五輪ジャンプ:伊東ら4人全員決勝進出 個人ノーマルヒル

2010年2月13日 4時7分 更新:2月13日 12時36分

ジャンプノーマルヒル予選を4位で通過した伊東大貴=カナダ・ウィスラーの五輪公園で2010年2月12日、手塚耕一郎撮影
ジャンプノーマルヒル予選を4位で通過した伊東大貴=カナダ・ウィスラーの五輪公園で2010年2月12日、手塚耕一郎撮影

 【ウィスラー(カナダ)立松敏幸】 ジャンプ個人ノーマルヒル(HS106メートル、K点95メートル)の予選は、伊東大貴(雪印)が104.5メートルを飛び、134.5点で日本勢トップの予選4位で13日(日本時間14日)の決勝に進んだ。葛西紀明(土屋ホーム)は105.5メートルをマークしたが、飛型点で伊東に及ばず133.5点で6位。五輪初出場の竹内択(北野建設)は96メートルで33位、同じく初出場の栃本翔平(雪印)は95メートルの39位で、日本勢は全員が予選を通過した。

 予選は50選手のうち、40位タイまでの41人が通過。今季ワールドカップ(W杯)個人総合10位以内の予選免除者10人を合わせた51人で決勝を争う。予選免除者のうち9人も調整を兼ねて飛び、グレゴア・シュリーレンツァウアー(オーストリア)が、全選手トップの107メートルをマークした。

 ▽栃本翔平 (五輪初出場に)緊張した。タイミングが外れた。本戦(決勝)は失敗しないようにリラックスして飛びたい。

 ◇伊東 勝負の赤

 勝負色は赤だった。伊東のジャンプスーツは普段、黒や白が中心だが、五輪に向けて前面が赤いタイプを新調した。「日の丸の赤を使いたかった」。日本代表として臨む大舞台への決意の表れだった。

 決意するだけでなく、しっかり結果も出せるのが、今の伊東だ。「何も考えずに飛んだ」という無心のジャンプは、助走路で重心がやや後ろ気味になり、飛び出しも跳ね上がる感じになったが、87.9キロとまずまずの助走速度に助けられ、104.5メートルに着地。同じ104.5メートルをマークした試技の方が内容は良かったというものの、「予選を飛んで、ようやく(五輪への)気持ち作りができた」とほっとした表情を見せた。

 昨季はスキー部への支援縮小を打ち出した所属先をシーズン中に退社。就職活動を続けながらでは、競技に集中できなかった。昨年4月、名門・雪印に移籍し、心機一転、夏場の体作りや調整方法からジャンプを見直した。今季はワールドカップ(W杯)で3位が2度あり、個人総合ランキングでも現在日本勢トップの14位と、充実のシーズンをすごしている。その自信があるからだろう。2度目の五輪となる今回は「トリノ(五輪)ほど気張っていない。数字の目標も定めていない」と心に余裕がある。

 予選免除のシュリーレンツァウアーは、伊東より約2メートル下のゲートから飛びながら、伊東より2・5メートルも遠くに飛んだ。トップとの間にそびえる壁は高いものの、24歳に動揺や焦りはない。決勝は「自分のジャンプをすることだけに100%集中したい」と言葉に力を込めた。【立松敏幸】

 ○…22歳の竹内は「緊張はしなかった」と、念願の「五輪初飛び」を終えたことには笑顔だった。もっとも「助走路で重心を後ろに、後ろにと何回も考えすぎてしまった。意識しすぎて、重心が片足だけつま先にいってしまった」とちぐはぐな飛躍で96メートルと距離が伸びず、33位での予選通過となった。小学4年の時、地元で開かれた長野五輪に感動してジャンプを始めた竹内。卒業文集に五輪出場の夢をつづり、フィンランドにジャンプ留学もして実現した。「これで気持ちが折れたら負け」。気持ちを切り替えて、決勝での大飛躍を誓った。

 ○…予選6位の葛西は「何回失敗すればいいのよ。いらっとするね」。ウィスラー入りしてから飛んだジャンプは2日間の公式練習を含めてこれが8本目だが、いずれも飛び出しの「タイミングが遅れている」という。原因は助走姿勢にあり、目線や重心の位置、尻の高さを少しずつ変えて試しているものの、良いポジションが見つかっていない。それでも、カリ・ユリアンティラ・ヘッドコーチからは「動きはいい」と言われており、「タイミングが合えば110メートルぐらいいける」と前向きだった。

 ○…前回トリノ五輪で個人ラージヒルと団体の2冠に輝いたトーマス・モルゲンシュテルン(オーストリア)が、出場した予選免除者9人の中でシュリーレンツァウアーに次ぐ飛距離となる105.5メートルをマーク。五輪3個目のメダル獲得へ向け、好発進となった。この日のジャンプは「飛び出しのタイミングが早かった」というが、「良い準備ができた」と手応えありの様子。決勝では「最高のジャンプをすれば優勝できる」と自信をうかがわせた。

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