【バンコク共同】タイ軍などの治安部隊は10日、首都バンコクで反政府集会を続けるタクシン元首相の支持団体「反独裁民主統一戦線(UDD)」のデモ隊約1万2千人の強制排除を開始した。首都最大の繁華街や首相府に近いUDD拠点に部隊が展開し、UDDは激しく抵抗し衝突、在タイ日本大使館などによるとロイター通信日本支局の日本人カメラマン村本博之さん(43)を含む19人が死亡した。負傷者は825人に上った。
ロイター通信によると、村本さんはロイター通信で10年以上勤務しており、8日に日本を出発した。病院当局者によると、左胸を撃たれて死亡したという。日本大使館によると村本さんの家族は11日夜、バンコク入りの予定。小町恭士駐タイ大使は深い遺憾の意を示し、タイ外務省に、真相解明と今後の日本人の保護に対する努力を申し入れた。
タイでは昨年4月にも、治安部隊とタクシン派の衝突で死傷者が出ており、2年続けて流血の事態となった。13日から始まるタイ正月を前に政府は強硬手段に転換したが、死傷者が出る結果となり、陸軍報道官は10日夜、UDDに衝突停止のための交渉を打診していることを明らかにした。
アピシット首相は9日の演説で「デモを終わらせるため、あらゆる手段を取る」と表明。軍部隊は10日、対峙するデモ隊に威嚇発砲。軍ヘリコプターから催涙弾を投下し、ゴム弾や放水も使って実力行使に乗り出した。
しかし、UDD側は軍兵士に実弾を発砲、爆発物を投げ込むなどした。タイ首相府相によると、首相府にも小型砲弾が撃ち込まれた。デモ隊の暴徒化も懸念されている。
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