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ひとりで悩まないで

子育て中のあなたへ

2006年5月31日発刊
A5判・64ページ
本体価格476円+税(税込500円)
ISBN4-900918-80-6 C0377

ながの子どもを虐待から守る会/編

装幀:阪本チヒロ




★著者プロフィール

お母さん、子育ては一人で頑張らなくてもいいんです。
周りにはあなたに寄り添う人、場所がありますよ。(本文より)

【目 次】

子育てに悩んでいる人(ママ)たちに
[原宿カウンセリングセンター・ 信田さよ子 ]

【お母さんたちの体験記】
悩んでいるのは、ひとりだけじゃない

普通に愛されたかった
これ以上がんばれない
叩きたいわけじゃない
とにかく眠りたかった

○「助け」を求めて下さい

【現場からの提言】
いま、子どもたちに起こっていること

○児童相談所で接する子どもたち

小児科医から見えるもの[長野市民病院小児科・青沼架佐賜]
児童養護施設の子どもたち[児童養護施設円福寺愛育園・春日 宏]
地域にできること[佐久児童相談所・藤田敏彦]
保健師ができること[保健師・松本清美]

この冊子を手にした人に
[長野赤十字病院小児科医・鷲沢一彦]

児童虐待とは(虐待の定義と防止法)

長野県内の主な相談先リスト

おわりに
[ながの子どもを虐待から守る会会長・有吉美知子]

この冊子を手にした人に

「ながの子どもを虐待から守る会」前会長・鷲沢一彦

私たち「ながの子どもを虐待から守る会」は、ある虐待のケースを支援した現場の関係者たちが「虐待を何とか防ぎたい」という強い想いを胸に設立しました。参加者は決して虐待問題の専門家ではなく、手探りのなかで方向性を探り、活動を進めてきました。
設立当時は、「子どもへの虐待」の認識を広め、子どもの安全をスムーズに図るためのネットワーク作りを目指しました。そのための講演会、研修会、ケース検討会、ワークショップ等を行い問題の啓発と関係者の連携を図ってきました。私たちにできることは限られたものでしたが、二〇〇〇(平成十二)年の「児童虐待防止法」の施行を契機に社会全体の認識が高まりました。子どもの安全確保の視点から、より早期に子どもたちを助けられる状況に変化してきています。
しかし、まだまだ課題が多く、特に虐待を受けた子どもと、虐待してしまう親の心のケアは極めて不十分です。これなくしては問題の解決にならないのですが、どのように心のケアをすれば良いのか確立された方法はありません。ただ精神科医に紹介し、治療を受ければ良くなるというわけにはいきせん。そこには、育児を妨げているさまざまな要因を取り除くとともに本当に親身になって話を聴き、心のよりどころとなるような人間関係が必要です。それができるのは、心の専門家という人ではなく、近くにいるごく親しい人かも知れませんし、同じ子育ての仲間かも知れません。私たちの会でも「心のケア」を、誰が、どこで、どのような方法で、行うことが良いのか真剣に議論を重ねています。
子どもへの虐待が事件として報道される度に、逃げ場のない家庭の中で傷ついている子どもたちを想像して心から不憫に思います。そしてそのような行為をした親に怒りを覚えます。報道の中では、親の行為が「鬼のような」とか「人にあらざる」と表現されます。しかし、実際、現場で子どもを虐待している親と知り合い、話を聞いてみると、決して「鬼」ではないことがわかってきます。他の親と同様に子どもを愛し、そして、時に子育てに悩む普通の親です。ただ、そこにさまざまな不幸な要因が重なり合って結果的に虐待となってしまっているのです。
このような虐待の起きる家庭の環境はさまざまですが、大きな社会的背景として現代の子育て環境の悪化があると言われています。私たちは便利さを追求し、経済的に豊かな暮らしを目指します。企業はいかに短時間により多くの成果を上げるかで競争します。今、この競争の中に社会全体が飲み込まれてしまっているように見えます。子育ては非効率的で、会社の仕事のように予定通りに画一的な成果を上げることはできません。私たちの社会では子育てが評価されず、蔑ろにされています。その中で、母親が子育ての全責任を背負い込んで苦しんでいます。さらに古くからの地域社会の崩壊がこれに拍車をかけています。
本会の「子ども虐待ホットライン」には、子どもを虐待していると悩んでいるお母さん方の相談が次々に寄せられています。そこには匿名の電話だからこそ話せる切実な苦しみが語られ、電話相談員がじっと耳を傾けています。「ついカッとなって手を上げてしまう」「自分の子どもなのに可愛く思えない」と涙ながらにお話しされます。その中で、自分の思い通りにならず、評価もされない孤独な子育てに悩む母親の姿が見えてきます。今回私たちは、「一人で苦しまないで、みんなで仲間を作ろうよ」というメッセージを伝えたくてこの冊子を作成しました。
子育てに苦しんでいるお母さん、お父さん、そして虐待にかかわる関係者、子どもの被害に心を痛めている多くの人にとって、役立つ情報をまとめました。苦しんでいるのは一人だけではありません。この冊子が少しでも手助けになれば幸いです。

★著者プロフィール

NPO法人ながの子どもを虐待から守る会

【事務局】〒380-0928 長野市若里7-1-5衛生部若里庁舎内
TEL/FAX.026-268-0009
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1件の読者の声 »

2006.06/23

50代・女性●現在、養護学校へボランティアでお世話になっております。縁があってこの社会にいるのに、(子供達に)この様なことが現実としてあっていい訳がありません。私達の年代では理解できませんが、でも、子育て中の母親は私達、団塊世代の子供達でもあり考えさせられます。現在は大人も子供も、個性を大切に出来なくなったことも一つの要因ではないかと思います。学校も同じ靴を履いたり、同じ運動着を着たり、何だかおかしいです。昔のように、世話をやくおばさんになろうとしています。

コメント— 2008 年 9 月 16 日 @ 5:37 PM


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