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アメリカとイスラエルのための狂騒組曲
「新世界秩序」[第2楽章:1992年]
ケネディ暗殺 73%が陰謀説 米市民の世論調査
【ニューヨーク5日共同】6日発売予定の米誌タイムが掲載した米市民1500人を対象とする世論調査結果によると、1963年11月のケネディ大統領暗殺事件について、回答者の72%が「国民は事件の真相を知らされていない」と述べた。「知らされている」と答えた人は16%にすぎなかった。
また、暗殺犯とされたリー・オズワルドの単独犯行とみる人は11%で、73%は「何らかの陰謀があった」と回答。陰謀関与者を聞いた質問(複数回答)では、米中央情報局(CIA)が50%と最上位で、マフィア(48%)、キューバ政府(34%)、反カストロ勢力(19%)、米軍部(18%)、ダラス市警察(13%)と続いた。
調査はケネディ暗殺のなぞ解きを主題とする映画「JFK」が全米でヒットしているのを機に、同誌がCNNテレビと共同で昨年12月実施した。(中日新聞 1992/01/06)パトリオットは役立たず 米物理学者ら証言 湾岸戦争から1年 米で性能論戦開戦
湾岸戦争で米軍のパトリオット・ミサイルは、イラク軍のスカッド・ミサイルを撃墜して、一躍、名をあげた。17日の湾岸戦争開戦1周年にタイミングを合わせたかのように、米国ではパトリオット・ミサイルの性能をめぐって「実はスカッド迎撃には全面的に失敗した」「いや十分に役目を果たした」と論争が起きている。
湾岸戦争では現地での生々しい戦闘の様子がテレビで世界に中継された。米軍のパトリオット・ミサイルがイラク軍のスカッド・ミサイルを撃墜する瞬間もテレビで映し出された。
イラク軍はスカッドをサウジアラビアとイスラエルへ向けて発射した。湾岸戦争ではイラク軍が効果的に用いた唯一の武器だった。
サダム・フセイン・イラク大統領は去る6日のイラク陸軍記念日にイラク国営テレビで演説を行い、「わが国のミサイルは、のろわれたイスラエルを攻撃し、いたるところでアラブ人を解放した」と述べ、湾岸戦争におけるスカッドの威力を自慢した。
パトリオットはこのスカッドの攻撃を食い止めたとされているが、それは見せかけの成功にすぎない、というのがパトリオット批判派の言い分だ。
論争の火付け役は、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のセオドール・ポストル教授(国家安全保障政策論)。同教授は国防総省でアドバイザーを務めたこともある物理学者。
昨年4月、ポストル教授は米ハーバード大学のアルバート・カーネセール教授とともに、米議会公聴会で、パトリオットの性能を批判する証言を行ったが、最近、ハーバード大学科学・国際間題センターの学術誌「国際安全保障」に詳細な論文を寄せて、その中で「パトリオットが成功したという話は幻想にすぎない」と主張している。
米陸軍のパトリオットはイラク軍のソ連製スカッドと同様に戦術弾道ミサイル(TBM)に分類され、長さは5.18メートル、直径は0.41メートル、射程は160キロ。
パトリオツトの迎撃システムは、まず地上レーダーがスカッドを識別して管制ステーションに情報を送り、それに基づいてミサイルが発射される。地上レーダーはスカッドの飛行ルートを予測して、パトリオット先端部のレーダーに信号を送ってスカッドに向かわせる。
ポストル教授はこう言う。
「スカッドの設計はあまりにもお粗末のため、目標に接近した際、厚い大気の中でミサイル本体がバラバラになってしまい、迎撃が困難となる」
その結果、パトリオットが迎撃に成功した相手はスカッドの破片にすぎず、肝心のスカッドの弾頭部分は無傷のまま、目標へ突っ込んでいくケースが多かったという。
同教授は「パトリオットがスカッドの破片に命中したのを本体を撃墜と錯覚するのは、炎とさく裂音に惑わされるためで、ビデオを詳しく調べると、そうでないことが分かる」と述ペている。
