沈黙していた北朝鮮、「圧力モード」に転換

金剛山の不動産凍結、なぜ?

 先月26日に起きた哨戒艦「天安」の沈没事故以降、沈黙していた北朝鮮が8日、韓国に対する圧力の強度を突然引き上げた。北朝鮮の名勝地総合開発指導局はこの日、「金剛山地区にある政府所有不動産を凍結する」と発表した一方、金永春(キム・ヨンチュン)人民武力部相(国防相)は、「反共和国勢力がわれわれの空と土地、海を0.001ミリでも侵犯すれば、無慈悲な懲罰で敵の牙城を跡形もなく吹き飛ばす」と脅迫した。

 北朝鮮の専門家らは、こうした反応について、「天安」の沈没に北朝鮮が関与したという疑惑がますます深まる状況と関係があるとみている。「沈黙しているのがむしろ疑いを招くと判断したようだ」(イ・スソク国家安保戦略研究所南北関係研究室長)という説明だ。政府当局者は「『天安』の沈没と関係なく、南北間の懸案を北朝鮮の思惑通りに運ぶという意向を示したもの」と説明した。北朝鮮は先月末、「4月1日までに金剛山観光を再開しなければ“特段の措置”を取る」と主張していた。また、9日に予定されている最高人民会議(国会)を目前に控え、「対南強行メッセージを通じて、内部の取り締まりを強化する意図がある」(キム・ヨンヒョン東国大教授)という見方も出ている。

 しかし、この日の北朝鮮による金剛山不動産関連措置は、「実効性がない」(安全保障部署当局者)とみられている。観光が中断された状態で不動産を凍結し、管理者を追放しても、状況は変わらないというわけだ。北朝鮮は政府関連不動産だけを問題にし、純粋な民間企業は今回の不動産凍結対象から除かれた。一見すると「超強硬措置」のようだが、北朝鮮特有の「サラミ(薄く切って食べるイタリアのソーセージ)戦術」を使った、韓国政府に対する圧力の性格が強いとみられている。

 北朝鮮が脅迫の強度をどこまで強めるかは不透明だが、当分の間、南北関係の緊張は避けられないとみられる。「天安」の沈没原因が明らかになるまでは、韓国政府の行動範囲が制限され、北朝鮮も次の脅迫カードとみられる「開城工業団地事業の全面再検討」までほのめかした。

 北朝鮮は「天安」沈没14日目となる同日まで、事故について一切言及していなかった。

アン・ヨンヒョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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