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裁判員裁判を被害者が懸念、強姦致傷容疑での立件見送る

2010年4月9日12時2分

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 大分市内の20代女性が性的暴行を受けてけがをした事件があり、捜査した大分県警が、被害者の意向をくんで裁判員裁判の対象となる強姦(ごうかん)致傷容疑での立件を見送り、強姦容疑で男を逮捕、送検していたことが9日、捜査関係者への取材でわかった。女性は当初、厳罰を望んでいたが、強姦致傷罪が裁判員裁判の対象と知り、「人前にさらされたくはない」と県警に不安を訴えていたという。

 性犯罪を巡っては裁判員制度が導入される前から、被害者のプライバシーをどうやって守り、配慮するかが課題となっていた。今回は被害者の裁判員裁判に対する懸念が立件内容に影響を与えた。

 県警によると、女性は昨年9月4日未明、大分市内の路上で帰宅途中に男から体を押さえつけられるなどして性的暴行を受けた。その際、女性は、ひじやひざにけがを負い、医師から診断書を受け取っていたという。

 裁判員法は、法定刑に死刑か無期懲役がある事件と、故意の犯罪行為で人を死なせた事件を裁判員裁判の対象と定めている。強姦致傷罪は最高刑が無期懲役で裁判員裁判の対象となるが、強姦罪は3年以上の有期刑のため対象外となる。

 県警は強姦致傷事件として捜査を進め、別の女性に対する強制わいせつ事件で12月に逮捕した半沢周二(はんざわ・しゅうじ)被告(37)=公判中=が容疑者と割り出した。だが、裁判員裁判になることを懸念する女性の意向をくみ、半沢被告を強姦容疑で今月6日に再逮捕した。被告は県警の捜査に対し、容疑を認めているという。

 ある捜査関係者は「県警としてはできるだけ重い罪にしたかった。苦肉の策だった」と話した。

 今後も被害者が裁判員裁判を望まないケースが予想されるが、大分地裁の加藤誠所長は「捜査機関が判断することであり、裁判所としてはコメントできる立場にない」としている。

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