さらに「パトリオットをスカッドヘ向けて発射した場合、地上における損害は、パトリオットを発射しなかった場合より大きくなったと思われる」と同教授は述ペ、「パトリオットはスカッド迎撃にはほとんど全面的に失敗」と決めつけている。
パトリオットは湾岸戦では150発がイラク軍のスカッドとその改良型ミサイルのアル・フセインヘ向けて発射された。
これに対してパトリオットの主要メーカー、レイセオン社(マサチューセッツ州レキシントン)は「パトリオットはサウジでは90%近くの成功率をあげ、イスラエルでは50%の成功率を記録した。イスラエルでの成功率が低かったのは、要員の訓練が十分ではなかったからだ」と反論した。
同社の広報担当副社長、ロバート・スケリー氏が発表した声明は「事実は単純明快である。パトリオットは十分に役目を果たした」と述ペ、「ポストル教授はかねてから迎撃ミサイルは役に立たないと主張しており、今回もそうした自説を展開しただけである」としている。
パトリオットは湾岸戦争をきっかけに、各国から注文が殺到しているといわれる。それだけにレイセオン社としては、パトリオットヘの批判を無視できない。国防総省は同社を応援する立場にあるが、まだポストル教授の主張に本格的な反論は試みていない。(中日新聞 1992/01/17)旧ソ連で放射能飛散実験 住居地域も大気汚染 核戦争想定 データ収集も
旧ソ連カザフ共和国のセミパラチンスク核実験場(現在は閉鎖)で1954年から62年にかけ、毒性が激しいプルトニウムを化学物質の爆発で大気中に飛散させる実験をし、一部地域では放射線のレベルが許容範囲を大幅に超えていた、との同実験場元幹部の書簡を10日までに共同通信が入手した。旧ソ連での核実験は、最近の現地の報道では714回とされているが、核爆発以外での手段で大規模な放射性物質を放出する実験をしていたことが明らかになったのは初めて。
書簡はまた「核戦争の際、部隊は呼吸器を保護する必要があるかどうかが69年に討議された」としており、旧ソ連が核戦争を想定してデータを収集していたことをうかがわせる内容となっている。
書簡は同核実験場放射性汚染研究課課長だったセルゲイ・トゥラニン退役陸軍大佐が、89年5月にカザフ共産党セミパラチンスク州委員会や核戦争防止国際医師会議(IPPNW)カザフ支部長のサイム・バルムハノフ博士にあてた3通で、同博士が公開した。
書簡によると、同核実験場ではプルトニウム239を化学物質の爆発により大気中に放出。最長200キロの範囲で空気の汚染調査をしていた。
実験は特に59、60年に集中、63年には大気中の放射能汚染が住民の住む一部地域で許容範囲を超えたため、準備されていた実験が連邦政府レベルの判断で中止されたという。
実験による汚染の程度は2通目の書簡では「許容範囲の1000倍」、3通目では「記憶違いで、許容限度を2、3倍超えただけだった」と内容に食い違いがあるが、博士あてには「3通目の文書は多大な精神的圧力を受けて署名させられた」との手書きの追伸が付されていた。
3通の書簡は、旧ソ連政府が同核実験場の放射能汚染の調査委員会を発足させた89年に書かれた。トゥラニン氏は文中でプルトニウムと核爆発の死の灰による被ばくを考慮するよう訴えているが、同委員会の報告書は、この実験には言及していない。放射能爆弾の実験か
高木仁三郎・原子力資料情報室世話人の話 理論的には以前考えられていた「放射能爆弾」の実験ではないか。英国がオーストラリアで同様の実験をしているが、旧ソ連の話は初めて聞いた。現在は兵器としてあまり効率的でないとされているが、「放射能をばらまく」という発想自体が非人道的でおぞましい。プルトニウム239
ウラン238が中性子1つを吸収してできる超ウラン元素。原子力発電所の核燃料再処理の過程などで抽出され、高速増殖炉の燃料として利用が進められている。しかし、原子爆弾の原料になるほか、毒性が極めて強いため、輸送や管理が問題となっている。(中日新聞 1992/02/11)クウェート避難民の取材 米大手広告会社が演出 湾岸戦争
【ニューヨーク19日共同】米週刊誌TVガイド最新号(2月22日号)は「偽のニュース」という特集を組み、湾岸戦争でクウェート側が流した映像情報には、米国の大手広告代理店ヒル・アンド・ノールトンが深く関与していた、と伝えた。
