前原誠司国土交通相は9日、高速道路の新しい料金制度を発表した。車種別に一定距離を超えると料金が上がらない上限料金制を導入するのが柱。上限料金は曜日や時間帯に関係なく普通車が2000円、軽自動車が1000円などとなる。「休日上限1000円」をはじめとした現行割引制度は一部を除いて原則廃止となるため、休日利用を中心に実質的には値上げとなる利用者が多いとみられる。
新料金制度の導入は「多額の国費が必要な現行割引制度を続けるのは困難」との判断がある。しかし、民主党が先の衆院選マニフェスト(政権公約)で打ち出した高速道路の無料化が当面は一部にとどまる「代替策」の色彩も濃い。
現行割引制度の原則廃止に伴い、割引に備えて用意した財源の一部を高速道路整備に「流用」する。国交省は1.1兆円と見積もっており、その分、高速道路利用者の料金負担が増すことになる。
上限制は各高速道路会社の有料区間で6月から導入。最低料金は区間によって異なる。自動料金収受システム(ETC)を搭載していない車も対象にする。ETC搭載車を対象にした「休日1000円」や時間帯ごとの割引は廃止する。
新制度は平日に長距離を利用する利用者に割安感がでる半面、休日に遠出する利用者にとっては値上げとなるケースが増える見通し。激変緩和策として、2010年度に限り、夜間と通勤時間帯は3割引きとする。
環境問題への対策として「エコカー割引」を新設する。ハイブリッド車などエコカー減税対象車のうち軽自動車と同程度の燃費の普通車については事前に登録しておけば軽自動車扱いとする。ただ、事前登録の仕組みが間に合わないため、6月からの実施は見送る。
本州四国連絡橋は競合するフェリーなどに配慮し、他の高速よりも割高な料金とした。
首都高速と阪神高速は新しい上限料金の対象外。現行の定額料金を改め、上限付きの距離別料金制度を導入する。ETC搭載車ではない現金利用者は入り口で上限料金を徴収する。一般的に短距離の利用者は割安に、長距離の利用者が割高になる。両高速の料金変更には地方議会の議決が必要なため、年末以降の実施とする。
国交省は新制度の利用状況などを見極めた上で、37路線50区間の無料化とともに2011年度以降、必要に応じて制度を見直す方針だ。
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