国土交通省が9日発表した高速道路の新料金制度に対し、一般の利用者からは歓迎の声が聞かれた。一方、フェリーや高速バスの事業者は新制度を「割引の拡大」と受け止め、危機感を募らせている。
熊本インターのETCレーンを通る車=9日午前、熊本市(車のナンバーはぼかしています)
九州自動車道北熊本サービスエリア(SA)に立ち寄った利用者は、一様に歓迎。
SA内の売店に物品納入に訪れた会社経営者の男性(40)=熊本市=は「平日に大阪や広島に車で行くことも多く、コスト削減につながる」。月1回、福岡から鹿児島に里帰りする渕脇光典さん(81)は「片道6千円近くかかっていた料金が往復4千円で済む。ありがたい」と喜んだ。
今回、自動料金収受システム(ETC)の搭載という割引条件はなくなる。鹿児島県の実家に帰省していた有馬孝雄さん(77)・経子さん(75)夫妻=北九州市=はETCを付けていないが、「ETCをめぐって多くの人が振り回されたように感じる」と話した。
燃費のいい車の利用者には「エコカー割引」の恩恵も。社用のハイブリッドカーで休憩していた会社員男性(48)=熊本市=は「一般利用者は大きなメリットを感じるでしょうね」と話した。
しかし、もともと民主党がマニフェストで掲げていたのは無料化。営業の途中、北熊本SAに立ち寄った会社員男性(38)=熊本市=は「無料化はどうなるのか。きちんと説明してほしい」と注文を付けた。
一方、熊本~島原間の高速フェリーで車両運賃の割引実験を3月末から実施している熊本フェリー(熊本市)は「新料金制度で新たな悪影響が出るのではないか」と懸念。
高速バスの路線を持つ九州産交バス(熊本市)は「利用客の減少や、マイカーによる渋滞が平日まで起きれば困る」と心配した。(石貫謹也、小林義人、橋野貴寛)
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