それによると、同社の「工作員」がサウジアラビアを自由に移動し、クウェート避難民の中から生々しい体験談を持った人たちを選別、移動させ、報道各社が取材できるように手配。記者たちは、それを送信せざるを得なかったという。
同社は当時、副大統領時代のブッシュ氏を演出していたクレーグ・フラー氏が率いていた。
また、駐米クウェート大使の娘が「難民少女」を装い、米議会公聴会でイラクの蛮行をでっち上げた問題でも、この代理店が事前にリハーサルを行い、演出効果を高めていたという。(毎日新聞 1992/02/21)クウェート侵攻の9カ月前 イラクに10億ドル援助 ブッシュ大統領署名 米紙報道
【ロサンゼルス23日=杉本宏】23日付の米紙ロサンゼルス・タイムズは、ブッシュ米大統領が1989年秋、イラクとの関係強化を目的に10億ドル相当の援助をイラクに供与する方針を盛り込んだ国家安全保障会議(NSC)の秘密文書に署名していた、と報じた。イラクによるクウェート侵攻9カ月前で、援助は結果的にイラクの軍備増強を側面支援することになったと指摘している。
同紙が入手した同会議の内部メモなどによると、援助は米農産品購入に伴う信用供与で、政権内部の「イラクの軍備増強につながる」との反対論にもかかわらず、イランとの軍事バランス維持のためなどの観点から正当化された。
さらに同会議や国務省は、クウェート侵攻1カ月前の90年7月になっても、10億ドルのうち残っていた5億ドル分の援助供与を検討していた、と指摘している。
また、同紙は同会議の内部議事録を引用、プッシュ大統領の側近が90年春ごろまでに、イラクが核兵器開発を進めているとの情報をつかんでいたにもかかわらず、「イラクが汎用(はんよう)技術を購入できるようにすべきだ」などと主張。会議で「大統領は特にイラクだけを軍事大国として警戒することを望んでいない」などと述ペたことを暴露している。
プッシュ大統領のイラクヘの「肩入れ」は、レーガン政権以来の方針で、88年のイラン・イラク戦争終結後も継続していた、と分析している。(朝日新聞 1992/02/24)クウェート侵攻9カ月前、イラクに10億ドル信用供与 米紙報道
【ロサンゼルス23日共同】23日付の米紙ロサンゼルス・タイムズは、同紙が人手した極秘資料を基にブッシュ政権がイラクに対し、クウェート侵攻の約9カ月前、10億ドル(約1280億円)の信用供与を決め、結果的にイラクの軍備強化を侵攻直前まで容認していた、と報じた。イラン・イラク戦争当時から、米国は反イランの立場からイラク側を支援してきたことは知られているが、今回明るみに出た資料はクウェート侵攻の危機が高まる中、ブッシュ政権が内部の反対を押し切ってイラク支援を続けていた経緯を浮き彫りにしており大統領選の行方に影響する可能性も。
同紙によると、1988年8月のイラン・イラク戦争の終結後も、レーガン、ブッシュ両政権はフセイン大統領支援を継続。89年10月初めには、ブッシュ大統領が「(イラクなど)湾岸主要友好国との関係は米国の安全保障上、極めて重要である」として、極秘の国家安全保障指令に署名、イラクとの政治・経済関係強化を指示した。
この指示に基づき、同年10月31日、ベーカー国務長官はヤイター農務長官に電話し、新規に10億ドルの信用保証を与え、イラクが米国から農産物を輸入できるようにしてほしいと要請した。財務省などは武器購入に使用されると反対したが、11月8日、大統領指示を受け入れた。
同紙によると、90年初めに5億ドル分が消化されたが、イラクがこれを核兵器や弾道ミサイルに関する技術取得に使った証拠があるという。イラクのクウェート侵攻直前の7月には国家安全保障会議(NSC)と国務省は残りの5億ドル引き渡しを急ぎ、グラスピー駐イラク大使は同月9日、イラク高官に対し、ブッシュ政権は5億ドルを渡すペく努力中である、と伝えていたという。
