【コラム】資源小国の祝福(下)

 最近、世界的な金融危機の再発が心配されているギリシャやスペインも、「天然資源の呪い」にかかっている。これらの国は気候がよく過ごしやすい上、アテネ神殿やアルハンブラ宮殿など、世界的な文化遺跡も所有しており、観光客の数が国民よりもはるかに多いという、観光資源に恵まれた国だが、それに安住して油断しすぎたようだ。

 国家だけでなく都市の運命においても、天恵の立地条件がいつもプラスに作用するとは限らないようだ。石炭、鉄鉱石などの天然資源に恵まれ、四方八方への便利な交通網により20世紀前半、成長を遂げたデトロイト、バッファローなど、米国の伝統的な産業都市は、新しい産業を見いだせず、「錆びた都市」へと転落した。一方、21世紀の米国経済をリードするカリフォルニア・シリコンバレーやノースカロライナ州のリサーチトライアングルパーク(RTP)の発展は、むしろ貧弱な天然資源や立地条件のお陰だ。元々資源がないため、新しい企業や人材を誘致し、たゆまぬ革新で成長を継続させている。ハーバード大学のグレイジャー教授は、「天然資源に頼りすぎる成長は、持続可能な経済成長を妨げる」と語った。

 天然資源がないからといって、あらゆる経済成長が成功するというわけではないが、資源がないからこそ、努力と革新により成功した資源小国の事例は多い。西ヨーロッパや香港、シンガポール、日本がそれに当てはまるが、代表的な国は韓国だ。1950年代に戦争で焼け野原となった韓国が「漢江の奇跡」を経て、今や「世界輸出トップ10」に堂々と仲間入りを果たしたのも資源小国という弱点を強みに転換させた結果だ。石油価格が暴騰するたびに「第7鉱区」の歌を思い出すが、韓国はもはや産油国をうらやましがる必要はない。われわれの父親の世代が流した血と汗は、石油より貴重で偉大だからだ。

車学峯(チャ・ハクポン)産業部次長待遇

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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