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【産経志塾】拓殖大学学長・渡辺利夫氏 日本は「国家」や「公」の観念再生を (2/3ページ)
このニュースのトピックス:大学教育
この100年余りの歴史を振り返ると、日本の安全保障が完全に守られた時代があった。一つは世界の7つの海を支配していた海洋国家の英国と同盟を結んだ明治35年から大正末期まで。この同盟のおかげで日本は日露戦争に勝利して「幸福」な時代が続いた。この間、大正デモクラシーが開花し、学術・芸術が振興され、産業も勃興(ぼっこう)した。
だが、第一次大戦に勝利して以来、欧米諸国に猜疑(さいぎ)の目を向けられながら、大陸に深く関与していった時代の日本はまことに「不幸」であった。日本は大陸関与には抑制的でなければならない。
もう一つ、日本の「幸福」な時代がある。日米同盟に守られてきたこの60年ほどの現代だ。日本は覇権を持つ米国と同盟を組むことで、国の安全保障を完璧(かんぺき)なものにできた。
今後も日米同盟は外交の基軸とすべきだが、今は、日本側の怠惰で、同盟関係は非常に際どいものになっている。そうした現状を脱し、東アジアで日本が生存していくには何をなすべきなのか、議論を深めていく必要がある。