極秘文書類は、82年以来、ブッシュ大統領(当時は副大統領)と側近が国内の反対論を押しのけて、イラクに肩入れしてきた経過を詳述しているが、ホワイトハウスはコメントを拒否している。同紙は、ブッシュ大統領の一貫したイラク支持の動機は不明だが、フセイン大統領の拡張主義者としての面を見落としていたと指摘している。(中日新聞 1992/02/24)イラク戦死者推計し解雇 米商務省の人口専門官 米紙報道
【ワシントン6日=共同】6日付の米紙ワシントン・ポストによると、湾岸戦争でのイラク兵と民間人の戦死者数を推計していた米商務省統計局の人口専門家ベス・ダポンテさん(29)が4日、「誤った情報に基づいて調査をまとめた」との理由で解雇通告を受けた。これについて民主党議員が調査を開始するなど、問題が広がる気配もある。
イラクの戦死者数の推計はブッシュ政権にとってはタブー。国防総省は戦死者数の調査を実施しなかったことを理由に、大まかな推定数の公表すら拒否し続けている。
統計局の国際人口調査部でイラクの人口調査を担当するダポンテさんにとって、戦死者数の推計は1992年版世界人口統計をまとめるうえで不可欠だった。
ダポンテさんは戦争での死傷者の推計方式に関する文献などを基に、総計で15万8000人が戦争で死亡したとの報告をまとめた。内訳は多国籍軍の攻撃による将兵の死者が4万人、民間人が1万3000人。終戦直後の国内反乱や衛生状況の悪化による死者が10万5000人。
ポスト紙によると、この推計がAP通信によって1月に報道された直後に統計局は調査を開始、ダポンテさんの作業関連資料を没収したうえ、職務遂行上の不行き届きを理由に解雇を通告したという。
ダポンテさんは解雇理由を不満として弁護士に助言を求めている。(朝日新聞 1992/03/07)ケネディ暗殺に新疑惑 「解剖写真は偽物」 撮影の医療技師証言
【ワシントン28日竹内正昭】ケネディ大統領暗殺事件が起きた1963年11月22日夜、ワシントン近郊のベセスダ海軍病院で大統領の遺体の写真撮影などを手掛けた2人の医療技師は28日、記者会見し「米政府が最近、提出した大統領の解剖写真は偽物で、別のものに取り換えられている」と証言した。
その1人、カスター氏によると、政府提出の大統領の頭部エックス線写真には、顔の右の部分に銃撃による破損を示す黒い穴が写っているが、撮影時には大統領の顔に損傷はなく、前頭部にも頭がい骨の破損は見られなかった。
また、解剖の間、遺体の写真を撮ったリーベ氏も「これは自分が撮影した写真ではない」と断言。さらに「私がカメラからフィルムを抜き取ると、解剖室にいた大統領護衛官が直ちにこれを取り上げた。写真に手が加えられたのは間違いない」と語った。
カスター氏は解剖が終わった後、べセスダ海軍病院のある高官の部屋に呼ばれ「君がきょうしたこと、聞いたことを口外すると、刑務所に入ることになる」と警告を受けたという。
米国では、大統領の暗殺は大掛かりな陰謀によるものとする映画「JFK」上映を発端に、国民の間で論議が再燃。米国医師会(AMA)雑誌のルンドバーグ編集長はこのほど、ダラスの病院で大統領の蘇生(そせい)作業に当たった医師や解剖した病理医の証言から「大統領の死は1人の狙撃者が発射した2発の弾丸による」として、陰謀説に否定的な見解を発表した。
しかし、新たな主張が出てきたことで、ナゾの多いケネディ暗殺にまた、疑惑が加わった形だ。(中日新聞 1992/05/29)イラク懐柔策明るみ クウェート侵攻前 米政権、外交も失点
【ワシントン1日大沢雄三】ひところブッシュ米大統領人気を異常に押し上げた「湾岸」は、いまや“鬼門”になろうとしている。最近の米議会で湾岸危機直前のブッシュ政権の対イラク懐柔政策をあからさまに示すホワイトハウスの内部文書が暴露されたからだ。内政だけでなく、お得意の外交政策でも「第一級の失策」(民主党ゲジェンセン下院議員)と厳しい指弾を浴びており、2日のカリフォルニア州などの大統領予備選を前に弱り目にたたり目の気配が一段と深まっている。
この文書はイラク侵攻のちょうど10カ月前に当たる89年10月2日付の米大統領指令。ニューヨーク・タイムズが最近報じ、29日の下院銀行委員会の公聴会で公表された。
