“一生に一度の日本旅行”で…築地市場の外国人「締め出し」賛否の声 (1/2ページ)

2010.4.9 18:59

築地市場を訪れた外国人観光客は次々に“排除”された

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 東京・築地市場が、2回目となる1カ月間の見学中止を開始した。マグロの競り場目当てに訪れる外国人観光客の急増に伴う業務妨害が理由だが、その一方で政府は国内の「観光資源」を生かした年間3000万人の外国人観光客呼び込みに向け奮闘中。高い人気を誇る同市場の外国人締め出しは、明らかにこの動きに逆行している。築地の河岸が進める“攘夷策”は是か非か-。

築地市場の見学、1カ月中止 外国人観光客急増で(4月6日)

 「私たちは今回、初めて日本を訪れた。どこを見学するときもルールは守るし、スタッフの指示にも従う。中を見せてもらえない理由が分からず、到底納得できない」

 見学中止初日の8日早朝、英エディンバラから観光で築地市場を訪れた男性観光客の一団は、今回の見学中止措置を知って、こう不満をぶちまけた。築地市場は現地のガイドブックに「ワールド・ツナ・マーケット」と紹介されており、最も楽しみにしていた観光地のひとつだった。外国人にとって日本旅行は決して安い買い物ではなく、たいていは一生に一度きり。その憤りは十分理解できる。

 一方、市場にとっても今回の措置は苦渋の決断。80人収容がやっとの競り場に500人が詰めかけると仕事にならないからだ。場内でマグロ仲卸専門店を営むベテラン番頭(66)はこう嘆く。

 「狭い通路で記念撮影したり商品に触る、マグロにキスしたり、立ち入り禁止エリアでたばこを吸う。酔っぱらいも多いし、カートを乗り回された店もある。一番困るのは、カメラのフラッシュでセリの値段が見えずに商機を逃すこと。最近は落ち着いてきたけど、忙しい最中に通路が渋滞するのは最悪だね」

 別の関係者によると、迷惑行為は欧米系の若い白人に多いという。中国や韓国、台湾の人たちは富裕層が多いせいか比較的マナーも良く、場外で“大人買い”するなど歓迎されることも多いという。そうした実情を考慮せず、十把一からげに外国人を閉め出すのは、政府がアピールする「おもてなしの心」にも反するのではないか。

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