金総書記、最高人民会議に姿を見せず

統一部関係者「後継者問題には進展なし」

 北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が、9日に平壌で開催された第12期最高人民会議(国会)の2次会議に姿を現さなかった。1998年に最高権力者の座に就いて以来、金総書記が最高人民会議に出席しなかったのは2003年、04年、06年、08年に続き、今回が5回目だ。韓国政府で安全保障関係の部処(省庁)に所属する当局者は、「金総書記が中国に向かったといううわさもあるが、これは事実ではないことを把握している。過去にも最高人民会議で主に予算の問題が取り上げられたときには、姿を現さなかった」と述べた。北朝鮮メディアは、金総書記が今月3日夜に平壌で、中国の劉洪才新任大使の就任を祝うパーティーに出席したと報じて以降、金総書記の動きについて言及していない。

 朝鮮中央テレビはこの日午後8時、最高人民会議が開催されたというニュースを報じ、出席者のリストを金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長、金永日(キム・ヨンイル)首相、金永春(キム・ヨンチュン)人民武力部相(国防相)の順に読み上げた。ちなみに昨年4月の最高人民会議について報じるニュースでは、「偉大な領導者である金正日同志が会議に出席された」として、最初に金総書記の名を挙げた。

 東国大学のキム・ヨンヒョン教授は、「デノミネーション(貨幣呼称単位の変更、デノミ)の失敗以降、住民の生活が苦しくなっている中、金総書記が姿を現すことに負担感があったと思われる。今回、会議に出席しなかったからといって、すぐに訪中や健康異常などと関連づけるのには無理がある」と述べた。また今回の会議で、金総書記の後継者と目される三男のジョンウン氏が登場する、あるいは後継者世襲に向けた権力構造の変化があるのでは、という見方も出ているが、統一部関係者は「そのような特別な動きはない」と述べた。国策研究所のある研究員は「権力基盤が揺らぐリスクや、3代目の世襲に対する批判的な声などを考慮に入れたのだろう」とコメントしている。

 一方、朝鮮中央通信はこの日、「社会主義憲法の一部を修正する」と報じたが、具体的な内容については言及しなかった。また韓国政府の関係者によると、デノミ失敗の責任を問われて銃殺されたと報じられている朴南基(パク・ナムギ)前計画財政部長が会議に出席するかどうかや、人民保安省(警察庁の相当)が人民保安部に改称される問題についても、北朝鮮国内では報じられなかった。

 この日、北朝鮮は前年比6.3%増の今年の予算案を通過させた。北朝鮮の事情に詳しい消息筋は、「今年の北朝鮮の予算は、新通貨単位で52億1700万ウォンと発表された。新100ウォンは1ドルとされているため、ドルに換算すると、5217万ドル(約48億6000万円)になる」と述べた。韓国政府の関係者は、「農業や軽工業分野の予算が昨年に比べ3-4%ほど増加したが、国防費は昨年と同じく全予算の15.8%と発表された」と語った。

アン・ヨンヒョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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