ブッシュ大統領は「指令」で「米・イラクの正常な関係(維持)は米国の長期的な国益に合致する」として、経済・政治上の助成策を進めるべきだと表明。非殺りく兵器の一部売却など軍事援助の検討、対イラン戦争で荒廃したイラク経済の復興への米国企業の積極支援の奨励なども指示している。
同時に指令ではイラクが化学・生物兵器を使用したり核兵器開発を行ったりすることには制裁するとの姿勢を示してはいるが、ベーカー国務長官はこの指令直後のアジズ・イラク外相(当時)との会談ではそうした警告はしていない。逆に、イラクが88年自国内のクルド人に行った化学兵器使用に対する制裁発動に反対する、と述べたとさえいわれる。
こうしたブッシュ外交非難に対してブッシュ政権側は、対イラク外交に失敗があったことは認めながら、湾岸での米国の国益を守るうえで、イランの勢力伸長を抑えるためにも、イラクへのある程度の懐柔策は当時はやむを得なかった、と苦しい防戦をしている。(中日新聞 1992/06/01)クウェートから秘密資金 元駐バーレーン米国大使ら起訴
湾岸戦争前 米へ対イラク参戦促す
【ニューヨーク7日田島力】一昨年夏の湾岸危機に際し、クウェート政府から秘密資金を受け取り、米国が対イラク強硬手段を取るように無届けでロビー活動を行っていた――として、米連邦大陪審は、元バーレーン大使ら3人を外国代理業違反と脱税などで、コロラド州デンバー連邦地裁に起訴していたことが7日、明らかになった。起訴されたのは、元バーレーン大使のサム・ザーカム被告、元雑誌社経営ウィリアム・ケネディー被告、元同雑誌編集者のスコット・スタンレー被告。
起訴状によると、ザーカム被告らは、1990年8月から翌年6月までの間、クウェート政府から770万ドル(約9億6000万円)の資金を受領。外国政府の代理人を務める場合の届け出を定めている外国代理業法に違反し、ワシントンの議会関係者や国務省職員に対し、米国がイラクに軍事的強硬手段を取るように無届けでロビー活動を行った。さらに570万ドルを着服、所得申告しなかった。
3人はこれらの資金を使って、湾岸戦争中にブッシュ大統領の戦争政策を支持する「危機に際してのアメリカ連合(COFAR)」と「自由の機動部隊(FTF)」という2つの民間戦争協力団体を組織、クウェートの実力解放を積極キャンペーンしていた。(中日新聞 1992/07/08)米軍、湾岸危機前にイラク兵訓練を計画
【ワシントン4日=時事】4日付の米紙ワシントン・ポストは、国防総省と統合参謀本部が1990年8月のイラクのクウェート侵攻のわずか3カ月前に、米軍によるイラク兵の訓練などイラク軍との協力強化計画を立てていたと報じた。
国防総省の内部文書から明らかになったもので、計画では、地雷処理や空中偵察などの面でイラク兵に訓練を施すほか、両国の軍大学への相互留学などの交流を行うことになっていた。(朝日新聞 1992/08/05)対イスラエル 米、攻撃ヘリを供与 装備の事前集積も計画
【ワシントン27日=定森大治】米ホワイトハウスは26日の声明で、米・イスラエル間の軍事協力の強化のため、アパッチなどの攻撃ヘリを供与すると発表した。また、有事に備えて、新鋭の米軍装備をイスラエルに事前集積する計画も明らかにした。両国首脳の合意に基づく措置で、「中東でのイスラエル戦力の質的優位を維持する」のが目的だ。
約7億ドルにのぼる米軍装備の移転は、米議会が承認ずみで、数週間以内にも開始される。
ブッシュ米大統領は先に、イスラエルが懸念を表明していた、F15戦闘機72機の対サウジアラビア売却を決定しており、今回の措置はアラブ・イスラエル間の軍事バランスに配慮したものであると同時に、中東和平交渉で米国との協調を打ち出したラビン・イスラエル政権への支援を印象づけるためとみられる。
声明は、供与する攻撃ヘリ数などの詳細は明らかにしていない。新鋭装備に関しては、空対空ミサイルや地対空ミサイル、パトリオットなどが含まれるもようだ。また事前集積機能の強化は、米国がこれまで避けてきた米軍部隊のイスラエル駐留にもつながるため、周辺アラブ諸国に微妙な波紋を投げかけそうだ。(朝日新聞 1992/09/28)ケネディ大統領暗殺 秘密資料を全面公開へ
