ショートトラック:騒動絶えず、派閥争いや暴力も

トリノ五輪前後には、韓体大と非韓体大の派閥争い

女子選手への殴打も問題に

 韓国ショートトラック界は騒動が絶えない。今回明るみとなった代表選抜戦での「闇取引」以前にも、2006年トリノ冬季五輪の前後には「学閥」騒動が浮上した。代表チームの選手とコーチ陣が、いわゆる「韓体大(韓国体育大学)派」と「非韓体大派」に分裂し、火花を散らすという事態が起きたのだ。当時、韓体大に所属していた男子代表のエース安賢洙(アン・ヒョンス)は、五輪前まで、同大学を卒業したコーチが指導する女子チームと練習を行っていた。韓体大出身ではない男子代表のコーチ、選手らからけん制されていると感じたからだ。

 一方、女子チームのビョン・チョンサとチン・ソンユは、檀国大を卒業し慶熙大で指導する男子チームのコーチの下で練習していた。

 これまでも、代表チーム指導者の「カラー」をめぐる問題は深刻だった。05年には、安賢洙を除く男子選手たちが、コーチ選任に関して不満を抱き、 泰陵選手村(ソウル市蘆原区)への入村を拒否した。問題のコーチが、過去に代表チームで特定の選手をひいきする指導を行ったため、不信感を抱いているというのが理由だった。

 04年には女子選手がコーチ陣の殴打に反発し、選手村を離れるという事態も起きた。だが、こうした騒動が起きるたびに大韓スケート連盟は、指導者を変えるなど、その場しのぎの対応で済ませてきた。

 韓国ショートトラック代表は、トリノ冬季五輪で安賢洙とチン・ソンユが3冠を達成するなど、金6、銀3、銅1という過去最高の成績を挙げ、「決定的な場面ではチームプレーを発揮した」と自賛した。だが、その直後に行われた世界選手権大会の男子3000メートルでは、安賢洙が李昊錫(イ・ホソク)を追い越そうとして失格になるという「事件」が発生し、再び「派閥」騒動が持ち上がった。 安賢洙の父・アン・ギウォン氏は、空港で代表選手らの帰国を待ちながら、「男子チームのコーチと選手たちが裏で手を組んで息子を妨害した」と主張した。

 一連の騒動で世論の批判を受けたスケート連盟は08年初め、「ショートトラック界の和合と発展のために」との名目で、チョン・ミョンギュ韓体大教授を専務(現・企画副会長)に、ユ・テウク元ショートトラック担当副会長を連盟副会長に、同時に任命した。「第一世代指導者」として韓国ショートトラック界を二分してきた二人が共に連盟執行部に入ったことで、長年の傷が癒えるかと思われたが、バンクーバー五輪直後にまたもや「事件」が起きてしまった。

 チョン・ミョンギュ氏は8日、「最近は派閥なんてあるのか。バンクーバー五輪に出場した選手のうち、韓体大出身は一人もいない」と語った。だが、韓国のショートトラックは世界最高の実力を誇り、国際大会の成績次第では年金や兵役特例などの恩恵が少なくない。そのため摩擦が絶えず、不正の手口も徐々に高度になっているのが実情だ。

成鎮赫(ソン・ジンヒョク)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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