錦湖タイヤ、ワークアウトが中断

 経営再建中の錦湖タイヤは9日、会社側が示した賃金案、団体協約案について、労組員による投票が行われ、いずれも否決されたと発表した。これにより、現在進行中のワークアウト(企業改善作業、銀行主導による経営再建)は中断され、法定管理(日本の会社更生法に相当)の申請や労使対立の長期化など、最悪の事態につながる可能性も出てきた。

 投票は7日から8日にかけ行われた。全組合員3561人のうち97.2%に当たる3460人が投票し、賃金案は賛成44%、反対56%、団体協約案は賛成43%、反対57%でいずれも過半数の支持を得られず、否決された。これにより、年商2兆6000億ウォン(約2170億円)、世界10位のタイヤメーカーは、経営存続が危ぶまれる状況に直面した。

 主要債権行の産業銀行は9日、債権金融機関を対象に開く予定だった錦湖タイヤのワークアウト説明会を中心するなど、同社への再建支援を全面的に中断した。

 債権団関係者は「労使交渉が妥結し、労組が債権団に構造調整同意書を提出しなければ、ワークアウトの推進は不可能だ」と述べた。

 このため、錦湖タイヤに対する1000億ウォン(約83億円)の緊急資金支援、3000万ドル(約28億円)の信用状発行支援も実施が見送られた。債権団が錦湖タイヤの再建可能性は低いと判断した場合、法定管理の申請に向かう可能性が高まる。

 会社側は労使合意案否決時の対応として予告していた通り、解雇予定者193人のうち、早期退職を申請した2人を除く191人に対し、10日付で解雇を通告した。また、正社員から契約職への転換を計画していた1006人については、1カ月の猶予期間を与えた上で、5月10日付で解雇することを予告した。

崔元碩(チェ・ウォンソク)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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