ニュース特報

2010年04月07日号

【検察審査会】
東京地検特捜部、小沢氏を不起訴にした理由について説明、本誌編集長「起訴相当の議決をする公算が高い」とコメント


●読売新聞配信記事
 読売新聞は7日、「小沢氏不起訴の理由、特捜部が検察審に説明」という見出しで次の記事を配信した。
 小沢一郎・民主党幹事長(67)の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件を巡り、東京第5検察審査会は6日、小沢氏を嫌疑不十分で不起訴とした東京地検特捜部の検事から意見を聞いた。

 検事は、小沢氏を不起訴とした理由や、提出証拠について説明したとみられる。

 小沢氏は今回の事件で、同会の事務担当者だった石川知裕衆院議員(36)(同法違反で起訴)の共犯として刑事告発されており、特捜部は2月4日、小沢氏について「有罪判決を得るための証拠が足りなかった」として不起訴とした。その後、同審査会に、これを不服とする審査の申し立てがあり、不起訴の是非を審査している。

 検察審査会法では審査会の要求があった場合、検事は審査会に対して意見を述べなければならないとしており、今回は、捜査を担当した特捜部の検事が説明に出向いた。

 特捜部が同審査会に提出した証拠には、陸山会が2004年10月に東京都世田谷区深沢の土地代金などに充てた4億円について、同年分の政治資金収支報告書に記載しない方針を小沢氏に報告し、了承を得たとする石川被告の供述調書も含まれており、同審査会はこうした証拠を適正に評価するため、特捜部側に説明を求めたものとみられる。

●本誌編集長のコメント
 陸山会事件では、石川被告は「2004年分の陸山会の政治資金収支報告書に、土地代金に充てた4億円を記載しない方針を、土地購入前に小沢氏に報告し、了承を得た」と供述したが、肝心な「小沢氏からの積極的指示、了承した細かい場面」の供述はとれなかったという。それで東京地検特捜部は小沢氏を不起訴処分とした。
 

 告発者はこれを不服として検察査審査会に不服の申し立てをした。当然である。

 なぜか、石川被告が「小沢氏からの積極的指示、了承した細かい場面」など供述をするわけがない。議員を守るのが秘書の「行動原理」であるからだ。

 石川被告は陸山会が土地代金を支払っても、土地の名義は小沢氏にする以外登記できない。
 陸山会には解散時の財産の帰属先がはっきりしていない。仮にあったとしても、確定日付のない書類は信用性がない。いつ作成されたか、定かではないからだ。陸山会は法人ではないから定款がない。財団法人、社団法人、株式会社にも定款はある。定款に公証人の認証が必要なのは作成日が確定するためである。
 この状況では、小沢氏から積極的指示がなくても、石川被告は、あうんの呼吸で2004年分の陸山会の政治資金収支報告書に、土地代金に充てた4億円を記載しなかったと推測される。

 これを石川被告の共犯と捉えるか、証拠不十分と捉えるか、は見解の分かれるところであろう。しかし、庶民感覚では(虚偽記載しても)利益のない石川被告を起訴して、利益を享受する可能性の高い小沢氏を不起訴にするのはおかしい、と思う。検察審査会は「起訴相当」の議決をする公算が高いと私は見立てるのだが……

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