叢書 京都の史料11 「淀渡辺家所蔵 朝鮮通信使関係文書」
歴史資料館では,今年2月に,「叢書 京都の史料」第11回配本として『淀渡辺家所蔵 朝鮮通信使関係文書』刊行を記念して,淀藩の接待役を務めた(わたなべぜんえもん)の書き残した関係資料を「朝鮮通信使と淀-90年ぶりに公開された絵図-」として展示しています。
渡辺善右衛門は非常に筆まめな人で,徳川幕府の要請で朝鮮国王が派遣した修好使節団である朝鮮通信使が,延享5(1848)年に,大坂から淀川をさかのぼり,淀で上陸して京都を経て陸路江戸へ向う中で,目撃したこと,人から聞いたうわさばなしなどを文章や絵に書き留めています。
本史料は200年以上に亘って渡辺家が大切に保存され,歴史資料館に寄託していただいた貴重な文書や絵図等からなっています。
1 会期 平成22年3月12日[金曜]から5月16日[日曜]まで 9:00-17:00 月曜・祝日 休館
2 会場 京都市歴史資料館 1階 資料展示室
3 内容 10点
朝鮮人来聘記(ちょうせんじんらいへいき) 3冊
宗対馬守行列図(そうつしまのかみぎょうれつず) 1巻
韓人戯馬図(かんじんぎばず) 1巻
通信使淀城下到着図(つうしんしよどじょうかとうちゃくず) 1幅
朝鮮人御饗応御献立(ちょうせんじんごきょうおうごこんだて) 1冊
入来琉球記(じゅらいりゅうきゅうのき) 1冊
象要集(ぞうようしゅう) 2冊
淀古今真佐子(よどここんまさご) 1冊
淀城天守図(よどじょうてんしゅのず) 1枚
淀水車図(よどすいしゃのず) 1枚
4 料金 入場無料
5 解説 4月22日[木曜]・5月13日[木曜] 14:00から30分程度 無料,申込不要
「韓人戯馬図」 写本1巻 紙本淡彩(28×377㎝)
通信使は江戸城で将軍臨席のもと,曲馬(馬上才)を行うことが慣例となっていました。この1巻は延享5年(1848)6月3日に行われた馬上才を描いたものです。
本点(馬上立)を含む7種の曲馬(左右七歩・馬上倒立・馬上仰臥・鎧裏蔵身・馬上倒施・双騎馬)を描いた図巻です。
歴史資料館で是非とも本物を御覧ください。
「通信使淀城下到着図」 著者自筆写本1幅 紙本著色(138×138㎝)
この自筆本は長らく所在不明で,各種展示や書籍には京都大学文学研究科図書館に所蔵される謄写本が使われていました。ところが2004年に京都大学関係者の尽力で発見されて渡辺家に戻り,現在は歴史資料館に寄託されています。
本来の姿は古地図によく見られる畳物の形状でしたが,再発見された時には掛幅に改装されていました。そのため,紙端が切断され文字の一部も欠けています。
本図は,淀城天守閣を中心に城下を描き,そこに大坂から華麗な船で通信使の一行が到着し,上陸して接待を受けている様子が示されています。上陸地には数多くの提灯が建てられ,幔幕を掛けた各種の接待所がしつらえられています。接待の要員や見物人は淀小橋を中心に記されています。大変小さくて恐縮です。是非とも歴史資料館で現物を御覧ください。