【ワシントン30日共同】米下院本会議は30日、1963年11月に起きたケネディ大統領暗殺事件に関する膨大な秘密資料を原則として全面公開するよう求める上下両院合同決議案を発声投票で可決し、ホワイトハウスに送付した。
ブッシュ大統領は決議案に署名する見通しで、米現代史のなぞの本格的解明に道が開かれる。
昨年12月に封切られた米映画「JFK」が、暗殺事件を官民の極右グループの仕組んだ政治謀略として描き、爆発的人気を呼んだため、米国民の政治不信の解消を図る意味でも資料を公開すべきだとの声が高まり、超党派で決議案が提出されていた。
上下両院で最後まで意見の分かれた資料公開審査委員会のメンバー選定方式については、ホワイトハウスの意向を受け入れて、大統領による指名となった。審査を経て、連邦捜査局(FBI)や中央情報局(CIA)などに保管されている100万ページ近い秘密資料が米国立公文書館で順次一般公開されることになる。
下院暗殺特別委員会が1979年にマフィアが暗殺に関与した疑いがあるとの報告書をまとめた際、議会は50年後の2029年まで関係資料を機密扱いとする決定をしていた。(中日新聞 1992/10/01)米の対イラク不正融資事件 CIA、検察に情報伝えず
【ワシントン14日=坂口智】イタリア政府系銀行のアトランタ支店が1980年代に、米政府の保証付き融資を含む数十億ドルをイラクに不正融資した事件で、米中央情報局(CIA)が、検察当局に重要情報を伝えなかったことが判明し、事件は司法省、連邦捜査局(FBI)も巻き込んだ複雑な展開となってきた。大統領選でクリントン陣営がブッシュ大統領攻撃の材料にしているこの事件で、また疑惑が生じたことは、苦戦するブッシュ氏に新たな頭痛の種を与えそうだ。
連邦検察当局は、これまで、不正融資は支店の独断で行われたとの見方をとり、起訴された当時の支店長も、司法取引で有罪を認めた。だが、CIAは、イタリアの本店が不正融資を知っていたことを示唆する機密情報を持っていたのに、検察当局に提出した書簡では「公開情報しか持っていない」と伝えていたことが判明。今月1日、連邦判事は司法取引の取り下げを認め、正式審理が行われることが決まった。
CIAは、当初「善意のミス」としていたが、その後行われた上院情報特別委員会の非公開聴聞で、「司法省の要請により、情報を抑えた」と説明したと報道されたことから、これを否定する司法省と責任のなすりあいになった。
これを受けて、バー司法長官は10日、司法省傘下の機関であるFBIにこの件の調査を依頼。ところが今度は、独立して調査を行うと主張するFBIと、「FBIは司法省の調査を補助するだけ」と主張する司法省が対立する羽目に。
しかも12日には、ABCテレビが、司法省がFBIのセッションズ長官を倫理綱領違反で調査中と報道した。同長官には、税金を回避しようとしたなどの疑いがあると伝えられる。(朝日新聞 1992/10/16)米の武器輸出 第3世界向け激増 冷戦終結が拍車
冷戦が終結しブッシュ米大統領が対外武器売却を抑えることを約束しても、米国は依然として世界最大の武器輸出国になっている。米議会調査局によると、第3世界への米国の武器輸出は1986年の40億ドルから昨年は140億ドルに増え、米国の第3世界への輸出額は全世界の半分以上になった。国防総省の契約者たちは、このほどワシントンで開いた会合の席で米政府当局者に対し輸出規制緩和を要請、将来さらに武器売却を拡大することを狙っている。この会合に出席した国務省のガルッチ国務次官補は「米国の国防産業が以前からの市場を確保し、同時に新しい市場を開拓するために、外国の軍事産業と自由に競争できる基盤がほしいというのは理解できる」と述べた。また「それによってもたらされる経済的繁栄は全国的な利益につながるだろう」と語り、業界の考えに理解を示した。
国防総省は、今年は世界190カ国のうち154カ国に対し、327億ドル相当の武器・軍事援助を供与する計画である。この中には、つい最近まで敵対国だったアルバニア、ブルガリア、チェコスロバキア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ロシアが含まれている。
