日米関係が危機的状況を迎えている。普天間移設問題を打開する突破口として期待された鳩山由紀夫首相とオバマ大統領との日米首脳会談が拒否され、民主党の小沢一郎幹事長が検討していたGW中の訪米も見送られることに。このため、永田町周辺では「米国は激怒している。鳩山−小沢体制に見切りをつけた」との見方も出ている。
防衛省関係者に最近、普天間問題にかかわってきた元米政府高官から次のようなメールが入った。首相が「シュワブ陸上・徳之島案」を軸に、米側などと調整するよう閣僚らに指示したことを受けた内容だという。
「鳩山チームはまるで分かっていない。日米同盟がどうなろうとも、この責任は回避できない。100%の責任を負わなくてはならない」
まさに警告。これと前後して、日米首脳会談の拒否が伝えられた。小沢氏も「二元外交になる」(小沢氏側近)としてGW訪米を中止したが、米側から正式な招待状が届かなかったという。
元外務官僚でレバノン大使も務めた作家の天木直人氏は「現在の日米関係は異常というしかない」といい、こう続ける。
「明らかに、米政府は現在の鳩山内閣に失望を感じている。首相と与党幹事長がともに相手にされないなど、かつてなかった。両国の意思疎通ができていない。完全決裂までは行かなくても、首相が示した5月末までに普天間問題を解決することは無理だろう」
そもそも、首相が進める「シュワブ陸上・徳之島案」について、防衛省関係者は「ヘリ部隊は地上にいるときが最も脆弱で、陸上部隊と一体運用するのは軍事の常識であり、分散移転は論外。鳩山内閣にはそうした軍事上の基礎的知識がない」とあきれる。
これを受けてか、岡田克也外相は9日、ルース駐日大使と外務省で会談したが、日米実務者協議の開始は先送りされた。
日米外交筋はこういう。
「米側は、日本の政治状況を正確に把握している。『政治とカネ』の問題や支持率などから、鳩山−小沢体制がそう長く持たない、安定していないとみているのだろう。オバマ大統領が首相や小沢氏と会い、普天間問題で拒否すれば、『米国が日本の政権を倒した』という印象を与えかねない。彼らは介錯人(=切腹に際して首をはねる人)になりたくないのだ」