更新:7月23日 12:15モバイル:最新ニュース
前半戦2位 ホークス復活の陰に「iPhone 3G」
7月22日でプロ野球の前半戦が終了。パ・リーグは首位が北海道日本ハムファイターズで、1ゲーム差で福岡ソフトバンクホークスが追う展開だ。今シーズン、ソフトバンクホークスが好調な理由の1つにアップル「iPhone 3G」の存在があるかもしれない。何を隠そう、選手全員がiPhone 3Gを活用しているのだ。(石川温のケータイ業界事情) ■オーナーが発案 選手・コーチ全員に シーズン前、福岡ソフトバンクホークスは、秋山幸二新監督をはじめ選手やコーチ全員にチーム専用アプリを内蔵したiPhone 3Gを配布した。
チーム専用アプリは、選手名を選んだ後、試合日や対戦チームなどから特定の打席を検索すると、そのときの映像が配信されるというものだ。ヒットやホームラン、三振、犠打といった結果の一覧からも映像を探して再生できる。移動時間中でも自分のスイングの癖や相手ピッチャーの特徴などを動画で確認できるようになっている。 実はこのプロジェクト、昨年秋に北京五輪で銀メダルを獲得したフェンシングの太田雄貴選手が「iPod touch」で対戦相手の動画を持ち歩いて研究していたという話を聞きつけた孫正義オーナーの思いつきからスタートしたのだという。 「孫オーナーからは『iPhone 3Gを使って、なにかチームに役に立つものを作れ』というオーダーだった。とにかく選手たちは毎日試合があって移動時間も多い。日常生活だけでなく、仕事である野球を支援できるものを目指していった」(アプリ開発を担当した福岡ソフトバンクホークスの三笠杉彦企画室ディレクター) ■前例なく手探りで開発 通常、選手たちは球場内にある資料室や関係者から手渡されるDVDなどで、打撃フォームや相手ピッチャーの特徴を研究する。しかし、研究するためだけに資料室に出向くというのは効率的ではないし、DVDを再生するためにPCを持ち歩くというのも厄介だ。そこで、iPhone 3Gで気軽に映像を視聴できるアプリが企画された。 「ただ、いきなり選手やコーチに『iPhone 3Gで過去の打席が見られるようになる』と言っても、だれもピンとこないと思った。まずはデモアプリをつくって2月の宮崎キャンプに持っていき、実際に見てもらって意見を集めた」(三笠氏) プロスポーツチームでiPhone 3Gなどのスマートフォンをチームの戦力強化に活用するという試みは世界でもほとんど例がない。まさに世界初となるプロジェクトなだけに、アプリ開発は手探りだったという。「iPhone 3Gで映像分析ができるといってもだれもイメージを想像できない。それだけにニーズをまとめていくのが一苦労だった」(三笠氏) もうひとつ、アプリを開発していくうえで不安だったのが、日々のオペレーションだ。 「年間144試合もあると、毎日のように映像の編集作業をしなくてはならない。選手からは『前日の試合の様子が見たい』という要望が強く、ナイター終了後、翌日の試合前に間に合わせるには練習を始める昼にはデータをアップしないといけない。となると、試合終了後、映像を編集してデータ加工するのが夜中になる。そんなオペレーションをこなせるのかという不安はあった」(三笠氏) すでに前半戦が終了したが、福岡開催のホームゲームではおおむね、そのスケジュールでデータの配信ができているという。 次ページ>>小久保選手に使い心地をインタビュー ● 関連リンク● 記事一覧
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