△ロイター正面玄関前にて |
横山晴香アンナさん
(デジタルハリウッド大学三年生) |
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「提供:ロイター」。Webやテレビでニュースを見たり、新聞を読んだりするときに、この文字を見た経験のある方も多いのではないでしょうか?ロイターとは、ありとあらゆるニュースを配信する世界最大の国際通信社です。2006年、デジタルハリウッド大学に時の外務大臣、麻生太郎氏(元:自由民主党幹事長)が訪れた際は、その模様を取材に来られたことも。それをご縁に、現在デジタルハリウッド大学から横山晴香アンナさん、森嶋みなみさんの二名の学生がアルバイトをしています。ジャーナリズムの最前線で、ふたりの学生はどんな社会勉強をしているのでしょうか?勤務歴の長い横山さんの出勤日に合わせ、ロイタージャパンのオフィスにお邪魔してきました。
所在地は赤坂。この春オープンした赤坂Bizタワーの30階に、そのオフィスはありました。天気の良い日には富士山に沈む夕陽が見られるほど眺めがいいオフィスに、横山さんは週3~4日出勤中です。もともとは映画を作りたいと思っていた横山さんですが、今は「カメラマンとして報道を勉強したい」と、すっかりジャーナリズムのトリコに。何でもニュース特有の“一瞬”を捉えることが楽しいのだとか。 |
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△オフィスからの眺め。中央奥は国会議事堂 |
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ロイターの編集局には写真部、記事を書くペン部、そして横山さんが所属するテレビ部があります。取材で撮りためたテープの整理やプレスリリースなどの書類整理のほか、プロデューサーの前田利継さんや一色崇典さん、カメラマンの村本博之さんの取材に同行することが横山さんのお仕事。最近では編集にも興味を持ち、大学で編集関連の講義をとることはもちろんのこと、現場でもそれを実践すべく、自ら積極的に動いています。ですが当初は、現場でのお手伝いまでは考えていなかったと前田さんは言います。
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△横山さんが整理したテープ類。曜日ごとに棚分けされており、これも彼女のアイデア。中国のロイターでも採用された。 |
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「デジタルハリウッド大学にアルバイトの依頼をする以前は、撮りためたテープや資料など何もかもが放置されていて、ひどい有様でした。そこで最初はオフィスの整理をしてくれる人として学生さんを採用したのです。けれど横山さんは、整理整頓を完璧にこなすのはもちろんのこと、ジャーナリズムにもすごく興味を持ってくれました。それで僕らとしても、取材や編集など現場の仕事も手伝ってもらうようお願いしているのです」。
実際に取材で使う10キロ以上ものカメラを持たせてもらったことをきっかけに、体力をつけようと腕立て伏せに励んだり、テープ整理の際には編集前の映像を見て勉強したりと熱心な横山さん。数あるニュースの中で興味を持っているジャンルは、ロボットものや動物ものなど。前田さん曰く、このふたつのジャンルのようにな面白いトピックスは、世界からも需要があるそうです。
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ロイターがニュースを配信する際は、現場で映像を押さえ取材対象にインタビューをし、オフィスでそれを編集、そこへ記事を書くという流れ。通常取材にはプロデューサーとカメラマンが組んで行くケースが多く、横山さんもそれに同行していますが、場合によってはカメラマンとふたりきりで取材に出かけることも。そんなときは、撮影以外に自分ができること、例えば取材内容をメモするなど、普段現場で見ている皆さんの仕事を見習って、できる範囲でこなしています。
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△プロデューサーの前田さんと横山さん。脚立を担いで現場では走り回ります。 |
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△カメラマンに指導を仰ぎながら編集を勉強中 |
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報道と言えば、緊張感にあふれるお堅い現場というイメージを持つ人がほとんどではないでしょうか。実際テレビ部でも多い日には6~7本のニュースを配信しており、かなりの忙しさが想像できますが、こちらで働くみなさんは仕事そのものを楽しんでいる雰囲気が感じられました。前田さんは言います。「私たちの仕事は、何か事件があったらすぐに現場に向かわなければいけません。けれどずっとそうやって気持ちを張り詰めているわけにもいきませんから、普段はできるだけ楽しくいるように心がけています」。
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映像を取り扱う会社だけに、例えば誰かが退職されたり異動されるときは、ユーモアたっぷりのお別れビデオをプレゼントするなど、遊び心も大切にされています。そんなオンオフの切り替えこそ、良い仕事を生む秘訣なのでしょう。
横山さんが所属するテレビ部のシニア・プロデューサー、オリビエ・ファーブルさんも、楽しくなければこの仕事は続けられないと断言されます。「僕自身、この業界に入ったのは学生時代のアルバイトがスタートでした。それこそメール配りのような雑用が主でしたが、それでも楽しかったことを覚えています。みなさんに憧れの業界があるのであれば、そこで一体どういう仕事が行われているのか、そして自分が楽しめる仕事かどうか。まずは実際に体験してみて、それから将来の進路を考えてもらえればと思います」。
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△テレビ部の皆さん。左から一色さん、前田さん、オリビエさん、横山さん、大坂さん、村本さん |
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一度しかない学生時代、そして自分の方向性を決める人生の転機を迎える前だからこそ、まずは体験してみる。これはとても重要なことです。ちなみにオリビエさん曰く、海外ではインターン制度が当たり前に整えられているとのこと。そのため外資系の会社ではインターンを受け入れている可能性も高く、興味のある会社があれば、まずは電話で問い合わせてみるのも方法のひとつです。
最後に、横山さんや森嶋さんのように、ロイターでアルバイトとして頑張ってみたいと思っている学生さんにアドバイスを頂きました。前田さんは「ジャーナリストになりたいという強い意思があって、取材や記事を書きたがる子も良いですよ。ですが雑用も大切な仕事のひとつなので、それらを嫌な顔をせずやってくれる子を求めています」と、一色さんは「わからないことも素直に確認できる、そんな慎重さを持った子に来てもらいたいですね。そして我々が忙しくて指示出しできないときでも、自分で何をすべきか考えられる子だと嬉しい」と言います。そして、次のように続けました。「要は“やる気”です。最初から完璧な人なんていませんから、教えてもらったことは次から一人で出来るようになっていけばいいだけのこと。目の前の問題を出来るだけ早く解決するための、ほんの少しの思い切りや考え方を大切にしてもらいたいですね。これはすべてにおいて言えることだと思います」。
現場を知ることそして体験することよりも、もっと大切なことを報道のスペシャリストたちから学んでいるようです。そんな恵まれた環境の中に身を置く横山さんに、これからの目標を伺いました。「この仕事は本当に楽しくて、初めてカメラを触らせてもらった日のことは、今でも覚えているくらい。卒業後の進路はまだしっかりとは考えていなくて、このままアルバイトとしてこちらに残り、雑用をこなしながら勉強していきたい気もするし、社員にチャレンジしたいという気持ちもあります。とにかく今は毎日が楽しいんです」。
近い将来、横山さんが選ぶ道に向かって、これからも頑張ってくださいね!
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△ロイター日本支局長とともに。 |
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