【社説】法律も恥も知らない北朝鮮に対するには

 北朝鮮は8日、「南朝鮮当局の資産である金剛山面会所と韓国観光公社所有の文化会館、温泉、免税店を凍結し、(韓国側の)管理要員を追放する」との声明を発表した。また、「近く新たな事業者による国内および海外(向け)の金剛山観光が始まる。開城工業地区事業も全面的に見直す」とした。北朝鮮は韓国政府が600億ウォン(約50億円)をかけて建設した離散家族面会所と観光公社の施設などを強奪し、新たな事業パートナーを探すと言いだしたことになる。

 金剛山観光は1998年に現代峨山と北朝鮮当局による合意で開始され、10年間で195万人が金剛山を訪れた。金剛山観光は2008年7月に韓国人観光客が北朝鮮軍の銃撃で死亡した事件で中断した。韓国政府は再開に先立ち、事件に対する南北共同での真相調査と再発防止の確約などを要求してきた。韓国政府が観光客の安全すら保障されない状況で、国民に金剛山観光に出かけてもよいとは言えない。ところが北朝鮮はそうした当然の要求に耳を貸さず、無条件で金剛山観光を再開すべきだと圧力をかけてきた。しかし、無理が通じないことが分かると、今度は韓国の資金で建てた施設を強制的に取り上げると言いだした。北朝鮮には国際的な基準や常識は通じないというが、こんな無頼漢はいるものだろうか。

 北朝鮮は先月26日に起きた韓国海軍の哨戒艦「天安」の沈没を巡っても、2週間にわたり沈黙している。「天安」の沈没と北朝鮮を結びつける直接証拠は見つかっていないが、証言や写真などから天安が魚雷、機雷など外部の爆発によって沈没した可能性が高まっている。「天安」が魚雷、機雷で沈没したとすれば、誰よりも先に疑われる集団が北朝鮮だ。北朝鮮の沈黙はますます疑わしい。北朝鮮の仕業でなければ、「違う」と否定するか、普段から口先では「わが民族」などと言っているのだから、最低限の遺憾表明ぐらいはあってもよさそうなものだからだ。しかし、北朝鮮は韓国全体が「天安」沈没によるショックのさなかにある状況で、金剛山にある韓国側施設を奪い、韓国側関係者を追放すると脅してきた。

 韓国政府は「天安」沈没の真相調査に米国、英国、オーストラリア、スウェーデンなど海洋強国の専門家を参加させることを決め、国連にも協力を要請した。「天安」沈没が北朝鮮の仕業だと判明した場合、韓国が下すべき国家的決断も国際的協調の枠組み内でなされるべきだ。北朝鮮は「金剛山観光の新たな事業パートナーを探す」というが、契約書をまるで紙くずかのように破いてしまう北朝鮮の詐欺に誰がだまされようか。法律も恥も知らず、国際的な基準や常識も通じない北朝鮮に対し、韓国は国際法とは何であり、国際的常識とは何であるかから教えるための国際的協調体制を構築する必要がある。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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