2010年4月9日 21時23分 更新:4月9日 23時15分
厚生労働省は9日、生活保護水準未満の収入や資産で暮らす世帯のうち、保護を受けている割合の調査結果を公表した。総務省の統計に基づく推計では68.4%で、受給できる可能性のある低所得世帯のうち約3割が保護を受けていないとみられることが判明。厚労省の統計に基づく推計では32.1%だった。「最後の安全網」で救済されていない低所得者が多数いる可能性があることが公的な調査で初めて示された。
調査は、総務省の全国消費実態調査(04年、対象約5万5000世帯)と、厚労省の国民生活基礎調査(07年、同約23万世帯)に基づき推計。収入から税や保険料を差し引いた所得が、生活保護で給付する「最低生活費」を下回る世帯の割合などを算出した。
消費実態調査に基づく推計は、国内の全世帯を約4674万世帯と仮定して実施。最低生活費(生活費、教育費、住宅費の合計)を下回る費用で暮らし、資産もない(貯金が最低生活費1カ月分未満で住宅ローンもなし)のに保護を受けていない家庭は約45万世帯。保護を受けているのは約97万世帯で、保護を受けている割合は68.4%だった。
国民生活基礎調査に基づく推計は、国内の全世帯を4802万世帯と仮定して実施。この調査は住宅費を調べていないため、これを最低生活費に含めず計算した。生活費が最低生活費未満で、貯金を保有しない家庭は約229万世帯。保護を受けている家庭は約108万世帯で、受給している率は32.1%だった。住宅ローンのある世帯が除外されていないため、総務省調査より割合が低くなった。
厚労省は調査結果を、貧困対策の柱として国が保障する最低限度の生活水準(ナショナルミニマム)を検討する際の資料とする。【野倉恵、東海林智】