最近、ブッシュ政権は選挙運動の一環としてサウジアラビア、台湾への戦闘機をはじめ、クウェートへの戦車売却などの輸出を鳴り物入りで発表した。軍事専門家は、米国の武器輸出のシェアは数年後には倍増し、米国の武器生産額の3分の1を占めるようになろうと予測している。
長い景気停滞の中で失業者の増加を心配している政府は、武器メーカーの輸出振興を助けている。武器輸出監視を担当する国務省の部局は以前は「軍需品管理局」と呼ばれていたが、それが「国防貿易センター」と名を変えている。
議会の技術調整局によると、売却価格に課している3%の税金で同部局の予算の80%を賄っていることもあって、これが売却推進の「強力な刺激剤」になっている。
湾岸戦争が終結してから1年半の間に、米国は中東諸国が発注した武器450億ドルのうちの約半分を売却した。ウィスナー米国務次官(国際安全保障問題担当)は最近の議会の聴聞会で「責任ある国の合法的な防衛と、われわれの軍縮の目標とは矛盾しない」と証言しているが、ジェフォーズ上院議員(共和、バーモント州)は「そうした基準では、際限なく輸出が続くことになる」と批判している。
湾岸戦争後、米、英、中国、フランスおよびロシアの各国は、全体の85%を占める中東地域への武器輸出を制限する方策について協議した。しかし、中国とロシアが米国の売却を主たる理由に反論、話し合いは進展していない。(ワシントン、KRT特約)(中日新聞 1992/10/24)「パルメ首相暗殺、CIAが依頼」 元雇い兵証言 スウェーデンTVが報道
【ストックホルム5日AP】スウェーデン国営テレビは1986年に米中央情報局(CIA)から、200万ドル(当時のレートで約4億円)の報酬と引き換えにパルメ首相の暗殺を持ち掛けられたとする男の証言を報じた。
男は、申し出を断り警察に通報したが警察は動かなかったと述べている。パルメ首相は同年2月末、ストックホルム市内で何者かに射殺され、事件は迷宮入りとなっている。
この男はスウェーデンに住むユーゴスラビア生まれの元雇い兵で射撃の名手というイワン・フォン・ビルヒャン。70年代にアフリカで知り合ったチャールズ・モーガンというCIA要員を名乗る男から暗殺を依頼されたという。
国営テレビは暗殺の理由として、反米姿勢を強めていたパルメ首相が当時、国連事務総長に選出される可能性があり、選出された場合、米国は国益に反することになると懸念したためと伝えている。(中日新聞 1992/11/07)マッハ8の米軍機、その名は「オーロラ」 全世界を極秘飛行中とか
【ロンドン4日=時事】米軍がマッハ8という極超音速(マッハ5以上)の偵察機をひそかに飛行させていることが、英軍事専門誌ジェーン・ディフェンス・ウイークリーの調査で明らかになった。
4日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(欧州版)が9日発行の同誌の記事を事前入手して報じた。この航空機は1985年ごろから全世界で偵察活動を続けているという。
同機はこれまで最高速だったSR71偵察機(マッハ3.3)の後継機。84年の米国防予算書に「オーロラ」の名称で説明抜きで登場した。1機が約10億ドル(約1250億円)で、燃料は液化メタンを使用しているもよう。初飛行は85年ごろとされ、米カリフォルニア州南部でここ数年問題になってきた地震のようなごう音が頻繁に起きるナゾも、実は同機の飛行が原因だったという。
また、89年8月に北海上空で、これまで知られていないV字形の航空機がF111爆撃機やKC135空中給油機と編隊を組んで飛行しているのが確認されて以来、その“正体”をめぐって、さまざまな憶測が出ていた。
90年初めにSR71機が退役した際、米軍は同機の任務だった高度3万メートル以上からの偵察は今後人工衛星に頼ると説明した。しかし、これは新偵察機の存在を隠す“煙幕”だったということになる。(朝日新聞 1992/12/05)
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