"もの"や"こと"に興味を抱くプロジェクト志向の人は左へと曲がり、 そのほかの大多数は右へ、人づきあいという大通りへと進むのです。 p40
社交性の高い人は、ともすると何事も感情的にとらえ、 自分の行動を自尊感情や自己価値と結びつける傾向があります。 p263
定型発達の人の思考は「一般から個別へ」ですが、 自閉症スペクトラム障害のある人の思考は「個別から一般へ」です。 p115-116
正直はおもに言うべき「内容」に関係し、 社交辞令はおもに言うべき「とき」にかかわります p239
定型発達の人の行動は、公の場でも感情に操られています。 公的か私的かの境目が明白なときでさえ、 感情が論理的思考を吹き飛ばしてしまうことがあります。 これはルールにこだわる自閉症のある人よりも、 定型発達の人にありがちなことです。 こう言うのは、そのせいで自閉症スペクトラム障害のある人が、 公的な言動と私的な言動の区別を習得しにくくなることがあるからです。 p313
社会の型にはまることは、集団での交流への入場券です p356
私は人間の行動について学ぶうちに、 人間は人間にすぎないという事実を受け入れられるようになりました。 p412
恋愛には、私が今なお理解できない複雑な機微があるので、 意識的にかかわらないようにしています。 p49
今なお、私の人生は恋愛と無縁です。 肝心なのは、私はそれで何の不満も感じていないということです p61
恋愛は感情や性的欲求よりも、 意欲や報酬、行動の「欲求」面と 深いかかわりがあるという仮説を立てました。 p60
白か黒かの二者択一的思考をしがちな
自閉症スペクトラム障害の人が見た人間社会。
紹介されているテクニック自体は
多くのビジネス書で説かれているものと同じだが、
とても冷めた視点で人間関係をみているので心地よい。
主な著者は二人。
論理派のテンプルと感情派のショーンである。
二人の自閉症者の視点が入ることで
一冊で二冊分、いやそれ以上の情報量を得ることができてお得である。
タイトルだけ聞くと自閉症の人向けに作られた本だと思ってしまうが、
「普通」の人(本書の表現では「定型発達」の人)が読むと
勝間和代の自己啓発書と同じようなことが書かれていることに驚くだろう。
暗黙のルールがいかに人間関係を支配しているかよくわかる。
●人間関係の暗黙のルール10カ条
(1)ルールは絶対的ではない。状況と人によりけりである。
(2)大きな目でみれば、すべてのことが等しく重要なわけではない。
(3)人は誰でも間違いを犯す。一度の失敗ですべてが台無しになるわけではない。
(4)正直と社交辞令とを使い分ける
(5)礼儀正しさはどんな場面にも通用する
(6)やさしくしてくれる人がみな友人とはかぎらない。
(7)人は、公の場と私的な場とでは違う行動をとる。
(8)何が人の気分を害するかをわきまえる。
(9)「とけ込む」とは、おおよそとけ込んでいるように見えること。
(10)自分の行動には責任をとらなければならない。
――――――恋愛――――――――
●論文:Aron, et al. 2005, Journal of Neurophysiology
(1)初期段階の熱烈な恋愛は、ドーパミンの多い皮質下部の報酬領域と関係がある。
(2)恋愛は、報酬を得る意欲にかかわる脳システムと連動している。