【モスクワ=副島英樹】イタル・タス通信などによると、ポーランドのカチンスキ大統領(60)が乗った特別機が10日午前、ロシア西部スモレンスク近郊の林に墜落した。緊急事態省によると同機には96人が乗っていたが、地元当局は全員が死亡したと発表した。大統領は、旧ソ連によるポーランド人虐殺の「カチンの森事件」の70周年追悼式典に参加するため、妻や遺族会など同行団とともにワルシャワからスモレンスク近郊の軍用空港に向かっていた。
ロシア国営テレビが現場から伝えた映像では、林の中に機体が散乱し、まだ煙が上がっている。ロシア緊急事態省などが捜索にあたっている。メドベージェフ大統領はレビーチン運輸相を現場に派遣した。
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〈カチンスキ大統領〉 1949年ワルシャワ生まれ。70年代から反共産主義運動に加わり、80年結成の自主管理労組「連帯」で副議長に就任。ワレサ大統領時代には安全保障担当の補佐官を務めた。法相などを経て2001年に双子の兄ヤロスワフ氏と中道右派政党「法と正義」を設立。02年からワルシャワ市長に。05年の大統領選で初当選、現在1期目だった。06年に同党党首だったヤロスワフ氏を首相に指名。07年まで双子の兄弟が首相と大統領を務めた。