9日午前9時ごろ、福岡市中央区那の津1丁目、福岡競艇場内の海で、肩から切断された人の両腕が見つかった。福岡県警は、指紋などから、同市西区の能古島で3月に遺体の一部が見つかった会社員諸賀礼子さん(32)と確認した。県警は近く、残る遺体の捜索を再開し、諸賀さんの交友関係を中心に捜査を進める。
県警によると、両腕は肩の部分から鋭利な刃物で切断され、指先まであった。口がしばられた黒いポリ袋に入れられ、一部は外に出ていたという。手に指輪などはなく、切断面以外に切り傷などの外傷はなかった。
発表によると、競艇開催前にボートで付近海面の清掃をしていた従業員が、海中にあるポリ袋を発見。引き上げて、博多臨港署に届け出た。袋は競艇場と外の海を隔てる開閉式の遮へい壁に引っかかっていたという。
同競艇場によると、遮へい壁は8日午後4時半ごろから9日午前8時ごろまで開放。県警は、潮流などの状況から、施設外で遺棄され、博多湾や那珂川河口から競艇場内に流れ着いたとみている。
諸賀さんは3月5日午後7時ごろ、勤務先を出た後に連絡が取れなくなり、同月15日に能古島の海岸で、腰の部分が見つかった。福岡競艇場は能古島から南東に約8キロ。
県警によると、諸賀さんが通勤に使っていたマイカーは、福岡市博多区の自宅マンション近くに駐車され、自宅が荒らされたような形跡もなかった。普段持ち歩いていたバッグや仕事用の携帯電話、車の鍵や財布などは、玄関先に置かれたままだった。県警は、顔見知りによる犯行との見方を強め、捜査している。
=2010/04/10付 西日本新聞朝刊=