡大しすぎたのが倒産の原因という意味だ。

 創業者のチョン元代表は、2000年代初めのサムジ全盛期には「『イタリアにグッチあり』なら、『韓国にはサムジあり』だ」「わたしはサムジという詩を書く詩人チョン・ホギュンです」と自社ブランドや自身について紹介するほど、自信にあふれていた。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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