金剛山観光:当惑する現代峨山(上)

 北朝鮮が8日、「金剛山地域にある韓国保有資産を凍結し、事業者を交代させる」と発表したことから、金剛山観光が存亡の危機を迎えている。これまで観光事業を行ってきた現代峨山とその協力企業などは、「事業そのものがなくなることはないはず」としながらも、当惑は隠せない。北朝鮮が現代峨山など民間企業の資産を没収するとすれば、企業側は数千億ウォン(1000億ウォン=約83億円)の投資を回収できなくなるからだ。

韓国政府が関係する資産のみ凍結

 現代峨山は9日朝に緊急の対策会議を開き、「北朝鮮名勝地総合開発指導局報道官の声明に対する現代峨山の立場」と題する声明を発表した。その内容は、「南北双方とも“対話を通じた観光再開を目指す”との立場をすでに明確にしているため、真摯な態度で対話を進展させるよう、強く求める。状況がこれ以上悪化しないことを願っている」というわずか2文からなっていた。2008年7月に金剛山観光が中断されてから、一貫して同じ内容の主張を繰り返しているのだ。

 北朝鮮が今回凍結を発表した韓国側の資産は、すべて韓国政府と関連のあるものだ。離散家族面会所は南北交流協力基金で建設されたものであり、文化会館、温泉、免税店は政府系の韓国観光公社が設置した。また民間企業が関係するものでは、現代証券、イドゥン商事、平安繊維工業の事業権をはく奪するとしている。しかし、これらはいずれも小さな宣伝用ブースを設置するだけとか、あるいは免税品販売を行っていたが、観光中断直後にすでに撤収し、事業権がはく奪されても大した意味のない企業ばかりだ。現代峨山の関係者は「北朝鮮が民間企業関連の資産を凍結しない理由は、観光事業をまだ完全には断絶したくないという意向があるからだ」と述べた。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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