『コラム』 ジブリ映画に見る「情熱」 押し通った先の爽快感

たとえば、『天空の城ラピュタ』の海賊ドーラが坂の上からオートモーヴィルに乗ったまま鉄道の軌道に入ろうとして、駅の小屋を体当たりで吹き飛ばし、そのショックを巧みに使って降りられるはずのない線路に根性で降りてしまい、軍の発砲で崩れる鉄橋を踏みしだき、破片を飛ばしながら進撃する場面。
無茶苦茶するなぁ。これじゃ線路がめちゃくちゃじゃないか。と私たちは思います。
しかし、「こんなこと、やっていいの?」と一瞬、思う気持ちを突き抜けてしまうところに、見ているこちらの日常や現実に縛られた気持ちが解放されていく醍醐味があるように感じたことはありませんか?
あるいは、『千と千尋の神隠し』のカオナシが巨大化した蛙のような形状になり、湯屋の中を破壊し、なぎ倒しながら千を追う場面。
絢爛豪華な湯屋の内装や装飾品がことごとく破壊され、カオナシが吐きだしたドロドロのいかにも悪臭のしそうな液体によって汚されていく様子に、私たちは一歩ひいて「あーあー、やっちゃった」なんて思いながらも心のどこかでわくわくしているはずです。悪戯をした子供のような気持ちで。

ただ単に常識から外れた行動をするだけなら、単純な戦争映画でもできます。銃を取って撃ちまくればいいのです。しかし、それとジブリ映画の表現とで明らかに違うところは、私たちの日常性とどこかしらリンクして現実味を帯びた舞台上で「私たちにもできるかもしれないけど道徳的にまずいと思うからやらない」というラインでの出来事を描いているところにあります。
明らかにリアルとかけ離れたところで行われる突飛な行動よりも、身近なところで、普段私たちが持っているような道徳心や常識を吹っ飛ばすパワフルさが爽快感となって私たちの心に残るのです。

また、その無茶苦茶なパワフルさはアクションシーンだけでなく、顕著に食事シーンにも表れています。
老婆であるはずのドーラが堅そうなエビをちぎっては食べ、肉を歯でミシミシと引き裂きながら喋っているかと思った瞬間、テーブルの上の食事を全部なぎ払って電話を引き寄せる豪快さ。
一層清々しさと頼もしさすら感じます。

『千と千尋の神隠し』の作画作業を追った
テレビ番組では、宮崎が新人の原画マンを食事シーンを使って訓練する様子が取り上げられていました。食事がうまく表現できない新人に対し、観察力のなさはもちろん、彼が普段から生きているエネルギーが希薄であることまでも容赦なく指摘し、極限までの力を引き出そうとする彼の姿勢が窺える一場面でした。

 「探していくんですよ。運動そのものが持ってる必然性みたいなものと、自分のこれが気持いいというね、そういう線がどこかにある筈なんですよ」
この発言から、宮崎駿は一つの線を描くのでもどういう線が一番気持いいのか、どう動かすのが一番爽快感を感じられるかということを常に考えていることが窺えます。アニメを動かすことは、宮崎がどう動くかであり、どう生きれば気持ちいいのか、なのです。

宮崎アニメの音楽を多く担当してきた久石譲はこう語っています。
 「宮崎さんは、生きる姿勢というものと、アニメーションを通して表現していくこととが、全部一致してるんですね」
『もののけ姫』で主人公のアシタカはヤックルに乗って走る時に「押し通る」と言う。目の前に何が立ちふさがっていようとも、押し通る。何かの目的のためではなく、気持ちのいい線だと思われるところを一直線に押し通ることが大事なんです。

どう動けば気持ちいいか、どう生きれば気持ちいいか。
やりたいことに向かって情熱を持って押し通りましょう。

アニメゲームマンガ業界はいまだに大人たちには理解されない職業という一面があります。

両親に

銀行に就職した
市役所に就職した
教師になった

というより

アニメ会社に入った
ゲーム会社に入った
マンガ雑誌の出版社に入った

というほうがはっきりいってガッカリされる率が高い!(私はとてもそれが悲しい!)

しかし、世間の眼ばかり気にして良い人生が歩めるのでしょうか?
世間の眼ばかり気にして良い作品が生まれるのでしょうか?

自分のやりたいことをつきぬけて、押し通してみるといいと思います。

その先に爽快感が待っています。

ちなみにうちの社長は中学校から大学までアニメゲームマンガ三昧
アニメゲームマンガのこと以外考えたくないと言ってラクジョブを作って起業しています。
押し通せばいいのです。

ただし、押し通すにはパワーがいります。
自分の好きなことを押し通すためなら本気で頑張れるはず。

アニメゲームマンガ業界を目指す皆さんは、是非自分のこだわりを押し通してください。
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