任期満了に伴う小林市長選は11日、告示される。元参院議員の小斉平敏文氏(60)▽元建設会社社長の鮫島憲明氏(60)▽元副市長の肥後正弘氏(64)の無所属新人3人が立候補を予定し、三つどもえの戦いになる。3氏とも市立病院の医師確保対策を前面に打ち出すなど主要政策が共通する半面、対照的なのが経歴だ。三様の経歴が公約達成の道筋、政治手法に投影する。【木元六男】
小斉平氏 政治生命をかけて医師確保に取り組む。市立病院勤務を条件に、医学生の奨学金を助成する。
鮫島氏 自ら医師の確保に努め、病院を再生する。救急医療体制も守る。住民の健康を守る講座も必要だ。
肥後氏 働く環境を整備し、医師確保の先頭に立つ。懸案の産婦人科、小児科も入院できる態勢を目指す。
3月30日あった立候補予定者の討論会。3氏は重点政策の一番にそろって市立病院の医師確保を挙げ、実現に強い決意を示した。
西諸県地域の中核病院、小林市立病院は慢性的な医師不足に苦しむ。産婦人科は長く休診が続き、内科も4人いた医師が1人に減少。原則として予約外来のみの診療制限を余儀なくされている。
地域医療を守るため医師を確保する--。やるべきことは明白だ。選挙戦の最大テーマながら、3氏とも違いを出しようがない。
むしろ選挙戦を特徴づけるのは、対照的な経歴だ。小斉平氏は衆議員秘書から市議、県議、国政と政治一筋に33年。鮫島氏は民間企業37年。建設会社の経営に携わった。肥後氏は市職員38年の元行政マン。収入役や副市長を務めた。政策ビラでも「政治経験・人脈」「民間力」「豊かな行政経験と実績」をそれぞれ売り込む。
経歴の違いは、政治手法に反映する。病院問題でも、解決への道筋は異なる。小斉平氏は「首都圏の医療関係者らと接触し、医師確保にめどをつけた」と人脈を強調。「株式会社小林市役所」を掲げる鮫島氏は、病院経営陣に民間人の起用を打ち出す。肥後氏は市民代表や医師会、行政などで協議会を設置し、市立病院の役割を明確にする、との立場だ。
小林市は3月に旧野尻町を編入合併したばかり。地域医療の再生を含め、新市のまちづくりが選挙戦の論点になる。堀泰一郎市長は引退する。
立候補の受け付けは午前8時半~午後5時、市役所で。投票は18日午前7時~午後8時、市内47カ所であり、即日開票される。有権者数は4万603人(男1万8731人、女2万1872人)=3月23日現在。
毎日新聞 2010年4月10日 地方版