金剛山観光:当惑する現代峨山(下)

観光が完全に取りやめなら3200億ウォンの投資が回収不能に

 現代峨山が心配しているのは、民間企業の資産凍結や没収、観光事業権のはく奪といった、北朝鮮が今後取り得る追加の措置だ。現在、金剛山地域には、現代峨山が投資して建設した金剛山ホテルや外金剛ホテルなど、2263億ウォン(約189億円)の資産と、エマーソン・パシフィックが建設したアナンティー・ゴルフ場、イルヨン・インベストメントが建設したファミリービーチ・ホテルなど、36社が保有する970億ウォン(約81億円)の資産が存在する。北朝鮮がこれらを没収、あるいは韓国との観光事業を完全に取りやめた場合、企業側は投資を回収できなくなる。現代峨山は南北経済協力損失保険に加入しているが、この保険で補償される最高額はわずか70億ウォン(約5億8000万円)だ。それ以外の企業は、この保険にさえも加入していないという。

北朝鮮、事業取りやめなら外貨獲得が困難に

 開城工業団地で活動する企業も、今回の問題に注目している。北朝鮮が「開城工団事業も再検討するかもしれない」と圧力をかけているからだ。

 しかし、開城工団が稼働中断となる可能性は低いとみられる。現在、開城工団では4万2000人の北朝鮮労働者が120社で働いている。彼らが昨年受け取った賃金はおよそ3800万ドル(約35億4000万円)だ。専門家は「北朝鮮がこれらのドルを放棄するのは難しい」と分析している。

 同じ理由で金剛山や開城観光に関しても、北朝鮮の側から完全に取りやめるのは難しいという見方が多い。対外経済政策研究院国際開発協力センターの趙明哲(チョ・ミョンチョル)所長は、「深刻な経済難に苦しむ北朝鮮が、あれほどの規模のドルを別のところから稼いでくるのは難しい。韓国政府に警告するだけで終わる可能性の方が高いだろう」と述べた。

チョ・ジュンシク記者

李性勲(イ・ソンフン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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